第21話:ティティアちゃん
すみません、忙しくて更新忘れてました……。
話し合いを終えてイブキ公爵に声を掛けると、顔合わせの前に夕食を提案されたのでお受けする事にした。
「では、今日の出会いに乾杯」
「「「「「乾杯」」」」」
乾杯をしてグラスを傾ける、凄くあっさりとした味の赤ワインで、スッと飲めてしまう、流石にアラテシア様とティティアちゃんだけお酒では無いが。
「そういえば、ホウショウ殿は。どこでアラテシア様とお知り合いに?」
「えっと、僕が任されてる、勇者育成計画でね。極東語が話せて、講師として優れた腕の人が欲しかったんだ」
「ほう、そうなのですか! それにしても勇者育成計画ですか……」
想う所があるのか、イブキ公爵は不満げな顔をする。
「そういえば、イブキ公爵は、勇者召喚に反対派だったね……」
「はい、年端もいかぬ少年少女達を、無理矢理力を付与し魔物と戦わせる……。暗に我々の実力が信頼されてないという事や、彼等を使い捨ての駒にしろと言われる気がしてならないのです……」
「そうだねぇ……父様は貴族達に押し切られてしまったけど。アドクレイド兄様やアグラカルド兄様は最後まで反対してたからね……」
「他の公爵家を含む第四位以下の継承権を争ってる者達と、その派閥の貴族達の賛成が多かったですからね……」
「10年前の召喚失敗と、2年前の大敗北で継承権が格下げになっちゃったもんね……」
どうやら、話を聞いてると。第一王子様と第二王子様の間に継承権を持つ公爵家の人が3人居たらしい。だけど2年前の魔物の森の氾濫で人類の防衛線が大幅に下がった事件によって、3人は継承権を繰り下げられてしまったらしいのだ。
そんな彼らが起死回生の案として出したのが今回の勇者召喚で、その召喚を取り仕切っていたのがアドクレイド様の元婚約者であるアラテシア様の義理の姉という事らしい。
(つまり、召喚魔法の鍵を握ってる訳でもあるのか……)
危険性はあるけどどこかで接触して、召喚魔法について知っているかを聞きだす必要があるのか……。
「あの、疑問だったんですが……。召喚魔法って送り返す魔法については存在しないんですか? 召喚魔法や送り返す魔法なんて便利なもの、使い方次第では魔物を分断できると思うんですけど?」
イブキ公爵に鎌をかけてみる、リスキーな内容だが何か情報が得られれば奏さん達が気付いてくれるだろう。
「ふむ……これは教えてもいいのだろうか? アラテシア様」
「そうだね……これからホウショウ殿は辺境伯になるし魔物の森の討伐にも出向くだろうからそういった考えになったと思うんだ。だから説明しても大丈夫だよ」
アラテシア様が頷く、それを見たイブキ公爵は一つ咳払いをする。
「そうだな。まず、召喚魔法についてなのだが、大量の魔力や魔石を使う必要が有るんだ、今回の勇者召喚の費用はおおよそ白金貨500枚。そうなると魔物を数十体召喚するのにその都度莫大な金額が必要になってしまうんだ」
「それと、召喚される場所は描かれた魔法陣の上になってるんだ。いきなり火山の火口に落とすとか深い谷に落とすとか出来ないんだ」
「それと、これが厄介でな……魔法陣や魔法についての解明が進んでいないんだ……だから新たに魔法陣を描いても失敗する事のが多いのだ。だから召喚魔法は費用や魔法技術の未熟さから使用されていないのだ」
「では、送り返す魔法は?」
「すまない……召喚魔法ですら十全に解明できていないのでな……」
「そうですか……それがあれば戦場で有利な環境を作り出せるかと思ったんですけどね……」
得られる情報は無さそうだ。当てが外れたな……。
それからも話している間に、いつの間にかデザートまで来てしまった。
ケーキの登場に目を輝かせるティティアちゃん。声は無いのだが滅茶苦茶喜んでいる。その姿を見て、アラテシア様とイブキ公爵が申し訳なさそうな顔をする。
