第六話 これからの方針
誠に申し訳ないのですが第五話を大幅に編集しましたので、お手数ですがもう一度読んで下さい。(冒険ギルドに入る所を全て削除しましたので、何のことか分からない方はそのままで大丈夫です。)
昨日のように「姉様‼」と飛び込んで来ず、元気いっぱいに手を振ってくる。それでもいつもより元気が無さそうに見えるのは、やはり昨日あんなに走らせてしまったからかもしれない。
「本当に昨日はごめんなさいね。」
「いえいえ、ウェルリンテ様。本当に我らのことなど気にしなくても良いのです。」
「はい、姉様。私は少々疲れましたが姉様を見て全て元に戻りました。」
そんな話をしながら食事の席につく。事前にレイラが大皿に沢山のサンドウィッチを作って置いてくれていた。食べながら話せるので丁度良い。
「ご苦労様、レイラ貴方も休みなさい。貴方には少し無理をさせてきた自覚はあるから、疲れているのなら情報収集はまた今度でも良いわよ。」
「大丈夫です......ですが、少し休憩させていただきます。」
「あら、そう?一週間くらい休んでも良いのに。」
レイラは一礼をして外に出て行った。後に残ったのは私とハンスと口いっぱいにサンドウィッチを頬張るリシスであった。
「さてと、とりあえず昨日言ったように第一王子と宰相の計画を止める為に、婚約破棄を促したの。それはいいね?」
私の言葉に、ハンスとリシスは大きく頷く。私も頷くと言葉を続ける。
「で、あの場にはもう一人.......いや二人重要人物がいてね、それがファリシスさんとイリシスさん。」
二人とも首をかしげる。ファリシスは今や貴族の中で最も話題にされているであろう、あの第一王子の浮気相手である。前にも言ったようにあの人はラグレビアの国の工作員でそれをこの二人は知っている。だが、イリシスの方は初めて言ったので知っているはずも無い。
「先にイリシスさんことから話すと、彼女は王宮の侍女でランディ家の長女。」
ここまで言うと、ハンスが思い出したように言う
「ランディ家というとあの没落リストのトップ2に載っていた家ですね。」
没落リストとは、この後没落していく可能性が高い順にランク付けされたリストである。貴族の派閥ごとに独自でつくられており、入って来たばっかりの貴族のために何処の家と関係を持てば良いのか分かるように作られた。
派閥によって違うため多少差異はあるがトップ10までは何処も同じで、一位はスクルビア家つまり私の領地で二位はランディ家。没落するようにしたのは私の計画の一部なので問題ないが、ランディ家は本当に食べるものにも困っているらしい。
「そう、それでねそれに目をつけたある派閥が第一王子を殺そうとして彼女に暗殺を依頼と言う名の命令を下したの。多額のお金をちらつかせて。」
「それは‼大丈夫なんですか。」
ハリスが身を乗り上げて聞いてくる。
「貴方の耳に暗殺されたっていう情報は入っていないでしょう?だから、大丈夫。元々実行しないと思っていたしね。」
「実行しなかったんですか?」
「彼女のことはレイラから聞いていたの。いつも穏やかに笑っていて、他の人が嫌がる仕事を率先してやってくれるらしくて、間違っても人を殺せるような性格ではないそうよ。」
「そもそも、王族を暗殺してしまったらお金とかいう以前に一族郎党死刑ですからね。では彼女の身が危険なのでは?」
「大丈夫よ。すでに暗部に彼女の保護は任しておいたから。交戦があったらしくて雇い主を聞き出す為に拷問中だそうよ。」
拷問と言ってもそんなにたいしたことはやっていない。昔は指を切ったり等々していたらしいが、今は薬の方が便利でその場ですぐに聞き出せるので主流だ。
話が一区切りついたところで、サンドウィッチを一つ手に取る。最近は味など気にせずにただ口に詰め込む作業という感じだったので、久しぶりに美味しいと思った気がした。
「ええと、ファリシスさんの方なんだけど彼女の目的は第一王子を王にすること。当初の目的は王族の誰かを唆して混乱させるのが目的だったらしいけどカイルスを王にした方が国を奪いやすいと気付いて急遽変更したらしいの。」
カイルスの駄目さは他国にまで伝わっていたらしい。
「だから、今の所は彼女の作戦は成功しているの。けどもし、そのまま王妃となれば自分の国に助けて貰える前に民衆の手によって殺されるかもしれない。だから、ぎりっぎりで私をまた婚約者に戻そうとすると思うわ。」
「成る程、では姉様はそうなっても逃げ切ればいいと。」
リシスが発言したが、残念ながらそれでは第二王子と宰相を止めることが出来ない。
「それは最初考えたんだけど、それだと第二王子と宰相の計画が実行されてしまう。だから彼女、ファリシスを仲間にしたいと思うの。」
「「.......えっ」」
兄弟だからか凄く息が揃っている。固まっているところ悪いが話を続けさせて貰う。
「仲間に引き入れて、血縁関係だったってことにして貰えばいいと思うの。彼女の家タルイテ家は200年以上前にラグレビアから派遣されてこの国を奪う計画を立てているから充分誤魔化せると思うの。」
ようやく意識を取り戻したような顔をしてハンスが尋ねてくる。
「ウェルリンテ様の目的は、この家を存続させることですよね.......成る程、理にかなっていますね。国を奪った際にその場所を治める領主が必要になるはず。元々手伝っていた領地はそのまま治め続ける場合が歴史を振り返って見ても多い。昨日言っていた宰相に乗っかる案の進化版みたいなものですか。」
「そう、宰相の場合は失敗する場合があるけど、ラグレビアならまず負けることは無い。だからということよ。」
二人は大きく頷いてくれる。
「これからはファリシスさんと"仲良く"なるのと、家計図の書き換えが主な計画となってくるわ。」
「仲良くなるのは何とかなるとして、家計図の書き換えは.......」
家計図は教会の中に保管されている。個人情報の中で一番重要とされており、平民ならともかく貴族の家計図となると厳重に保管されており簡単に見ることは出来ない。まして、書き換えなどもってのほか、と言いたいのだろう。
「これを見て欲しいの。」
私はラインヒルト様とレイラに見せた、あの封筒を取り出した。
読んでくださりありがとうございます。
新規登場人物
・イリシス=ランディ
ファリシスの家名はタルイテです。