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仁義なき異世界転生 ~勇者マサヨシの任侠伝~  作者: 風来坊 章
第三章 代理戦争
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第79話 地獄

 と言うわけで、地獄巡りのスタートよ。

 しかし、転生してからも、刑務所(むしょ)に入るとは、つくづく因果な話だぜ。


 そして、この地獄じゃ俺はいくら娑婆でイキがってても、新人(サラ)扱いだから、転生前極道やってた時のように、組織的に庇ってくれる仲間らもいねえだろうなあ。


 なんかやったら、すぐ懲罰とかだろうし。


 いやいや、ビビるなマサヨシ、地獄の懲役共にナメられんぞ。


 シャリ上げとか、丁稚(パシリ)扱いとか新人(サラ)イビリしてきたら、相手ぶっ殺す気概を見せねえと、多分この千年、魂が持たねえ。


「ちょっと! なんでアタシもアンタの刑に付き合わなきゃならないの!」


 精霊フューリーも、同化して刑を受けさせる。


 こいつには、俺の人助けって事で、一緒に刑を受けてもらうし、それだけの事を、おめえもこの世界でやってきたんだから、俺の地獄めぐりの旅の道連れよ。


 まず最初は等活地獄。

 もうね、地獄を千年分経験して、あっちの時間で一か月で、懲役終えるって言うから大忙しよ。


 俺が最初アカ落ちしところは、刀輪処って言って、みんな刀とかの道具持って、互いにぶっ殺しあってんのね。


 やべえだろ?


 そんで鬼の兄弟分達から、過酷なヤキとか想像したが、俺に刀とか渡して来て、あいつら好きにやっちまえとか言うわけさ。


 いやあ、助かったわ。


 俺、閻魔大王親分から盃頂戴してるから、官が味方って言うか、地獄の鬼達はみんな兄弟分だから、全然懲罰とかされねえのよ。


 そんで、俺が人斬りマサって言われてたって事で、亡者共が恨み辛みで、俺の(タマ)狙ってすげえ湧いてきた。


 ムカつくだろ?


「てめえら、不良のくせして、泣き言とか言いやがってこの野郎! 全員かかって来いコラ! ぶった斬ってやっからよお!」


 もうね、全員ぶった斬ってやったわ。


 そしたら、体再生してまたかかって来たから、よっしゃあ、死なねえなら無茶苦茶やってやんぜって、ヤクザ(R15)のヤキ入れ大会よ。


「ガッハッハ、マジで地獄の亡者とか死なねえぜ! オラオラどうした根性なしが!」


「すんません! 勘弁してくだせえ!」

「もう、逆らいません!」

「許してください!」


「なんだとこの野郎! 全員指出せオラァ!」


 罰として小指(エンコ)落としてやった。


 そしたら次から次へと亡者とか、湧いてきやがるから、その繰り返し。


 もうね、テレビゲームの経験値稼ぎみたいなもんで、そんな作業が延々と続くわけだ。


 鬼の兄弟分ら、ひでえ奴らで、その様子見てゲラゲラ笑ってやがるし、仕事サボってんじゃねえよって思ったわ。


 そんで、次に行ったのは多苦処。


 地獄の亡者共が、鬼の兄弟分達から崖からどんどん突き落とされたり、爪剥がされたり、石乗せられて正座とかさせられてんの。


 それを俺は、ぬるいって指摘して、釜茹でさせてからコンクリ詰して血の池に沈めたり、縄で縛って逆さでバンジージャンプさせた後、途中で紐切って落としてやったり、指全部落とした後、塩塗り込んだりとか、ヤクザなケジメのやり方教えてやった。


 そしたら、鬼の兄弟分達ありがとうって喜んでた。


 え? 俺のヤキ入れはどうなのって?

 やられるわけねえだろ、身内なんだから。

 雑談しながらヤキの入れ方教えてやったわ。


 次行ったのは極苦処。


 なんかここに来るの、粗暴な凶悪犯ばっからしくて、もう亡者の野郎ら、めちゃくちゃに喧嘩しまくってんのな。


 で、当然俺に喧嘩売ってくんだろ?

