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【第13回ネット小説大賞・金賞】異世界に落ちて10年、高校時代のクラスメイト達が勇者召喚されました。  作者: ふぇありす
1章

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第41話:商売人ネモフィラ

脳をフル回転させた褒めタイムが終わり、女性陣がシャンプーとトリートメント(訂正された)それと、俺も使われてたけどわからなかったヘアオイルというやつの評価を述べていく。


「これは凄いですね、ヘアオイルは商業連合国の方で多く流通してますが、ここに来るまでに劣化してしまいますからね。こうして高品質な物は女性でしたら欲しがりますね」


ギルドの受付嬢という知識の深さを使って評価を出すミラさん。


「これは凄いにゃ、わたしの尻尾も耳も、髪も艶々になってますにゃ。かなりお手軽にゃ所も獣人には受けがいいにゃ。ただ、私みたいな半獣人ハーフは良いけど、毛の多い獣人には使用量が多くにゃってお財布には厳しいと思うにゃ。後、匂いの種類があると良いにゃ」


獣人観点の評価を出すサリア。確かに獣人は特定の花の匂いが嫌いな人も居るから重要だろう。


「私は値段次第だけど流行ると思います。今、市場で売られてる石鹸はどうしても質があまり良く無いので髪は劣化してしまいます。今はオリーブ油で補ってますがどうしても臭みが出てしまうので……」


そう言って髪を撫でる恵さん(ミモザ)、そういえば料理に使う分とは別に化粧用に油差しあったけどそういう事だったのか。


「そうですね、私も同じ感想です。ですが恐らくこのままの品質ですと一般の方々には手が届きづらいと思いますわ。エルヴィール男爵夫人様、お値段はどのくらいを想定されておりますでしょうか?」


「そうですね、ただいま試作で使っている物はおおよそ大銀貨1枚(1万円)ほどです。馬油はそこまでの金額では無いのですが、混ぜている薬草の方でお値段がかかってしまうのです」


大銀貨ってかなり高いな……普段使ってる石鹸は大銅貨1枚(500円)なので20倍とは……かなりの高級品だな。


「妥当ですね。これだけの品質でしたら、もう少し高くてもよろしいかと……。具体的には、大銀貨3枚くらいでよろしいかと」


「流石にそれは……」


「高すぎにゃ……」


ミラさんとサリアが唖然とする、ギルドの受付嬢チーフや銀等級の稼ぎだったらさほどでもないだろうけど一般市民じゃ手が出せないだろう。


「ですので、薬草の量と価格を抑えた、日々の使用で髪の質を維持する事を目的としたものを作っていただければ、一般の方々にも手に取っていただけるかと思いますわ」


(そうか、日々使う物は安価で、週に一度や月に一度ちゃんとしたシャンプーや髪の毛のケアをすればいいのか)


髪が洗えれば良いやの男子高校生だった俺の価値観じゃ、流石に女子高生の発想は出来ないからな。


「髪の質の維持用ですか……つまり幾日かに一度しっかりとしたものを使うという事ですね。それでしたらどのお客様にも浸透しやすいですわね」


「はい、ですがわたくしが考えますのは、洗髪を専門に行うお店を作る事ですわ」


「洗髪専門……ですか、あぁ……そういう事なのですね」


夫人もピンと来たようだ。


「はい、そこで週に一度か、月に一度利用してもらう事で、長期的なお客様の確保が可能ですわ。それと旦那様、こちらの髪油使い方はわかりましたでしょうか?」


蒼井さん(ネモフィラ)が手に取った髪油、確かに使い方がわからなくて爺やにやってもらったな。


「いや、わからなかったですね。普段から使っている方でないと、使い方やどのくらいの量を使えばいいかわからないですから」


俺の言葉に皆が頷く、蒼井さん(ネモフィラ)がやろうとしてる事は、この世界に美容院を作ろうとしているのだ。


「なるほど、これはかなりの利益を生み出しそうですね……」


良い物であればお金を出す貴族に売るのは簡単だが、月に使えるお金が決まっている平民に贅沢品の買わせるのは難しい。だが、お店として手頃な価格を一時の贅沢と言う形であればそのハードルは一気に下がる。


「それで、いくら位の価格にすればよろしいでしょうか? 一般の方が月にいくらくらい使えるのか私たちはあまり知らないのです」


エルヴィール夫人が皆を見る、とは言っても皆そこそこ稼いでるんだよな……。


「私は1回につき銀貨3枚……いや5枚は出せます」


「私も5枚くらいにゃ、たまの贅沢にはうってつけにゃ」


「うーん……この品質の物を使って、良質なサービスと考えると8枚までなら出しても良いと思います」


恵さん(ミモザ)が一番高額を付けた、そうか受けるサービスの質まで考えてるのか……。高校生時代、千円カットにしか行かなかった俺からするとサービスの質なんて考えて無かったな。


「たしかに、エルヴィール家に勤めている方にやってもらうのであればその位の金額を出すのは許容できますね」


「にゃんにゃら、〝お貴族様と同じ髪になれる〟って話題になりそうにゃ」


ミラさんとサリアが同意する、それを見てエルヴィール夫人も大きく頷いた。


「それでしたら、銀貨8枚にしましょうかしら」


エルヴィール夫人が蒼井さん(ネモフィラ)を見る、この短時間で信頼を勝ち取った様だ。


「いえ、それでしたら銀貨4~5枚がよろしいかと思いますわ、洗髪と軽いお手入れだけなら4枚、しっかりとしたお手入れまで含めると5枚がよろしいかと。それに、1回の金額が手頃な方が頻繁に通う方も出て来られますので」


ニッコリと笑っている蒼井さん(ネモフィラ)なんとなくだけど、商売人としての腹黒さが見えるんだけど……。


「つまりネモフィラは、通う事にも価値を出そうとしてるのね?」


ポンと手を叩く恵さん(ミモザ)、通う事に価値?


恵さん(ミモザ)の言葉に首を傾げる俺達。


「はい、そうです。ミモザさん♪ それと旦那様、お願いが一つありますの」


そう言って笑う蒼井さん(ネモフィラ)、不可思議な圧力に頷く事しか出来なかった。

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― 新着の感想 ―
 添加する薬草の代わりに草木灰で大儲け……出来たら良いなぁ。
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