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仁義なき異世界転生 ~勇者マサヨシの任侠伝~  作者: 風来坊 章
第三章 代理戦争
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第55話 証人喚問

 お控ぇ成すって、お控ぇ成すって!

 そちらにいらっしゃるお兄さん方、お姉さん方、お控えなすって!


 小説家になろう軒下を借り、遅ればせの仁義、失礼さんでござんすが、これよりあげます言葉のあとさき、間違えましたら御免なすって!


 これより軒下三寸を借り受けまして、転生前、転生後の稼業、仁義、発します。


 手前、生国は、戦乱渦巻くアルフランド大陸の北端、デヴレヴィ・アリイエ王国、西の最果て、潮騒の香りがする、デーバ町となりやす。


 その更に外れにありやす、海沿いの教会において、僧侶としての修行三昧の日々を、送ってはおりやしたが、憎き魔界の悪魔に滅ぼされ、故郷と育ての親全てを、失いやした。


 転生前の性は清水、名は正義。


 日本最大最強の極道、極悪組6代目を、恥ずかしながら称しておりやしたが、自業自得の因果にて、愛する子分に外道と呼ばれ、引導を渡され、以後あの世におわします、閻魔大王親分のご配慮により、仁義なき異世界に転生しやした、半端者でござんす!


 転生後の性は無く、名はマサヨシと申しやす!


 人呼んで、誰が名付けたか勇者マサヨシ!

 

 閻魔大王親分から盃を頂戴し、閻魔の姫ヤミーに導かれ、王国で悪魔や悪徳貴族、精霊王相手に切った貼ったの喧嘩三昧の日々を送り、舎弟、子分達に恵まれて「新生極悪組」を立ち上げやした!


 しかしながら、転生した愛する子分に敗北し、現在は共和国連合にて再起を図る旅の途中でござんす!


以後お兄さん、お姉さんのお引き立て、よろしくお願い申し上げやす。

 俺とヤミーは、ポートランド共和国連合首都、フリーダムシティの共和国議会議事堂に、今日も赴く。


 共和国連合と王国の国境の前線基地から、馬車で身柄を首都に移されたからだ。

 俺達極悪組は、共和国首都のホテルに軟禁状態となっている。

 舎弟のコルレドは、根気強く軍と交渉してくれてるが、議会の議員連中が納得しねえんだと。


 それに俺の魔法の水晶も全部取り上げられたし、武器とかも全部没収。

 マジで、いらいらする。

 左目を無くして以降、ムカつきが止まらねえぜ。


 基地に迎えに来る予定だった教会幹部も、共和国の連中に丸め込まれ買収されたのか、予定の日に迎えに来なかったし、共和国議会では、王党派と平民派、そして元貴族派が大論争を起こして、その度に俺とヤミーが証人喚問って名の、尋問を受けに、議会に呼び出される。


 一応この共和国連合は3つの領域国家の連合体で構成される、議会制民主主義的な資本主義国家って感じで、ギルド組織の本部もたくさんあるわ、フリーダムシティ中央には教会本部もあり、表向きは王国なんかよりも、経済的に発展し、魔法科学技術も王国よりも上だ。


 ただし、馬車で移動中に俺も見たが、そこかしこに孤児や浮浪者、そして犯罪目的のガラが悪い集団やらがいて、上辺だけは奇麗だが、実態はクソのような腐敗したダメ国家の臭いが、プンプンする。


 ちなみに、このフリーダムシティは教会本部があるおかげで、表向きは中立領域となっている。


 そんで、議会に呼び出され、ボンクラ議員の論争が始まるわけだ。


「こんなおかしな格好をした、若造が勇者だと? 証拠を見せろ証拠を!」

「あんな小娘が神だと? とてもそんな風には見えん!」

「だいたい王国の王侯貴族など、信用に値する連中か? 馬鹿馬鹿しい」

「王国のスパイに決まってる! あの王女はそれくらいの事はする」


 こんな感じで人様を指さして、一々否定しにかかる論調が、平民派議員連中。

 議員のほとんどが、王国元平民であり、今は市民と名乗っている。

 といっても、こいつらの領域の東側は、皇国の移民に占拠されてるけどね。

 この共和国の最大野党で元与党だが、金がねえから最初皇国に買収されてた。


 皇国ってのは、東の超大国のチャイ皇国。

 元々皇国と共和国は、対王国の安全保障を結んでいる同盟国だった。


 しかし王国のアレクシアの陰謀で、こいつら平民派の主要連中は秘密裏に王国に買収され、不死隊の攻撃によって国土がボロボロにされて食糧支援を申し出た皇国に対し、議会多数派だった平民派は、安全保障を打ち切り皇国を見捨てた。