「僕があまり甘いものを好まないから、影武者をしてもらってる時は食べる機会はあまり無いんだ」
「それに我が家も、好むのは果物が多くてな。ケーキを食べる事はあまりないのだよ」
どうやらあんまり出る事が無いようだ、それならば……。
「ティティアちゃん、俺の分も食べるかい?」
「——!!」
目を見開いて俺とケーキを見比べる、そして公爵家の方々をちらりと見た後に首を横に振る。
(そりゃそうか、いくら好きなものとは言え一応貴族だもんな。はしたないと言われてしまうだろうし不味いと思うだろう)
「じゃあ、これは俺がティティアちゃんと仲良くなるための切っ掛けという事で」
俺は立ちあがり、ティティアちゃんの前にケーキを置く。
「それに、ケーキは我が家で良く作るからね」
そう言うと、ティティアちゃんがケーキを一部切り取ってフォークで差し出してくる。
「いいの?」
「(コクコク)」
「ありがとう」
そうしてティティアちゃんから一口もらい、席に戻ると。何とも言えない空気が流れて来た。
「……五人目(ボソッ」
なんか凄く不名誉な言葉が聞こえて来たけど……。
(俺は、そんなつもり無いんだが……)
なんというか可愛さはあるんだけど、孤児院の子供達を見てるのと同じ感覚なんだよね。
(だから、そんなつもりは無いんだけどなぁ……)
それから、無事に食事会を終えて、アラテシア様が王城へ戻る事になったので、イブキ公爵と俺がその護衛に着く事になった。それにティティアちゃんの方は、お嫁さん達と女性だけの方が話が盛り上がるとお任せしてきた。
◇◆◇◆◇◆◇◆
◇ティティアside◇
「ティティア、お前には苦労をかけるな……」
お父様が私を抱きしめながら声を掛ける、それに私は背中を叩いて返事をする。
1回なら〝はい〟2回なら〝いいえ〟の簡単な返事の方法だ。要望などがある場合は手持ちの紙束に書いて見せるのだ。
『ですが、お父様。その〝英雄様〟のお相手が私でよろしいのでしょうか?』
自分で言うのも何だが、私はデビュタント前で、身体もお姉様たちの様に豊満でもない……言ってしまえば子供である。
「あぁ、ティティアくらいの年齢の子で上級貴族の子で公の場に出れる者は少ないからな。それに、ティティアは影武者の事があったからね、許嫁も居ない分優位に働くのさ」
私は、影武者の命を受けていたので婚約者は居ない。私くらいの歳だと普通は婚約者が居たりするので丁度いいのだろう。
『わかりました、私で良ければ頑張りたいです』
「そうか! そうだな、まだ寝るまで時間もある、彼の話をしておこうじゃないか……」
そう言って笑う父に笑顔を向けて、お父様の語るホウショウ様のお話に、眠り堕ちるまで耳を向けるのだった。
◇◆◇◆
(はぁ……ホウショウ様……)
先程、アラテシア様の護衛で城へ向かった男性を思い出す、少し野暮ったい髭ではあるが今思うとそれも愛らしく思えるのである。
(それに、貴重なケーキを……わたくしに下さる為に、わざわざお芝居を……)
「あーこれは……聞こえて無いねぇ……。ネモフィラってるね……」
「そうですわね……。ってその言い方には抗議したいのですが……」
「だ、大丈夫ですよ。私も考えがふけっちゃうことありますから」
「とは言っても、そろそろ帰って来てもらいませんとね」
肩を揺さぶられ、私が戻って来ると。ホウショウ様の奥様方がこちらを見ていた。
(あ、あはは……)
いったい私どうなってしまうのでしょう……。
作者です!
カクヨムの方で、『二人の身長と年齢はどのくらい?』と質問が多かったので……。
アラテシア様は年齢11歳で身長が大体130cmです。
ティティアちゃんは年齢13歳で130cmの少し小柄な女の子です。




