~DIMENSION BIRD~序章その④
ディメンションバード序章第4話です
「なぜそのカギを持っている?お前は適合者か?。」
「・・・・・ぁ」
信哉はあまりにもの出来事に声も出なかった。
「成程…おびえて声も出ないか、それも仕方ないだろうさ」
少年はそう言って少し笑い、戦艦から降りる。
信哉は思った、なぜ俺がこのような状況に立たされているんだ、なぜ俺はここにいるんだと、
体が何一ついうことを聞かない状態で信哉は唇の先を無意識に強くかんでいた。
「お前はそのカギを持ってしまったということか、持たされてしまったというべきか…まあ今は関係ない…、お前は今、大きな責任を負うことになってしまった。」
銀髪の少年は信哉手にあるカギをまじまじと見た。
「責任って…」
「ああ、そのカギを持ってしまった、そして適合してしまった人間へ課せられる責任ってやつさ。」
「なんだよそれ…」
「わかんないのも仕方ないさ、お前は何も知らないからな。あのバケモンのことを知らないのだからな。」
「バケモン…?」
信哉は何のことかさっぱりわからず、聞き返す、もしかしてあのロボットのことか?信哉は心の中でつぶやく、
「ああそうだ、あの飛んでいるやつはお前の持っているカギを探している、そいつはカギを持つ人間を主として迎え、護り従い戦う、王に従う騎士というものだ。」信哉は自分が手に持っているカギを見つめる。
確かに変なものだとは信哉も理解していた。さっきだってあのカギの力がなかったら自分は命を落としていたのかもしれない、
信哉はそう考えていると、銀髪の少年は信哉の手を取り、
「言葉だけじゃあ、わからない。だからこそお前に見せてやる」と言い引っ張った。
「あの人はどうすんだよ!足を怪我しているんだ!病院へ連れてってからでも!」と信哉は手をほどく、そうすると少年は鼻で笑い答える。
「安心しろ。もう船の中にいる、俺がドローンを使って運んだ。」
「へ?」信哉は後ろを振り向くとさっきまでいた男性の姿がなかった。どうやら本当らしい、
「行くぞ」
そして信哉は銀髪の少年に連れられ、空を飛ぶ船の中に入った。
船の中はまさに近未来的で何個も先の文明のものだと仮に歴史の教科書で書かれていてもなるほどと納得するくらいだ。
成人男性くらいの体系の人を運べるくらいの馬力を持つドローンや、重力があるのに飛行をすることができる面積の暴力ともいえる大型船を作ることができるくらいの技術力がある。
信哉はこの銀髪の少年は自分の常識の範囲外の世界、つまりは異世界ともいえるところで生きているということを確信する。非現実的だが、非現実的すぎる出来事がこの少しの間でありすぎたことでスラっと受け入れることができる今、平然を保ってもいられる自分が恐ろしいと感じている、
そこで信哉はいろいろな話を聞いた。
「あの人は大丈夫なのか?。」
「大丈夫だ、問題ない…それに、あんな傷で死ぬほど若い命は脆くない。」少年はタンブラーの中にある飲み物を飲んで答えた。
「そっか…最初は警戒してごめん…ところで名前は?」
信哉はふと気になったので聞いてみた。
「ぬ…、名前か……、俺の名前を聞くとはなかなかの物好きだな、だが、俺の名前は教えられない、すまないな」少年は笑って答える。
「君はこの船に所属しているから、船に所属している今の君には個人を教えてもいい権利がないってことか…、」信哉は自分で少し考えすぐ納得した。
「そういうことになるな」
「そっか…ごめん、変なことを聞いてしまって。」信哉は野暮なことを聞いてしまったことに頭を下げ謝罪した。
「構わん、こっちにとって害になどなってはいない、それにほかにも質問があるんだろ?」
少年はこちらを見て答えた。
「ああ、あの君が言っていた化け物ってなんだ?あれは…どう見てもロボットじゃあないのか?俺にとってはそう見えるだけかもしれないけど…一体あれは何なんだ。」信哉はあの羽が生えたロボットについて聞いた。
「あれはビヨンドといい、人智を軽々と超える力を持つ存在、超越した何かだ、生き物のような意思を持っていながらも動きの動作などロボットと酷似している、大まかなボディは人型で統一されていて、人造人間の類ではないのかという考察もあるが、人間とは異なる動物や恐竜などの要素も含まれていて、今は未確認物体という形で片付けられている。ちなみに一部ではアンノウンと言われている。」
「詳しいんだな…いいのか?この船の機密情報なんじゃ‥‥」
「別に知られても問題はない、それにお前はすでにアレに乗らなくてはならなくなっているのだからな、先に知っておいたほうがお前にとって有利に働くだろう。」信哉はごくりと唾を飲み込み聞いた。
「も…もしも俺が乗らないって言ったら?」信哉は質問をする。
「ああ、その時はもうあのビヨンドはどっかに消えるだろうな、そしてそのビヨンドの後を追っているやつらにここを破壊される。モノも命も文明もな。だからお前は乗る。嫌でも乗らなくてはならない、そう決まってしまっている。」
銀髪の少年のすべてを悟っているかのような言葉に疑問を持ちながら信哉は、自分の胸を右手で優しく添える。
すると自分の心臓の音が大きく鼓動する。心臓が何か自分に伝えているように感じる、
さらに信哉の鼓動は速くなっていき、緊張は止まらなかった。
少年は信哉に、「呼ばれているようだな、急いで向かうぞ」とモニターに映っているビヨンドに鋭い目つきでにらみつけながら言う。
「呼ばれている……?」
信哉は疑問を口に出すも、すぐに飲み込み、わかったとうなずき走っていく少年のあとをついていく。
「ここだ。」
銀髪の少年は一つの部屋の前に立ち止まり、扉に手を添える。
すると扉は少年の手を認識し『お入りください』と扉は開く。
中に入るとそこは、たくさんのコンピューターが置いてあり、その上にある巨大なモニターには外の景色と艦内情報が映し出されている。
そして少年は、「ここに座れ」と指をさし言う、彼が指さしたところにはカタパルトに固定されているホバーバイクがあった。
「え?ホバーバイクじゃないか!」信哉は目を輝かせる。
テレビや新聞、動画サイトでしかみたことがないものが目の前にある、一度乗ってみたいと思っていた信哉にとってそれがロマン以外の何物でもなかったからだ。
「操縦は俺に任せろ、安全運転であるとは保証しないが。」
少年はそう言うと信哉の前の席に座り、ハンドルを握る。
「しっかり捕まることだな」と言いホバーバイクを起動させる。
「前にあるのは壁だぞ!?ぶつかるって!!」信哉は冷や汗を垂らしながら焦る。目の前にあるのは壁、ぶつかったら間違いなく死が待っている信哉は歯ぎしりを立てながらおびえていた。
「行くぞ!!」少年はアクセルを回し。走らせた。
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