 現在の皇国は、コルレドの情報によると、国内が絶賛内戦中で、人類側の英雄にして皇帝の、ロン・ブラフン・チャイ・チャイーノは、行方不明となってるそうだ。


 多分、アレクシア達の魔王軍か、不死隊に暗殺された可能性がある。

 

 そして平民派の大半は、王国側から買収された王党派として分裂し、残りカスの無能なこいつらは、議会で王党派の連中や元貴族派連中に、難癖ばっかりつけるだけの烏合の衆と化し、共和国民からの支持率も低下してる、ただのボンクラ集団になった感じ。


 殺したくなるだろ?


「いやこの服、野蛮ですがセンスがあります。平民風情にはわかりますまい?」

「まあまあ、王国から無様に敗北してきたのだから、責めてやらないほうが」

「高貴さは微塵も感じませんが、顔立ちは整ってらっしゃいますし。一つ、平民出身の市民には荷が重い、我々誉れ高き共和国軍に編入させてみては?」

「平民派も金で転ぶ卑しい人たちじゃない? 臭いから発言しないでよ」


 こんな感じの上目線で、一々嫌味ったらしい論調なのが、元貴族派の議員連中。

 ほとんどが王国の亡命貴族や、元騎士たちが暮らす領域で、議員になった連中だ。

 金はあるし、軍にそこそこ顔が利くけど、口だけの風見鶏で少数勢力だ。

 そして万年野党で、与党になる気もなければ、自分たちの都合しか考えてなく、軍と癒着して私腹を肥やし、国家平安の為とか微塵も思っていないような、糞バカ連中よ。


 マジで殺したくなるだろう?


「和平協定の障害になるから、追い返すべきでは?」

「勇者に神など、我々に一銭も得になりませんし、賛成です」

「いえ、我々も忙しいですし、さっさとこの勇者の引き渡しに応じるべきかと」

「そうですな、私も賛成です」

「いっそ王国の対抗カードにすべきでしょう。うまくいけば引き渡した時、王国から金を引き出せる」


 議会多数派で、俺達の身柄を金で王国に売り飛ばしたいのが王党派。

 もともと平民派だったが、皇国を裏切り王国側についた連中さ。

 そして今も裏で、王国から金貰ってる奴らで、この国の売国連中だ。


 全員ぶち殺したくなるだろ?


 他にも共和派という、数年前まで残っていた党派があったという。


 元平民、元貴族の融和を考え、70年前に王国から独立した精神のもと、万人のための共和国をモットーに、共和国独立軍の英雄が設立した、老舗の愛国政党だったようだが、資金繰りがうまくいかなかったのと、平民派や元貴族派連中に分断くらって、党派の首長も暗殺され解散後、議員領域は王党派と貴族派が、分断支配するようになったらしい。


 この世界は本当に救いようがねえ。


 ま、俺がいた転生前の極悪組も、カタギさんの企業同様、結構派閥争いとかあって、誰に取り入ってゴマするだとか、誰の面子を立てるだとか、誰に金を配るかだの結構めんどくせえんだけど、結局ものを言うのは、組長としての自分のリーダーシップや決断の早さと、子分達の情報力と根回しと人望と金と喧嘩の強さな。


 だから俺がトップになれたんだ、ヤス達子分や舎弟の力もあって。

 神輿みたいなもんだよ、今思うと。


 でも共和国は、議会が決めた三人の首長連中がいて、実態はそれぞれの派閥のボスで、各派閥で足の引っ張り合いをしまくってるから、結局決断するのも遅いし、船頭多くして船山に上る状態よ、アホくさ。


 ヤミーも、自分が冥界で裁判する側だったが、逆の立場となり、こうも連日呼び出されて尋問されるのに、まいっちまっている様子で、日に日に顔色が悪くなっている。


 そして、もう限界にきて涙目になってるヤミーの代わりに、俺がイラついて言ってやったのよ。


「てめーら、うだうだとうるせえよコラ。俺の極悪組を否定する奴らは殺す、俺の極悪組をなめてる奴らは殺す、俺の極悪組を売ろうとしてる奴らは全員殺す。ああもうめんどくせえわ、いっそここの議事堂まるごと、魔法で吹き飛ばしてやろう。そのほうが早いだろ?」


