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【第13回ネット小説大賞・金賞】異世界に落ちて10年、高校時代のクラスメイト達が勇者召喚されました。  作者: ふぇありす
1章

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第40話:エルヴィール夫人の商売と依頼

「お久しぶりですホウショウさん、いらっしゃいませ。本日はどうぞよろしくお願い致します」


「エルヴィール夫人、お久しぶりです。お元気そうで何よりです」


応接室に通された俺は、エルヴィール夫人と対面する、机の上に置いてあるのは先程のシャンプーとリンスだろう。後もう何個かあるけど正直男の俺には全然わからない。


「それで、いきなりなのですが。洗髪剤は使われましたでしょうか?」


「はい、凄く使いやすくて。髪も隅々まで洗えました」


俺の答えが気に入ったのか上機嫌になる夫人、ころころと笑う様は幼い少女の様だ。


(ってか、エルヴィール夫人ってまだ18歳だよな……)


蒼井さん(ネモフィラ)恵さん(ミモザ)と変わらないというのが驚きだ。そして俺の中でエルヴィール男爵の評価が駄々下がりになっていく。


(15歳は駄目でしょ……、少なくとも干支が4週くらいするよ?)


「……ショウさん? ホウショウさん?」


「いやぁ……駄目でしょ……」


「えっ? 駄目なんですか?」


目の間に居る夫人の顔が曇る、ついうっつかり考え事をしてたのが声に出てしまったみたいだ。


「あぁいや、すみません。少し考え事をしてたみたいで……良ければもう一度お願いできませんか?」


「はい、こちらの商品は、貴族の方に売れるでしょうか?」


何かとんでもない質問が飛んで来た、貴族に売れるかって言われてもなぁ……。


「あの、失礼を承知で言いますが、私は平民ですよ?」


「はい、重々承知です。ですが金等級になられた冒険者さんですので、貴族の方に近い生活をしていらっしゃるのでは?」


貴族に近い……そう言われてみれば、魔法が使えるから風呂には毎日入るし。二人が居るから身だしなみ、特に加齢……体臭が気になるから石鹸なんかはよく使ってるな。


(なんだか、思ったより貴族っぽい生活してるのでは?)


「えっと、お風呂に関しては、昔から魔法でお湯が出せましたのでお風呂に入ってましたね。そうなると貴族の方に近い生活ではありますね」


「ですよね! 覚えていて良かったです!」


そういえば、護衛任務の時、皆がシャワーに使うお湯を出し続ける係りやってたな……。


「よく覚えていらっしゃいましたね」


「はい。それと前回、爺やの説明無しに魔道具が使えてましたので」


そんなとこも見られてたか……確かに、公衆衛生上、街にはテルマエがある、しかもあそこは大きな湯瓶に補充してるもんな。無論、シャワー備えている家なんかは無くは無いが、どうしても少ないからな。


実はあの家を友人から買った理由はお風呂が付いてるからなんだよな、その分高かったけど。おかげで今は元取る分以上に使えてるので良しとしてる。


「そこまで見られてたとは……それで、そちらの洗髪剤ですよね。それでしたら女性陣に聞いた方が良いと思われますが……」


美容系っていつの時代、どこの世界でも女性のが強いからなぁ……。


「それはもちろん、ホウショウさんの奥方様やギルドのエルフさん、獣人の方にも感想を聞きたくて来てもらいましたので。ですがわたくしとしましては男性からの評判も欲しいのです」


「確かに……男性側でも売り上げが望めれば、同業者に対して大きな有利を取れますね」


「はい、商売は拙速が基本ですから!」


この世界は特許という物が無いので、常に早い者勝ちだし。製法などは秘匿にする場合かなり手間がかかるんだよなぁ……。


「でしたら、私自身の感想としまして、かなり人気が出ると思います。ですが男性の方は少々髪の少ない人が多いので売り上げはそこまで望めないかもしれませんね」


「それは、大丈夫ですわ。この洗髪剤を旦那様と爺やに使ってもらってますが、髪の毛の量が増える効果が出ているそうなんです」


増毛効果あるんだ……となると凄いことになりそうな気がする。


「その様な効果があるんですか……ちなみに、この洗髪剤。何が入ってるんですか?」


恐らくは今回依頼に入ってる生薬なんだろうけど……。


「そうですね、主成分は馬の脂を使っておりますわ」


「馬の脂ですか……」


確か日本でも馬油のシャンプーとかあったな。


「はい、ですがそれだけですと水とは混じりませんので、とある薬草が必要なんです。粉末ですがこちらになります」


少し大きめの瓶に入った白い粉。やっぱり、今回の依頼品がそれなのだろう。


「つまり、その生薬、もとい薬草が必要なんですね。それで量はどのくらいですか?」


「それはですね……」


そのタイミングでノックの音と爺やさんの声が聞こえた。


「すみません、お嬢様方が上がられましたのでご案内をさせていただきました」


「はい、どうぞ。入っていただいて結構ですよ」


扉が開かれ皆が入って来る、髪の毛が凄く艶々で綺麗になっている。


蒼井さん(ネモフィラ)はしっとりと濡れた黒髪、濡羽色と言うのだろう物凄く綺麗だ、恵さん(ミモザ)は栗色の髪の毛に艶が出ている、光が反射していて濃淡が出ていて、昔爺ちゃんが着けてた虎目石に似ている。


ミラさんは金髪が輝いてる、なんか文字通り輝いてるのだ、サリアも黒と銀の混じる髪の毛やそこから覗く猫耳が凄く美しく、モフモフになっていた。


「あの、旦那様?」


蒼井さん(ネモフィラ)が首を傾げている。


「あ、あぁごめん、皆が凄く綺麗でびっくりしてしまったよ。いやはや洗髪剤一つでここまで変わるんだな……」


只々唖然としながら感想を返すしか無かった。

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