 そしたらもう、殴る蹴るよ。


 そんでも、クソ生意気な物言いしてっから、鬼の兄弟分らから、金棒借りてボコボコにブチ回してやった。


 そのあと、燃える鉄板の上で、詫び入れとしてごめんなさい1万回言わせたあと、焼き土下座よ、焼き土下座。


 ちっとは、この亡者共も、誠意って言葉を覚えんだろうよ。


 それが終わったら、瓮熟処(たくしょ)な。

 鬼の兄弟分らが、いい湯加減にしてくれてよ。

 長風呂して来た。

 あちいって泣き入れてる、亡者尻目にさ。


 最後は、闇冥処行って、布団とテレビなんかも用意してくれてそのまま就寝よ。


 鬼の兄弟らは、ここが一番ヌルいとこだから、本番の地獄の苦しみが始るまで、ゆっくりしてってくれって言われたな。


 次に行った刑務所は黒縄地獄と衆合地獄。


 ここまで来ると、強盗殺人とかしやがった、凶悪犯ばかりのムショみてえで、空気が違った。


 で、鬼の兄弟分らも、黄金の肌した気合入ってるの多くて、次はどんなヤキ入れてやろうかって、考えてる奴らばっかなのね。


 だから俺は言った。


「とりあえず、亡者の奴らあそこの剣山昇らせて、天辺でブレイクダンスさせてから、タップダンスやらせればいいんじゃね? うまく出来るまで」


 そしたら、亡者共は剣山の上でダンスパーティーよ、血だるまで泣きながらさ。


 あと血の池の上で、亡者を燃えた縄で綱渡りとかさせてやがったから、真っ赤に熱した、でっかい斧の上で綱渡りやらせてやった。


 文句言う奴は、燃える鉄板の上で、詫び入れとしてごめんなさい10万回言わせたあと、焼き土下座させながら、斧や金棒でヤキ入れよ。


 あと、亡者どもを血の池に潜らせて、鬼の兄弟らと一緒に、息継ぎして顔出した奴らへ、射的ゲーム開催なんかもしたっけか。


 最後の仕上げで、ここには拒魔犬の兄貴の子供らが沢山いるんで、子供らに兄貴の偉大さを話してやりながら、子供らの得意技の実験って事で、縄で縛った亡者相手に、超絶火炎魔法を俺と一緒に練習よ。


 この次以降の地獄は、もう鬼の兄弟らも立ち入らねえ、囚人達の自主性とやらに任せるって言うやべえ場所で、一切の便宜はねえとの事。


 ここからは俺の男が試される場所だった。


 叫喚地獄に立ち入る。


 元々俺が刑を執行されるはずの、筋金入りのワルばかり集められた地獄。


 どんな所だって? 個室で独居房だったよ。

 ていうか、懲罰房みたいな所。


 立ち入った瞬間、ありとあらゆる、苦痛が飛んでくる。


 ある時は火責め、ある時は虫責め、またある時は床と天井が狭まって、何度も潰されたり、またある時は、苦痛だけを与える目的のガスか何かが充満する。


 その他、毒の水が部屋いっぱいになって、何度も体を溶かされるは、飢えた地獄のネズミ集団に体を食われ続けるわ、そうかと思えば、丸一日身動きが取れなくなり、額に水滴を1秒毎に垂らされる。


 そしたら隣の房の野郎、泣き入れて叫びやがってやがったから、うるせえボケって房蹴飛ばしたら、その瞬間、身を焦がすような、高圧電流が丸一日流れ続け、俺も大絶叫よ。


 そうかと思えば、俺が不幸にした連中らしき奴らの、呪詛みたいな恨み辛みが耳下でささやかれ、さすがに泣き入れながら、叫び声を上げた。


 そして厄介なのは、叫べば叫ぶほど、この懲罰房のヤキの入れ方が、激しくなって来やがる点。


 こんな所に予定通り、4千年とか入れられたら、魂の消滅を願い出るよ。


 叫喚地獄とはよく言ったものだ。


 話し相手だったフューリーは、もはや一言も口を聞かなくなった。


 次は、焦熱地獄でヤスがいる場所。

 ここまで行くと、稀代のワルしか入れない。


 どんな地獄かって?


 体を細胞レベルまで分解されて、燃える恒星のような浄化の炎で、痛覚と感覚保ったまま、焼き尽くされる。

 

 極炎で焼かれた後は、痛覚と感覚が残ったまま、極低温の絶対零度の世界で、凍りつくされる。


 これをおおよそ、一分毎に繰り返す。

 何が来るかわかる分、シンプルにキツイ。

 頭おかしくなりそうだった。

 

「もう、慣れちまいました。兄貴がいねえ方が辛えです」


 ヤスの魂が、語りかけて来なきゃ確実に俺は狂っていた。

 

