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仁義なき異世界転生 ~勇者マサヨシの任侠伝~  作者: 風来坊 章
第三章 代理戦争
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第75話 難民

 そうか、アスモデウス率いる魔王軍の攻撃準備が完了したって事か。


 ちくしょう、これから宴会開いて飲んだ後、女共酔わせて、部屋に連れ込んでムフフな絵図描いていたのに悪魔野郎共め。


 極悪組が全員集結し、アレクシアがアスモデウスに連絡を取り付ける。


 そう、こいつは魔王軍にまだ所属しているから、あのポンコツをペテンにかけて情報を抜き出せる筈。


「ごきげんよう、アスモデウス閣下。ついに人類攻撃の準備が整ったわけですね、私は共和国連邦とは表向き和平を結び、情報収集中ですが、彼らは油断しているので、挟撃でも行いましょうか?」


「参謀本部大将! 貴様は軍を何だと思ってる! 報告を事前に私に入れよ! こちらからも幾度も連絡したのだぞ!」


 ああそん時は多分、俺とドンパチやってた時か、風呂に入ってた時だろ? 出れるわけねえよ。


 携帯みたいに着信知らせたり、留守電入れられる機能は、水晶玉にねえんだから。


「今は亡きベルゼバブ宰相が独自に計画していた、特別軍事機密の作戦中につき、すみやかな報告ができず申し訳ありません」


 うは、しれっとかわしやがった。

 味方にするとすげえ心強いなこいつ。


「まあ良い、貴様にも先ほど連絡ようとしたが、魔王軍総司令部が攻撃にあったのだ。奴らは共和国軍服に身を包み、空爆をしてきた。先に手を出したのは向こうである」


 はあ?

 なんじゃそら、そんな事してねえよ馬鹿野郎。

 だいたい、俺達が今おめえらに手を出して、なんの得があんだよ。


 俺はアレクシアに目で合図する。


「かしこまりました、因みに攻撃側の確認方法や確たる証拠などは収集されたので?」


「共和国軍服に加えて、飛行船に軍旗を確認した。戦端を開くには十分だろう」


 軍旗だって?

 軍を識別する代紋みてえなアレか。

 くそ、これは多分ハメられたぞ。


 やった野郎は、女神アテネと勇者ガイウスの、神界コンビの皇国に違いない。


 くそ、あの野郎らに魔王軍総司部を攻撃して来いって煽ったのは俺だが、まさかこっちに擦りつけてきやがるとは、ナメた真似してくれる。


「かしこまりました。それでは、参謀本部大将として、ご意見いたします。こちらは目下情報収集中ではありますが、共和国内も混乱状況。第三者からの謀略の可能性も」


「大将、元帥命令だ! そんな確証が無い以上、共和国を敵勢力と断定し、貴様も総司令部へ招集を命じる! 以上!」


 チッ、ポンコツが。

 だがそりゃあそうか。


 緊急時に、警察みてえに証拠云々調べて、裏取りしてから慎重に動く事なんか、基本的に極道や軍隊にはねえし、すみやかに情報収集してから、方針決めて、さっさとトップダウンで動かねえと、万が一見誤った場合の被害がでかい。


 おそらく、ガイウスの野郎があの馬鹿女神を説得して、ガラス割りのノリで威力偵察しやがったんだ。


 俺もよく、複数の対立組織が乱立するところに、他所の組織を装って撃ち込ませたが、あいつらそれをやりやがったか。


「マサヨシ様、私は急ぎ魔王軍総司令部に向かいますが、いっそどうでしょう? 魔王軍は混乱状態ですので、マサヨシ様の今の力で魔王軍に大損害与えるというのは」


 お? そいつは名案だ。

 やられる前に、やっちまおう。


 俺もヤスを救済したお陰で、魔力や精神力が増したから、入れ墨が入ってなくても、魔王軍大幹部に勝てる可能性だってあるし、奴らが攻撃期限を切ってきたという事は、軍の攻撃体制を整えるのが24時間という事。


「いいね、さっそくカチコミに行くわ」


 というわけで、俺は凍えそうな寒さを我慢して、精霊と風魔法の飛行魔法で氷の大陸まで赴く。


 極悪組の奴らは置いてきた。

 ガイウスの野郎らが、共和国に悪さしてくる可能性があるからな。


 代理はロンとガルフに任せてあるし、多分大丈夫だろう。


「さあて、アレクシアと到着ずらしてるし、派手に撃ち込まさせて貰うぜ」


 俺は天空に炎と土の魔力を充実させる。

 ヤスとアレクシアが使ってた大魔法だ。

 ていうか、これ魔力消費が激しすぎるぞ。

 アレクシアの奴、化物だやはり。


 座標はアレクシアが教えてくれた通りの場所。

 行くぜ悪魔野郎共!


