プロローグ fine
寝るのが好きだ。ご飯を食べるのが好きだ。
運動するのが好きだ。勉強するのが好きだ。
家族が好きだ。
この自由で、平和で、愛で、幸福で満ちた世界が好きだ。皆が守ってくれた、この世界が好きだ。
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2172年4月12日
僕――立川渚――は校門を通り過ぎる。今日は高校入学式の日。新しい生活にワクワクしながら、教室に向かおうとすると、
「あ、兄ちゃ〜ん。」
そう言って明るい声で近付いてきたのは立川緋奈多。僕の妹で初等部の新5年生だ。
「やあ、ひーちゃん。初等部高学年になってみてどう?」
「大変だよお。新学期早々、学級委員長になっちゃった。」ヒナタは困り顔で答える。
「アハハ。流石学年主席。」
「兄ちゃんだって全定期テスト満点だもんね(^^)。また、生徒会に入るんでしょ?」
「まあ、半ば強制的だけど。」
苦笑いしながら言う。
「あ、そういえばお母さんはもう体育館に入っちゃった?」
「うん。保護者席の最前列の右端にいるらしいよ。」
「残念不正解。ここにいまーす。」お母さんの声がした。
バッと横を見ると、お母さん――立川結――とお父さん――立川拓哉――が立っていた。
「あれ?お母さん、お父さん。席は――」ヒナタが言おうとすると、
「大丈夫大丈夫。ちゃんととってるよ。」
お父さんが言う。
「よし!皆ここに立って。」
お母さんが少し移動したところに立って言った。
渚「この辺ですか?」
楓「ここかな?」
拓哉「ここか?」
母「渚、もうちょっと右!オッケー、ヒナタそこでキープ!拓哉、もっと下!オッケー、皆キープ!透、撮って〜。」
透「はいじゃあ、撮るぞ〜。はい、チーズ!」
「よし、渚。式が終わったら、今度は校門前で看板と写真撮るぞ。」お父さんがニカッと笑う。
「もちろん!」お父さんの言葉に僕は元気良く返す。
「じゃあ、また後で〜。」そう言って僕は校舎へ走っていく。