 そして、ヤミーの馬鹿が最初に下そうとした、無限地獄の懲役で、俺は最悪の地獄を経験する。


 そこは地獄の最下層で奈落の穴。


 ブラックホールみたいなところで、魂が歪みそうな高重力の嵐を抜けた先は、光も何もない空間。


 聴覚、嗅覚、視覚、感覚、味覚が、一切存在せず、平衡感覚も時間感覚もクソも無いような、無の空間で、自我と苦痛の思いを保ったまま、ひたすら漂うような最悪の懲役だった。


 そして俺は最初の等活地獄で目を覚ます。

 キツイ経験だった。

 まさに地獄巡りとはよく言ったもの。


 さすがのフューリーもキツかったらしく、すすり泣いていやがった。


「ふむ、マサヨシよ。キツそうだな」


 魔獣の姿になった、拒魔犬の兄貴が現れた。


 口から青白い炎を、今にも俺にぶっ放しそうな、本来の姿になってる。


「ああ……兄貴、どうしてこちらに?」


「うむ、私の子供達が世話になったようだな。閻魔大王様の担当する、全ての地獄を体験した懲役1か月間の1日目、さぞ疲れたろう」


 ……え!?

 いやいやいや、ちょっと待てよ。

 あれが俺が送る懲役の1日?

 千年分を一ヶ月でやるってそういう……。


「ハハ……兄貴、冗談でしょ?」


「……がんばれ」


 俺は絶望で膝から崩れ落ちた。

 この他、色々な地獄を経験したよ。

 

 親分と交友ある、ハーデスさんって神様の所の地獄に行って、神曲のダンテさんよろしく、九つの地獄とかも経験したり、他に原初の地獄とか、それはもう俺が泣き入れて、魂の消滅を願い出るような、やべえ地獄ばっかりだった。


 やっぱさ、悪い事はしちゃあいけねえな。

 ヤクザな俺が言うのもなんだけど。


 そして千年の懲役が終わり、俺の魔力と精神力が飛躍的に増している気がする。


 懲役を終えた俺に、ヤミーが抱きついた。


「マサヨシ、あの世界が!」


 どうやら再会を喜び合う暇はなさそうだ。


 ヤミーの話によると、ゼウスとその配下の神々達が、次々とあの世界に、侵攻準備をしているという話だった。


 そして、俺は第二の冥界の試練を受ける前に、地獄の鬼の兄弟達と一緒に、親分の元に呼び出される。


「者共、戦争じゃ! 創造神様の仲裁が入る前に、我らの力を思い知らせるのじゃ!」


 親分の喧嘩開始の宣言がなされる。

 創造神様のやめが入るまで、徹底的にやる気だ。


 神界と冥界の代理戦争が、神同士の戦争に変わり、あの世界の存亡をかけた戦いへと変貌してしまった。


 そして俺とヤミー、拒魔犬の兄貴は先んじて、仁義なき世界に帰還する。


 空は暗雲が立ち込めて、闇に包まれていた。

 せっかく俺とヤミーが、太陽を取り戻して、明るくなった世界なのに。


「ごきげんよう、マサヨシ様。ご帰還お待ちしておりました」


 東部戦線の前線基地には、なぜかアレクシアがおり、傍には、俺に申し訳なさそうな顔をした、レオーネの姿も……。


 ああ、これはアレだ。

 絶対やばい事起きてる。


「マサヨシ殿、王国で革命が起きました。首魁は、ラウール・ド・コルネリーア、私の父です」


「はあああああああ?」


 革命って……おい。

 なんじゃああああ、そりゃああああ。

 レオーネの親父さん何してくれてんのよ!


「申し訳ありません! 精霊領域のエルフ領も、革命軍と旧聖騎士隊に占拠されました。あの地域は私が大公ですので、領地の正当性を、父が主張して」


 ていうか、あの人枢機卿だろ教会の。

 それに、旧聖騎士隊って。


「マサヨシ様、私から説明しましょう。ああ、これでマサヨシ様のおそばに、ずっといられます。なんて素晴らしい」


 いやいや、全然素晴らしくねえよ。

 俺の胃に穴が空きそうなんだけど。


 アレクシアの話によると、教会がアレクシアを悪魔勢力と認定。枢機卿制度と、聖騎士制度を撤廃し、王国へ強制送還した。


 そして一週間前にラウールの親父さんや、旧聖騎士隊を中心とする、貴族勢力による革命が王国で起き、王位に未練など微塵もなかったアレクシアは、魔王軍にペテンかけながら、あっさりと共和国連邦に亡命する。


