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仁義なき異世界転生 ~勇者マサヨシの任侠伝~  作者: 風来坊 章
第二章 王国死闘編
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第39話 脅迫

「てめーら、ドワーフ王国のどこの誰で名前なんて言うんだおらぁ!」

 

 俺は、ドワーフ達の鎧を脱がせて、手足縛ってヤキを入れまくる。

 

 しかしこいつら、喧嘩前に酒かっ食らってやがるのか、感覚麻痺してる。

 しかも結構痛めつけてるのに、ぜんぜん音を上げねえ。

 時間が経過し、俺はさすがに疲れて肩で息する。


「何だ人間めが!」

「ワシらドワーフを舐めてんのおらぁ!」

「調子に乗るな人間のガキコラァァァァ」


 俺の恫喝(クンロク)に、全然口を割りやがらねえよ。

 こいつら、根性ありすぎだろ。

 じゃあ、しょうがねえ。


 俺はブロードソードを抜くと、ドワーフのひげっ面に向けた。

 あんまり殺しとかやりたくねえし、ポイント下がるけど、しょうがねえ。

 一人か二人くらいぶっ殺して、ビビらせて口割らすか。


「マサヨシ、殺しはダメだと、お嬢様に言われておろうが!」


 拒魔犬兄貴は言うが、こいつら打たれ強くて(らち)があかねえんだもの。

 しょうがねえだろうが。


「兄貴、そうは言うがよ、こいつら俺らに負けたんだぜ? ここは一つ、わからしてやんねえと」


 俺が言うと、ドワーフ達は騒ぎだした。


「そうだった、ワシら喧嘩に負けたんだった」

「この人間のガキが言うことも一理ある」 

「煮るなり焼くなり好きにしろ!」


 なんだこいつら?

 頑固だったのが、いきなり素直になりやがったぞ。


「そうだよ、テメーらは俺達に負けたんだから、俺が言うこと素直に聞けよ。じゃあ、お前らはどこの誰で、この中で一番偉い責任者誰よ?」


「ワシじゃろ?」

「なんだおめえ、最初にのされたくせに馬鹿たれが」

「酒の強さだったらワシが一番強いぞ」

「若造共が、ワシが一番偉くて強いじゃろ? この中では」

「我らドワーフ王国兵団、みんな偉くて強いぞ!」


 あああああああああ、めんどくせええええええ。

 

 何なのコイツら?

 俺は情報聞き出したいだけなのに、俺が俺がと仲間割れしてるしよお。

 ボンクラの集まりかこいつらは。


「もういいや、そのクソ雑魚のドワーフ兵団は何人いて、どいつが頭よ?」


「なんだ人間め! 総勢500のドワーフ兵団でぶちのめすど!」 

「ドワーフ王ガルフなめてんのか!」

「いや、王妃のナムール様の方が、怒るとおっかねえど!」

「ワシらドワーフ兵団ゴンゾウ隊、喧嘩上等じゃ!」

 

 ああ、総勢500人のドワーフ兵団のゴンゾウ隊で、国王がガルフって言って、王妃がナムールさんって言うのか、こいつらの身元は。


 なんか、こういう奴らどっかで扱ったことあるなあ。

 ああ、あれだわ。

 こいつらほどボンクラじゃなかったけど、俺と抗争してた九州ヤクザの連中にそっくりだわ。


 あいつらすげえ攻撃的で、喧嘩にバズーカやライフルに手榴弾使ってきやがる、喧嘩太郎ばっかりで、揃いもそろって我が強くて頑固な連中だが、男気があって酒飲みばっかで根性者も多くて、こっちが喧嘩や掛け合いで実力見せて筋を通すと、意外と素直で人情味がある奴らが多かった。

 

 縄張り(シマ)入っただけで、ドスやチャカだけならまだいいが、ダイナマイトがすっ飛んできて、こっちを絶対に殺す気で来やがる、殺し屋しかいねえような、やべえ連中ばかりの、広島ヤクザよりもまだ話せる奴らだったぜ。


 ようし、じゃあそういう事なら話が早いわ。


「おい、コルレオーニ。こいつらが今からうたう情報、一言一句間違えず、書き記せ」


「へい、勇者様」


 俺はにやりとしながら、ドワーフ共をカタに嵌めるため情報を引き出す。


「なんだ、てめーら? 俺達に負けた雑魚のくせに、いきがってんじゃねえぞボケ」  


「なんだこのガキ! ガルフ王は炎精霊魔法の使い手で剣の達人だあ、バカ者が!」 

「ワシらの武具は、この世界では天下一品だど! 秘伝の金属の加工とかできんのか!」

「一番喧嘩が強い奴が王じゃ! ワシらドワーフに上も下もねえ!」

「王の三つ子の兄弟のマシュ、オルテ、ガイも強いぞ! ジェットアタックじゃぞ!」


 すげえ、ペラペラ情報しゃべってくれるぜ。

 まあ極道でも、相手のヤキに泣き入れて情報しゃべった根性無しって、評価より、掛け合いで親分や兄貴分の恐ろしさを、ついぽろっと言っちまった、ならまだ格好がつくもんな。


 じゃあこういうのはどうかな?