 そしたら、揃いも揃って根性無しだからイモ引くわけよ。

 俺も最初敬語使ってたけど、もうめんどくさくてよお。

 マジでこいつらボンクラすぎるからさ。

 メモや議事録とかちゃんと残して、毎日目を通してんのかよってレベルね。


 俺が転生前に、本部で毎月の3日に開催する、月寄りの定例会で、伝達事項とか本部長通じて直参に流すんだけど、こいつら俺達極道よりも物を知らねえし、物覚えも悪いようだから、アホのチンピラにも理解できるように簡潔明瞭に説明すんのよ。


「俺勇者、こいつ神な。逆らったらぶち殺すから。でよ、あの国の王女は魔王軍大幹部で、頭脳が化物で滅茶苦茶強いから。そんであいつ大物ぶってるけど、ああ見えて結構面倒くさがりで、手下とか使って動かねえだけで、あいつ1人で多分共和国軍とか全部全滅すっぞ」


 もう、本当に嫌になるよな。

 俺がこんなにも簡単に説明してんのに、理解してくれねえし。


「あと魔王軍とかよ、あいつら根性あるし、他にも元帥とか、殺し専門の特殊部隊とかいて、マジでやばいからな。俺らくれえじゃねえの? まともに喧嘩になるのさ。で? そんな俺らに何だその言い分? 頭にくるんだが? マジで殺してやろうかこのボンクラ共が」


 で、またあーでもねえ、こーでもねえ話になって、一日が終わるんだろうな。

 ほんと、この世界の奴らはムカつく奴らばっかりだぜ。

 もういいや、馬鹿の相手はこの辺で、そろそろ先へ進めねえとな。


「もうラチあかねえからよ、王国側のアレクシアに水晶玉繋げろや」


 こうして、共和国議会内で俺とアレクシアの会談が始まった。

 会談には、共和国首長3人も出席する。

 

 王党派のピエール・コレイニ

 元貴族派のルイ・ド・フィリップ

 平民派のブリュワーズ


 コレイニ一族は名家だそうで、実質この国を仕切ってるのがこいつら。

 そして俺の舎弟のコルレドは、こいつが妾に産ませたガキの一人だという。


「ごきげんよう、マサヨシ様」


 相変わらず、水晶玉のコールがしねえうちに出るな。

 まあ、ヤスらしいよ。

 あいつ俺が電話かけると、1コールしねえうちに出るから。


「おう、元気かい? どうよそっちは」


「ええ、女王に即位しました。そちらはいかがですか?」


 まあ、国王は死んだって確定情報を俺が流したからな。

 王子連中をこいつが殺した以上、即位は当然か。


「毎日、共和国議会のボンクラ共の相手さ。もう飽きたからおめえに連絡してんだ」


 俺の一言に議員連中、特に平民派連中が騒ぎ立てる。

 だからボンクラなんだよ、うるせえ奴らだ。


「それは難儀ですね、頭の悪い連中に振り回されてるとは、ご心中お察しします」


 ほら、あいつに全部聞こえてんぞ?

 馬鹿な奴らだぜ全くよお。

 さて、社交辞令はこれくらいにして本題と移ろうか。


「そういやよ、この世界全体におめえさんが、魔王軍大幹部だってバラしてやったの俺なんだが、そっちどうよ? 往生してんじゃねえのかい?」


「いえ、ご心配には及びません。あの騒動は国王に化けた、悪魔が起こした事件です。それに、あなた様の魔法の大爆発で、騎士隊長達は強く頭を打ちまして、全員記憶喪失か、意識不明の重体ですので、事件の実態解明は難しいのが、正直なところです」


 ぜってえ嘘だろ。

 あの後騎士連中全員に何かして、無理やり口封じしやがったな。

 こいつ敵に回るとマジで厄介だぜ。


「それと今回のニュースは、共和国側が王国を貶めるために流したデマ。教会にもそのように説明しておりますし、私の求心力は失われておりませんし、マサヨシ様の名声にも傷はついてません」


 全部こいつの想定内か。

 こいつの政治力、転生前の極悪組で俺を凌いでナンバー1だったもんな。


「なるほど。アスモデウスが当初の予定と違うって言ってたが、本当はお前、どんな絵図描いてやがったんだよ。まあ大方の想像はつくが、あの羊野郎かなり強かったんじゃねえか? 俺達がギリギリ勝てるか勝てねえかくらいのさ」


「私が仮に魔王軍幹部であるならば、軍規につきお答えできないでしょう。ただ私が思うに、魔王軍将軍討伐に、あなたとあの、ゴキブリのような女神しかおらず、計画が変更になったのではないですか?」


