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44.討伐クエスト

朝食を済ませ、ようやく脳のエンジンがかかり始める時間帯。


「全員集まったな。出発するぞ」


ギルドに手配してもらった馬車に乗った俺達は、門の方角とは逆の南へと迂回した。

今回のクエスト、事前の説明で1週間くらいはかかると言われていた。

その内容は、とある場所に湧いた危険な魔物の討伐だそうだ。


「なんでも自然保護協会の職員が現地に巣穴が作られているのを発見。今は周辺を封鎖している状態でな。冒険者の案件ってわけだ」


フランクさんが説明している間、馬車は土手を登ると大きく開けた場所へ出た。


「ここは・・・・・・」


左右に果てしなく広がるのは、ある程度整備された広い道と、傾斜のついた草原。

そして前方には、途方もなく巨大な水域が広がっていた。

海かとも思ったが、潮の香りはしない。

琵琶湖のような湖だろうか。


「いつ見てもデカいよな」

「ああ。上流はどうなってるんだろうな」


そんな俺の予想は、ヤリスさんとアリシアさんの流れてきた会話に覆された。

もしかして、ここは川なのか?

だとしたら幅だけで4、5キロくらいはあるだろう。

どれだけ目を凝らしても、対岸は水平線に隠れて見えない。

その分、河原はとても広く整備されており、多くの人達の遊び場となっていた。

ボール遊びをする若い男女、ピクニックをしている子連れの家族、釣りを楽しむ老人。

いろんな人の人生がこの場所に集っている。


「どうして川沿いを移動するんですか?」

「こっちの方が道が舗装されてるし、魔物や賊に襲われずに済むからな。安全なんだ」

「それにしても、多いな」

「ああ。最近やけに魔物が出るって話だからな」


俺が景色の雄大さに見惚れていると、皆は険しい目を別の場所に向けていた。

その視線の先にいるのは、甲冑を着た兵士と思わしき人影だ。

河原の安全を確保しているのか、一定の間隔で展開し周囲を見渡している。

どうやら人々が遊んでいたのは魔物除け結界の効く冒険者の街付近だけだったらしい。

危険区域の始まりを警告する看板を通り過ぎると、途端に人の数は減った。

視界に入るのは、ならず者とも思わしき連中や冒険者。

いずれも武装し、自分の身を守る手段を持っている人種だ。

日が暮れると馬を木に繋げて、焚き火を囲み、ギルドから支給された缶詰めの食料を口にする。

フランクさんやアリシアさんが釣ってきてくれた魚も食卓に加えて腹の足しにした。

そうして野営を繰り返しながら3日ほど移動すると、俺達は馬車を降りた。

馬車の護衛に残ったのはミアさん。

今日中に終わらせて戻ってくる旨をフランクさんが伝えると、親指を立てて了解の合図としてきた。

残った4人で河原を下り、深い森の中へと入った。

恐らく、目的地付近なのだろう。

街周辺とは随分雰囲気が変わり、人の気配や喧騒などは全く聞こえない。

代わりに感じるのは、水の流れる音、風とともに草木の揺れる音、虫の鳴き声、それらを内包する不気味な静けさだ。

ここまで来ると道中騒がしくしていたアリシアさんなどもあまり口を出さなくなっていた。


「周囲の警戒を怠るなよ」


フランクさんが皆に通達する。

転生したてで走り回った、内陸部の環境を思い出す。

俺も出来うる限り、五感を研ぎ澄ませて少しの違和感も感じ取るまいと集中していた。

しばらくすると、今回の標的である魔物の探索をしていたアリシアさんが、フランクさんを呼び止めた。


「コイツだな、フランク」

「数は?」

「全部で3頭。揃いも揃ってパワースポットの周辺に巣穴を作っているようだ。街周辺で魔物が増えている件といい、一体どこから侵入してきたのやら」

「A級討伐モンスター、アラクニドだ」


フランクさんは俺達に振り向いた。

アラクニド、といえば俺達もアンデッドに追われていた時に一時的に巣穴を隠れ家として使ったこともあったっけ。その家主と戦うのか。


「気をつけろよ。奴ら、目視じゃわからないほど精工に擬態して巣穴を作る。気がつけば食い殺されていた、なんてこともありうるからな。二手に分かれよう。俺が2つの方を、アリシアとヤリスとヒイラギで1つの方を潰す」


フランクさんの指示の元、俺達は行動を開始する。

そうして目の前にしたアラクニドの巣穴だが、正直アリシアさんに教えられても本当に巣穴があるのかわからないほど上手く擬態されていた。


「いくぞ、ヒイラギ」


これまで使い魔を相手に木刀を使って練習してきた。

俺は深呼吸して、腰の鞘から鋼鉄の西洋剣を抜いた。

トルシシとの戦いで破壊してしまってから、剣も新しく買ってもらった。

前よりもっと重く丈夫なものなので、折れる心配はないはずだ。


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