「そうか、俺もそんな強いんなら喧嘩してえんだけど、そもそもどこにいるのよ?」


「なんじゃお前ら! そんなことも知らんでワシらに喧嘩売っとんのか!」

「舐めてんのかガキ! そんなもん西の山脈の中央洞窟のわしらの王国の王宮じゃろ!」

「王宮前には、ワシらドワーフ兵団の兵舎があって、みんな喧嘩の達人じゃぞ!」

「ワシら、洞窟の中だと窒息するから、炎魔法使えんがなめとんかぁ!」


 こうしたやり取りが、一時間ほど続いた。

 コルレオーニがまとめたネタ帳も、こいつらドワーフの情報でびっしりだろうぜ。


 それにこいつら嫌いじゃねえな、おもしれえもの。

 俺が勝ったら、是が非でも俺の子分になってもらうぜ。

 そう思いながら、全員の横っ面を張り倒す。


「てめーら、俺に負けた三下がイキがってんじゃねえ! 嫌とは言わせねえぞ? 勝ったら、全員俺の子分だ! 俺が一番強い、テメーらはそれに従う! なんか俺が間違ったこと言ってんかおらぁ!」


 俺が言うと、ドワーフ共はおとなしくなった。

 こいつらの理論は単純だ、一番力が強い奴が頭になる。

 極道と一緒よ。


「よおし、テメーらの頭のガルフってのと喧嘩するから、水晶玉の連絡先教えろよ? 俺が直接話して喧嘩の連絡するからよお、いいよなあ? ああ?」


 俺はドワーフ王国の王、ガルフの連絡先を聞き出した。

 さあて、これから泣く子も黙るヤクザの脅迫に行くかな。

 そして水晶玉を使って、ドワーフ王国ガルフ王への直通連絡をかけた。


「こんな時間に連絡かけてきおって! どこの誰だ馬鹿たれが!」


 おーおー、なかなかドスが聞いてて、いい声してやがるな。

 この野郎が、ドワーフ王のガルフって野郎か。

 俺は人差し指で手招きし、コルレオーニにメモ帳寄こすよう合図する。


「へっへっへ、ドワーフ王ガルフさんだっけ? 王妃のナムールさんはお元気で?」


「なんじゃ貴様! 声からしてドワーフではないな? 何者だ」


「いいじゃねえか、俺が誰だろうと。マシュ、オルテ、ガイ君達は元気にジェットアタックの練習とかしてやがんの? 山脈中央から外れにある、炎精霊の洞くつでさあ、かわいいなあ」


「き、き、貴様どうしてそれを! 息子たちに何をする気じゃ!」


「いやあ、別に何もお? ただかわいいなあって。ああ、お妾さんのボルマーさんに産ませた、ブルドちゃんは、まだ赤ん坊だっけ? 可愛い盛りだよなあ」


「ふざけるな! 貴様何が目的だ! ワシの子供達に手を出してみろ! 四肢を切断し、焼き尽くして殺してやる!」


 へっへっへ、相当動揺してやがるなあ。

 脅迫ってさ、こいつらドワーフみてえに肝が据わってる野郎らには通用しねえように見えて、実はよお、そうじゃあねえんだ。


 こっちが、どこの誰か一切告げず、相手の情報を徹底的に調べ上げて、身内の情報とかあれば、それを優しく告げてやると、後ろ暗い野郎だと色々考え巡らせて、こっちの思うように誘導できる。


 だが、直接女子供さらうぞとか、ぶっ殺すとか言ったらだめだ。

 そうすると相手が死に物狂いで、身内守ろうとしてきやがるし、サツが介入してくる大義名分与えちまうことになるからよ。


 あのサイコ姫野郎みたいに、実際に身内をさらう必要はねえ。

 ありゃあ、やりすぎだ。

 まあ、手段の一つとしてならアリかもしれねえが、俺はこの世界で任侠道貫くんだから、弱い者いじめしてどうするって話よ。


「だぁかぁらぁ、いいじゃねえか俺がどこの誰だろうと。そういえば、おたくらドワーフさんは、山脈中央洞窟から東に外れた、山の大工房で、武器とか防具作ってるんだろ? 事故とか起きたら大変なことになるよなあ? それと西の工房ではドワーフ特製の火酒作ってるみてーだし、火事でも起きたら酷いことになるなあ、ああ?」