流星群(メテオ)


 無数の隕石のような火の玉が、魔王軍総司令部方向に落下していく。


 そして複数の、眩い閃光と共に大爆発を起こした。


 衝撃波が幾重も地表を覆い、その後、何度も腹に響くような大音響がする。

 

 すげええええええええ。

 この魔法やっぱ威力すげええええ。


 よし、帰りの飛行のための、魔力補給用の聖水も沢山あるから、もう一発。


 すると、まるでテレビで見た湾岸戦争のように、隕石群を撃ち落とすための、対空用の火炎魔法が、バルカン砲のように連射され、隕石に撃ち込まれるが、構わず吹っ飛ばす。


「ハッハー、往生しろや! クソ野郎共!」


 やべえ、楽しい。

 よっしゃあ、のってきたわ。

 最後にとっておきをブチかましてやるぜ。


 湾岸戦争で思い出した事がある。

 転生前に読んだ本で、世界の兵器特集なんてのがあって、確か、地中に築かれた地下施設もろともぶっ壊す、アメリカさんで開発された道具。


 なんだっけか?

 ゴルフのバンカーみたいな名前の。

 ああ、バンカーバスターって奴だわ。


 えーと、確か高空にでっかいミサイルの形した、長さ10メートル以上、幅1メートルくらいの鉄の塊作って、重さ30トンくらいか? 

 

 うわ、重! 

 

 魔力で支えるがきっついわ、こいつに冥界の封印魔法と火炎魔法を組み合わせた、冥界の炎を封じて、あとは、風の力を推進力で……。


 いけおらああああああ。


貫通爆弾(バンカーバスター)!」

 

 巨大な鉄の塊が、高空から音速の速さで、魔王軍総司令部の方向に向けて落ちていき、見えなくなった瞬間、ピカッと光る。


 そして何かに誘爆して派手に吹っ飛ぶ。

 

「たーまやー! ハッハッハー! こいつを、ダンプの代わりに敵対組織の本部事務所にブチ込みてえって、妄想した事あるがよ、夢が叶ったぜ!」


 さあて、帰るか。

 あースッキリしたわ。

 やっぱ、撃ち込みに行くのは最高に楽しいな。


 おそらく、かなりの損害を与えた筈だ。

 それに、さっさとトンズラしねえと、怒りに燃えたポンコツ女が、ぶっ殺しに来るだろうし。


 入れ墨が無けりゃ、多分あいつには勝てねえ。

 そう、ヤミーの力で発動する入れ墨。

 ヤミーの奴、よりによって何で俺に……。


 そして俺は、全速力で氷の大陸を後にした。

 海を渡っている途中、水晶玉から連絡が入る。

 コルレドからか?


 風切音が通信に入らないよう、途中で空中で停止する。


「マサヨシだ、どうした?」


「大変です、兄貴。共和国連邦東部で、皇国の難民達が大暴動や略奪行為を起こしてます。武神隊や異端審問官達が対応中ですが、数が多すぎて苦戦中です」


 ガイウスの野郎ら、動きやがった。

 あいつら、魔王軍との喧嘩に乗じやがったか。

 しかし、難民だと?


「数は? おおよそでいい」


「へい、共和連邦軍の観測によると、今現在暴動と略奪をしている連中は、1000人前後。さらに国境沿いには、少なく見積もって1万以上は……」


 マジかよクソ、考えやがったな。


 あの野郎らは、正規軍とか共和国連邦に送れば、神界と精霊界の協定違反になるから、皇国の貧民とか犯罪者を追いやって、その何人かに空気入れて扇動させやがったんだ。


 こっちが軍でも投入して、鎮圧に回ろうもんなら、民間人を攻撃したって事で、あっちに大義名分与えちまって、戦争行為じゃなくて、あくまでも自国民保護とか言って、あいつらも軍とか投入してきてくるんだろ?


 実話とかの週刊誌に載ってる、政治経済とかのコラムで読んだ事あるぞ。


 ていうかよ……ふざけやがって!


 軍人ならまだわかる。

 軍隊の仕事は敵をぶっ殺すのが仕事だし、それで飯を食ってるから玄人よ。


 極道ならまだわかる。 

 親分と盃結んで、喧嘩があれば、相手をぶっ潰すのは子分の義務だから玄人よ。


 軍人も極道も一応、軍法や協定とか、極道の掟とかルールに沿って喧嘩する。


 だが、戦争に素人のカタギ連中とか使うのはダメだろ!

 あいつらヤクザより酷え。


 神のくせに、人間を何だと思ってやがんだ!

