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SAMMAC  作者: 煉獄PAL
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5話

 「それでは以上でSAMMACについての説明を終了します。続いて新入生代表と本校生徒会長のクランによるデモンストレーションバトルを行いたいと思います。代表の人は壇上へ上がってください。」

 姉ちゃんの方を確認すると顎をしゃくってきたので、俺は壇上へ進む。美咲たちも俺の後に続き壇上へ上り、先ほど紹介された生徒会長たちも登場する。全員がカプセルの前に立つと、カプセルの後ろで黒一色を映し出していた画面が各クランのデータのようなものに切り替わる。データといっても能力値はまったく書かれておらず、各クランとメンバーの名前、ポジション程度のものである。

「はい、皆さんどーも、ここから司会進行兼解説をさせて頂きます、生徒会役員の緒方貴正(オガタタカマサ)でーす。みんな親しみを込めて『タカちゃん』って呼んでねー!それではまずは、各クランの紹介から、行ってみよー!」

 さっきまで説明をしていた男はいつの間にか居なくなっていて、その代わりに妙にテンション高い奴がマイクを握っていた。彼のすべりの良い口から、俺たち、そして会長クランの紹介が流れるように話される。同じ生徒会でも会長とは違い仲良くなれそうな、ちょっとバカっぽいたかちゃんは紹介を終えると「それではー」といいながら半身になり、こちらに顔を向ける。背後の画面が切り替わり、ビル群が映し出される。

「今回のSAMMACについて説明しまーす!今回はデモンストレーションバトルと言う事でオーソドックスなSAMMACのルールを採用します。勝利条件は、敵の全滅かフラッグの確保。ステージは現代ビル群です。質問はありませんねー?それでは行きましょー!」

 タカちゃんの声を受けた会長たちが動き出したので、俺たちもログイン準備をする。慣れた手つきでカプセルを開き、中に入ると、カプセルが閉まり中は特殊な気体で満たされた。その気体はまるで元からその一部であるかのように体になじみ、そうしているうちに、俺の意識が遠のいていくのだった。


 一瞬意識が飛んだように感じ、目を開くと俺はビル群の谷間に立っていた。

 「両クランとも全員がそろいましたねー?それではこれより、十分間の作戦タイムに入ります。」

 タカちゃんはそう言った後、他の新入生たちに向かって「ええー、作戦タイムとは――」と解説に入っているようだったが回線は切れれてしまった。こちら側からはMCのアナウンスしか聞こえないので、外の様子はうかがえないが、あのいかにもな勉強大好き君たちはきっと真剣に聞いているんだろう。そんなどうでもいいことを考えながら、いつの間にか制服から変わっていた装備をチェックする。

「フラッグ誰が持つのー?」

 ロードである俺を無視して話を進めようとする美咲に「それは後だ」と答え、姉ちゃんの方を向き直る。

「というか、姉ちゃん。これって本気でやっていいのか?ソッコー勝ちに行ったほうがいい?それともある程度引き伸ばすか?ああ、負けるのは嫌だぞ!?」

 俺の質問にいつも通りのいやらしい笑みを向け、

「ソッコー、潰すわ!当然。だってあたし、あの会長のこと嫌いだもの。」

 姉ちゃんの嫌い発言を全員が苦笑を浮かべながら話を進める。

「では、どちらにしましょう?全滅かフラッグか。」

「そんなの、敵の全滅に決まってますわ!その方が早いですし、派手で目立てますわっ!」

 椿の問いに過激派フリージアが当然とばかりに全滅を推す。

「そうだなー、そっちの方が楽だしね。」

 藤也も過激派にもう一票らしい。美咲はいつも通り中立というか、どちらでも良い派らしい。

「ちょっと待って、私はフラッグ確保が良いと思うわ。」

 姉ちゃんの意見に皆驚いたような表情になる。

「俺もそう思う。フラッグ確保でいく、一回目は。」

 俺の発言にフリージアは不満顔で講義する。

「なぜですの?フラッグ確保なんて時間がかかって面倒ですし、地味ですわよ!?せっかくの舞台なんですから派手に――」

「だから、『一回目は』っていったろ?」

「それはどういうことですか?」

 椿が俺に続きを促すが、答えたのは姉ちゃんだった。

「さっきフリージアちゃんも言ったけど、普通フラッグ確保は地味な作戦よ。でも、短時間、それも秒単位でやられたらどうかしら?それも、デモンストレーションという生徒会長にとっても晴れの舞台で。」

 椿は理解したように「なるほど」とつぶやいたが、フリージアは不満顔のままだ。

「もしそんなことになったら、私が会長なら、名誉挽回のために再戦するわ。」

 そこまで聞いてフリージアも納得する。

「つまり、一戦目は高速でフラッグを確保し、再戦を申し込ませた上でそれを受け、二戦目で全滅させるということですわね。」

 姉ちゃんはフリージアに「惜しいわね」とつぶやく。

「ただ全滅させるんじゃない、すげー派手な技をぶつけて瞬殺する。だろ?」

 俺の解答に「御名答」と姉ちゃんが答えると全員に笑顔が浮かぶ。

「作戦はどうすんだ?」

 具体策を求めたのは藤也だ。

「ああ、まずクランを二人一組の三班に分け、各班はそれぞれ陽動、敵フラッグの確保、自フラッグの防衛にあたる。班分けはいつも通りで、役割は俺と美咲が確保班、藤也とフリージアが陽動班、椿は防衛班だ。姉ちゃんは凛の抜けた防衛に回ってくれ。フラッグは椿が持ってくれ。」

「私たちはどこでフラッグを守ればいいの?」

 姉ちゃんがわざとしてきた答えの分かりきった質問に、デジタルマップを開きながら答える。

「正直どこでもいい。たぶん会長たちが俺らのフラッグ見つける前に終わるから好きにしてくれ。俺達の現在位置から予想するに向こうはこのあたりにログインしたはずだ。そのあたりでフラッグ防衛に適してるのは退路が多いココだ。」

 俺の説明に全員がマップを見ながら同意する。

「開始直後に姉ちゃんは陽動班を敵前面に転移魔法で飛ばしてくれ。転移終了後にフリージアは無詠唱の強化魔法を藤也に付与、その後回復陣を展開。藤也はそのあたりで適当に暴れてくれ。陽動班が転移した五秒後に美咲の魔法で確保班が敵背後に転移しフラッグを確保する。計十秒もあれば終わるだろ?」

 説明を終え見渡すと、全員がゆるーい感じで了解の意を伝えてくれたので、後は雑談になる。


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