狂気のチョコバナナコッペ
今日は朝からツイてない。
まず寝ぼけた弟によってまだ夜も明けきらない時間に起こされるところから始まり、前日夜に米を炊き忘れたことが発覚し、家を出た直後に派手に転ぶ。そして、仕事で酷いミスをやらかし、挙げ句の果てに弁当を忘れる。
いやぁ、笑うくらい酷いね。普段の俺なら酷く落ち込むレベルだ。だが、今日の俺は一味違う。
なんたって今日のおやつはチョコバナナコッペだからな。
スーパーのベーカリーコーナーの人気パン、チョコバナナコッペ。
コッペパンにバナナクリームとゴロゴロのチョコが混じったホイップクリームを挟み、分厚いチョコでコーティングして、その上からダメ押しと言わんばかりにカラースプレーをふりかけた一二八円のコスパ最強スイーツパン。
しかも今、家にあるのはおつとめ価格七八円とさらにお得に買えてしまったやつだ。
もうすぐ仕事も終わる、後は家に帰ってチョコバナナコッペを食べれば全てが報われる。
そして、仕事がどうにか終わり帰宅した俺は手を洗うと、チョコバナナコッペが待つ冷蔵庫のドアを開けた。
ない。
そこにあるはずのチョコバナナコッペがない。
俺は冷蔵庫の中をくまなく探した。
しかし、ない。
ど、どういうことだ?い、一体、俺のチョコバナナコッペちゃんはどこに・・・
冷静さを欠きそうな俺はひとまず落ち着くため、冷蔵庫を離れリビングへと向かった。
リビングに入ると一足先に帰宅していた弟が何かを食べていた。
手にはチョコでコーティングされた食べかけのかけらが・・・
おい、まさか・・・
最後の一口を食べた弟の目の前に横たわるビニール袋。それ貼られたチョコバナナコッペのラベル。
それを認識した瞬間、血で血を洗う戦いが始まった。