 おそらく、本来コイツが描いた絵図は、羊野郎はある程度戦闘が長引いたところで撤退し、油断させたところで、アスモデウスと組んで、俺の組員とヤミーを拉致し、俺を従わせる計画だったんだろう。


 そうじゃなきゃ、部下思いのアスモデウスが、自分の部下をこいつの作戦に参加させるわけがねえ。


 だから、あいつ自らあの悪魔を、半殺しどころか瀕死まで追い込んだって事か。

 さすがヤスだな。

 こいつやっぱり、前の世界でもこっちの世界でも化け物だ。


「それで、おめえの絵図は多分こうだろ? 亜人領域を支配した俺と結ばれることにより、王国の優位性を世界に発信して世界征服。その後計画通りヤミーをさらうかなんかして人質にすれば、神界や閻魔大王親分も手を出せなくなる。そういや、ヤミーが魔王軍のチンピラに、この世界で誘拐された件もあったが、あれ元々おめーの仕込みじゃねえのか?」


「うふふ。まあ仮に私が魔王軍幹部ならば、そう思うかもしれませんね」


 やっぱりな。

 こいつの頭脳と、絵図の書き方ハンパじゃねえわ。

 じゃなきゃ俺は、前の世界で極悪組の天辺を取ってねえし。


「それと、あの時は聞けなかったが、なんでおめえ魔王軍大幹部やってんだよ? おめえほどの奴だったら、俺と組めばあいつら潰せんだろ? なんかメリットでもあんのかよ?」


「私が仮に魔王軍幹部だとしたら、私は理由の無いことはしません。あなたもよくご存じでしょう?」


 へ、まあそりゃあそうだな。

 じゃあそいつを聞くのは、俺達博徒の流儀で行こうか?


「よう、じゃあこうしようや。俺が勝ったら、その理由を聞くのと、今度こそおめえの哀れな魂を救ってやるよ。ほれ、俺は寺銭賭けたぜ? おめえはどうする?」


「そうですね、私が勝ったらあなたは私のものになる。そして死が二人を別つまで、私は一生添い遂げます。ついでに、デマを流して私と王国を貶めた、共和国もいただきにいきましょう。これでどうでしょうか?」


 どうあっても、俺が欲しいって事かい。

 可愛い野郎だぜ。

 さすがは俺の一の子分だったことだけはある。


「いいだろう、じゃあ賭場の開帳はいつで何処よ?」


「そうですね、今から3か月後。私は王国女王として宣戦布告し、共和国とあなた様をものにしに、全軍で共和国国境にうかがいます。もしかしたら、それくらいに魔王軍にも動きがあるかもしれません。もっとも、私は王宮にて、いつでもお待ちしておりますので、期限内ならいつでも、マサヨシ様がこちらに来ていただいて構いません」


 なるほどね、3か月で王国軍と魔王軍の体制が整い、共和国に侵攻するという事か。

 その前ならこいつは、立場抜きにして、個人間で自由に喧嘩しようって意味ね。

 じゃあ3か月以内に、落とし前つけに行くとするか。


「おう、いいぜ。じゃあ、それまで元気でな」


「はい、お元気で。愛しています」


 こういうわけで、俺達の喧嘩の期限が決まった。

 そして、俺は首長3人に向き直る。


「よう、どうやら俺もあんたらも、あいつにハメられたらしい。3か月後に戦争再開だってよ? 肚くくるんだな、ボンクラ共」


 俺が言うと、首長の3人は全員顔面蒼白となった。


「やはり王家とも通じてる様子ですな」

「せ、戦争? 戦死者が出たら、誰が責任をとるんだ!」

「は、はめたのはあんただろう! 王国のスパイめ!」


 何だこいつら、今更ビビりやがって。


「何だこの野郎共? 揃いも揃って根性無しが、いっぺん死ぬかコラ?」

「マサヨシよ、殺人はだめじゃぞ? といっても我もいい加減うんざりじゃ。馬鹿共よ、貴様らどこぞの馬車に轢かれでもして、死ぬがよい」


 俺とヤミーが恫喝(クンロク)すると言い返せねえでやんのな。

 もういいや、だめだこいつら。

 それとこの国も駄目くさいわ。


 この共和国は、とっとと俺の(シマ)にしちまおう。

 俺は密かに決意した。

 お待たせしました。

 この章が、書きたかった。

 おそらく転生した主人公が、一番生き生きとするのがこの新章。

 きっと、共和国は酷いことになるんだろうなあ(白目)

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