2.戻るのいちいち面倒
王都から大分離れたダンジョン近くに元勇者だった男が住んでいた、男の名はラッド。
ラッドは仲間と魔王を倒したは良いが、魔王を倒しても魔物はいなくならならず、わかったのは魔物は人間の負の心が地下深くに滲みていき、そこから瘴気が発生、それが溜まり魔物が生まれる。
魔物が生まれた地下は魔物の住処となり、ダンジョンができあがる。
つまり、人間がいる限り魔物もダンジョンもなくなる事はないのだ。
しかもダンジョンに魔物が生まれ過ぎるとスタンピードが起こる。
役目を終えても、まだまだ魔物と戦わなければならなかったがそれはラッドにとっては苦痛ではなかった、むしろ褒美にと爵位を与えられて貴族にさせられそうだった時の方が苦痛であり、国に囲われるなんて真っ平ごめんな彼はダンジョンを管理しないと、と言い訳をつけ王都を出て、ダンジョン近くに家を建て住み始めた。
かつての仲間達がたまに訪ねてくる事もある為、1dkだった小屋を増築して客間も3つ程用意し、たまに元仲間達と酒を飲みながらのんびりと暮らしていたが、気がつくと冒険者の宿代わりとなっていた。
理由は簡単、いちいち王都・町・村に戻るのが面倒。
ラッドが住んでいるダンジョン近くから、宿のある王都・町・村は割と遠く、行き帰りの道で魔物と戦うなんて事はよくあるのだ。
宿代わりにされる事は良いのだが、食事出したり風呂貸したり……王都から出てそんな余裕ある生活をしてるわけではないラッドは宿代くらいいただきたいと思うようになっていた。