 だが、キレるなマサヨシ、冷静になれ。

 奴らが皇国の代理の連中使うなら、こっちも代理を使うまで。


「おう、コルレド。極悪組と傘下のマフィア連中を現場に投入だ。俺もじきに向こうに行くから、喧嘩支度を、ガルフの野郎にするように言っておけ」


 共和国連邦東部の国境地域、バクード。

 かつて皇国との交易で栄え、人口50万の商業都市だったが、皇国が魔界の不死隊の攻撃で酷い有様になって戦乱状態となり、その関係で、難民が急増して半分不法占拠された街。


 俺は、武神隊の前線基地に着くと、武神隊の怪我人が多数出ており、異端審問官達が回復魔法唱えまくって、夜戦病院みたいになってる。


 そして水晶玉から連絡が入る。


「マサヨシ様、アレクシアです。攻撃は成功したようです。総司令部の損壊は約4割。魔王軍に多数の死傷者が出ています。それと、地下の司令指揮所は燃やし尽くされ、現在使用不可となっている状態です」


「そうかい、結構結構。やっぱバンカーなんちゃらはすげえな。で? 向こうさんどうする気よ?」


「戦力を整え次第、一転攻勢に動くようです。私にも、共和国連邦を王国騎士隊を使い、挟撃するよう命令が下りましたので、そちらに攻撃せざるを得ません」


 ちくしょう、せっかく王国と和平協定結んだのに、こうなるか。

 ならば、アレで行こう。


「あー、じゃあこうしようや。コルレドに伝えとくからよ、おめーさんら、適度に共和国西の国境の軍事基地に撃ち込みしとけや。そんで、適度にうちらの共和国軍を引かせるから、占領したって手柄たてとけばいいや。その隙に、俺が魔王軍ぶっ潰しとくから」


「なるほど、その手がありますわね。さすがマサヨシ様です」


 とりあえずアレクシア達に、ガラス割りさせて時間を稼ぎゃいいや。

 攻撃したことで王国の面子も立つし、共和国も大した被害は受けねえしよ。


 後は適当なところで、ソフィア教王さんらに根回ししといて、教会側で調停させて、さらに時間を稼いで、その隙に魔王軍をぶっ潰して、アスモデウスを俺の女にしてやる。


 あのポンコツ女、元帥とか言ってお高く気取ってやがるから、ジゴロのマサと呼ばれた俺が、徹底的に男をブチこんでやって、ひいひい言わせた後、俺の言う事しか聞けねえようにしてやる。


 そして、極悪組やマフィア共を乗せた飛空艇団が到着する。

 これで喧嘩の準備は整った。

 総員、3000人って所か。


 そしてロンの兄弟は、怒りで男泣きをしていた。

 自分の国民が、難民に堕とされ、同盟国だった共和国への侵略の尖兵にされている事に。


 そして、集結させた連中に檄を飛ばす。


「野郎共! 相手は皇国から送り込まれた難民集団だ! だが、あいつらは敵じゃねえ! 神界から送られた女神アテネと、自称勇者ガイウスとかいう野郎が陥れた可哀そうな連中。だからよお、自分の身を守る以外は、難民連中をぶっ殺すことを禁じる! いいな!」


「へい!」


「神だとか勇者とか気取ってやがるあいつらに、本当の正義を教えてやれ! 任侠道とは!?」


「弱きを助け、強きを挫く!」


「その通りだ! 皇国を俺の兄弟分に取り戻させる! それじゃあ喧嘩するぞ!」

 

 よおし、決まったぜ。

 やっぱり、俺超かっこいいな。

 俺の熱い演説が終わり、喧嘩の準備が整った。

 

 親分から冥界の代理として、絶対勝利の命令を受けているし負けは許されない。

 それに、難民連中を俺がぶっ殺し回ちまったら、得々ポイントが大幅に下がるしな。

 せっかくマイナスポイントが、2000ポイント台の大台に乗ったんだ。

 これで、世界を救済すれば俺の男は上がり地獄の刑罰も免除よ。


 そして、女共をコマしまわって、俺のハーレム帝国でもこの世界に作ってやるか。 

 へっへっへ、たまんねえなあ。

 俺は得々ポイントカードを見やる。


 マイナス691074……へ?

 おいいいいいいいいいいいいいいいい。

 なんじゃああああああああ、こりゃあああああああああ。

 ちょっと待て、何だこれ、何だこれ。

 何で桁が増えてんだよ、ふざけんな馬鹿野郎!


 なぜだ? どこでヘタ打った?

 とりあえず、カードの実績確認、なになに?


 神への重過失傷害? マイナス700000ポイント?

 はああああああああああああああああ。

 なんじゃそりゃあああああ。

 身に覚えがねえよ、なんなんだよこれ。


 すると、兄貴が駆け寄ってくる。


「大変な事になったぞ、マサヨシ! 大王様がお呼びだ! お嬢様もご同行願います!」


 マジか、こんな時に?

 くそ、喧嘩の陣頭指揮を執りてえのに、これじゃあ。


「ロン、ガルフ、喧嘩の指揮任せてもいいか? 俺は親分からの呼び出しで留守にする」


「ああ」

「任せよ、兄弟」


 そしてヤミーは俺を一瞬見て、うな垂れた。

 まさかコイツに俺、何かしたか?

 

 風呂場で、こいつの気持ちを知っちまったが。

 でも俺は残念ながら、こいつの気持ちに応えてやることはできねえ。

 だが、俺がお前を大切に思っている気持ちには、嘘はねえ。

 この世界を救う、大事な俺達の神様だからな。


「行こうや、俺の神様よ」


 俺は手を差し出し、ヤミーの手を握ると、駒馬犬の兄貴と共に、親分の元へ駆け付ける。

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