 そして、共和国西方の王国と共和国連邦の戦争はエスカレートして、泥沼の仁義なき戦いになっているという。


 難民問題を抱えた東部戦線は、俺の禁を破ったマフィア連中が、難民の殺害をした結果、自国民保護の名目で、ガイウス率いる皇国軍が侵攻し、極悪組と共和国軍による、泥沼の戦争状態に陥っているようだった。


 ロンと極悪組の面々が集まり、俺に頭を下げ、詫びを入れに来た。


 ガイウスの野郎、あの馬鹿女神がいなくなって、やる気満々だな。


 あいつとゼウスが手を組まれたら、まずい状況になる……というかすでに組んでるかも知れんな。


 そして魔王軍の状況は、アレクシアによると、魔界から増援がやって来るものの、魔界各国の多国籍軍と化し、指揮系統が全然とれねえらしく、アスモデウスが往生しているようだ。


 そして、この世界を舞台にした、天空神ゼウスと、閻魔大王親分との喧嘩。


 間違いない、この世界滅びの道に向かってる。


 ふざけやがって……。


 親分はともかく、俺が救うべき世界、俺の縄張り(しま)で、好き放題やりやがって、全員ぶち殺すぞボンクラ共が。


 ん、待てよ。


 俺は極悪組の面々を集合させる。

 共和国大統領になったコルレドも出席し、ロンとアレクシアも全員この場に集める。


 教王さんは、公務で来れねえらしいがしょうがねえ、ここにいる全員に、俺の描いた絵図を打ち出そう。


「おう、俺がちょっと留守にしてる間に、なんだこのザマはよお。神界から来た勇者やボンクラ共にいいようにされやがってコラ!」


 全員がうなだれる。

 まったく、しょうがねえ兄弟達、子分達、女達だぜホントよお。


「俺が帰った以上、好きにはさせねえ。おい、アレクシア、おめえの権限で魔王軍を東部戦線に、集合させろ! あと、共和国東部で亡命政権作ったとか表明して、裏切り者の王国の革命騎士団も呼び寄せとけ」


「なるほど、マサヨシ様。そういう事ですね」


 理解が早いな。

 さすがはヤスが転生してただけはある。


「おう、ブロンド! おめえ本名のグルゴン名で、この前形だけ作った、エルフ王国亡命政府の声明出して、アレクシアとエルフ領域の正当性主張しろ。自分は共和国連邦東部にいるって告げてな。ニコ、サポートしてやれ!」


「はい、わかりました。親分」


 よおし、子分達頼むぜ。


「レオーネ、おめえは親父さんに連絡取り付けて、俺との婚姻を狙うアレクシアの亡命政府に、誘拐されたとでも伝えろ!」


「わかりました、マサヨシ殿」


 親父さんは、俺とレオーネが結婚する事を強く願っているから、騎士団率いて、何がなんでもレオーネを奪還しに来るだろう。


「ガルフ、おめえさんは自分の王国のカミさんに、エルフ王国にいる残りの騎士団連中を、ドワーフ使ってさらわせて、戦闘不能にしとくよう、言っておいてくれ」


「わかったぜ兄者」


 よおし、王国のクソ馬鹿連中はこっち来る。

 そんで俺の縄張りから追い出してやる。

 魔王軍の奴らもな。


「コルレド、おめえは王国騎士団の守りが手薄になったところで、共和国連邦軍を使って、王都デヴレヴィを占拠しろ、いいな!」


「へい、わかりやした」


 王都を抑えて、勝利宣言を出す。

 これで王国との喧嘩は終わりだ!


「ヤミー、親分に伝えてくれ。決戦の場所は、共和国連邦東部、頼むぜ」


「わかった、マサヨシ!」


 そしてボンクラ共を、全員一か所に集めて、俺がまとめてぶっ飛ばしてやる。

 皇国のガイウスもろともな、あとは……。

 

「おう、ロンの兄弟よお、戦場にはガイウス含めて、皇国軍が多数集結しやがるだろうから、おめえさんは母国の首都に戻って、皇帝に返り咲け」


「わかった」


 よおし、舞台は整った。


 俺が転生前の極悪組で、日本全国で起こした数々の侵攻作戦で手柄立てて来た、武闘派ヤクザの恐ろしさを、神界のガイウスと、魔界の悪魔野郎らに教えてやる。


「いいか、俺達極悪組がこの世界を救うんだ! 俺達がこの世界の代理よ! 神だろうが悪魔だろうが全部ぶちのめす! 気合入れろ!」


「おう!」


 こうして、この世界を救うための、真の代理戦争の幕が開けた。

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