 ドワーフ王ガルフは、水晶玉の向こうで絶句してやがるのか、沈黙した。

 もう全部、ドワーフの事がバレてて、自分たちの弱点がバレてるって感じだろう。

 ヤクザの脅迫、舐めんな馬鹿野郎。


「お前、何者だ。いいかげん目的を言え、場合によっては聞いてやらんでもない」


 よおし、いい感じで食いついてきたなあ。

 さっきまでの威勢が全然ねえ。

 これだけメンタルやられれば、丁度いい頃合いだろう。


「3日後の山脈ふもとの西の平原に、一人で来い。喧嘩道具持ってきてもいいぞ? 俺もそうするから、一対一のタイマンで、俺と喧嘩しようや? じゃあな」


 俺は水晶玉の連絡を打ち切った。

 これでいい。

 多分こいつらの性格上、正面から喧嘩して勝たねえと、絶対に俺の軍門にはくだらねえだろうから、正々堂々と一対一でケリつけてやる。 


 まあ、さっきの脅迫は正々堂々とは言えねえが。

 さあて、このドワーフの野郎らは用済みだが、俺の子分になるんだから、3日間ほどホビット国で人質生活を送って貰おうか?


 こいつらホビットについて偏見もあるし、ボンクラ共に教育もしねえと駄目だからな。


「よおし、今日の喧嘩は終わりだ。 3日後にテメーらの王様と一対一で喧嘩してケリをつける。それまでの間、お前らは俺に従え! いいな?」


 ドワーフ連中は、さっきの俺の脅迫を聞いてビビッちまって、青い顔しながら頷いた。

 さあて、本当はしたくねえんだけど、定時連絡を姫野郎にしねえと。

 俺は、アレクシアの水晶に連絡した。


「マサヨシ様! ごきげんよう、お話を聞けるのを楽しみにしていましたわ」


 こいつ水晶玉がワンコールしねえで、通信に出やがった。

 なんなのこいつ、まるで俺が今から連絡してくるの待ってたみたいじゃねえか。

 怖いんだけど、このサイコパス。


「俺も、姫様と話ができてうれしいよ。貰ったピストルのおかげで助かってる」


 心にもない返事をして、現在の状況を説明した。


「すごいですわ。一日目で、そこまで話が進むなんて。ただ、お気を付けくださいマサヨシ様。サタン王国精鋭の不死隊に、あなた様へ暗殺指令が出てるようです」


 はあ? なんだそりゃ。

 停戦協定違反だろうが。


「おい、魔王軍のやつらは、揃いも揃ってボンクラの集まりか? 暗殺指令とかなめやがって」


「いえ、どうやらその不死隊、魔王軍ではないようです」


 魔王軍じゃねえ?

 どういうことだ一体。


「指揮系統が軍ではなく、大悪魔個人の私設の特殊部隊らしいです。軍ではなく悪魔個人が勝手にやったという方便ができますわ。敵の中に、知能が高い者がいると思われますので、ご注意を」


 ああ、俺が転生前によく使った手だわ。

 組を偽装破門した鉄砲玉使って、相手の親分の(タマ)取りに行くの。

 

「なるほど、確かな情報かい?」


「ええ、情報源はアスモデウス魔王軍元帥です。私に直接教えてくれました。どうやらサタン王国内で、あなた様を巡り主導権争いや派閥闘争が行われている様子。私は、彼女に対して、勇者様がお亡くなりになった場合、私も後を追って死んで冥界に行き、あの閻魔大王様に掛け合って、あなた方魔界を滅ぼすと言ったら、青い顔してましたわ」


 アスモデウスの奴、俺に貸しを作ったのか?

 いや、あいつ俺を殺されたくねえからって、情報漏洩したんだろう。

 あの女、俺の体目当てのポンコツだもんな。

 そして、俺はアレクシアに違和感を覚える。


 なぜ、この女は閻魔大王親分の事を知ってやがるのかという事。

 この世界に、神として伝わってるのは100年前に俺の先輩に力を貸した神と、新たに降臨した神である、ヤミーのはず。


 まさかやはりこの女、俺の業に引き寄せられた地獄からの転生体か?

 誰なんだコイツは。

 俺のおふくろなのか?

 いや、おふくろはこんなに(ペテン)が回る女じゃなかった。

 何者なんだコイツは。


「そっちに迷惑かけてすまなかったな。ところで姫さん、あんた生まれ変わりって信じるか?」


「生まれ変わり? 何でしょうそれは。人は死んだら、土にかえる。それが世界の常識です」


 まあ、そうだよなあ。

 教会もそういう教義だし、親分もこの世界の連中が生まれ変わりを拒否して、魂の循環がうまくいかないと言っていたし。


 だがこの女、間違いなく俺を知ってる誰かに違いない。

 引き出すか? 今ここで。


「いや、俺の神様はヤミーで、閻魔大王様の存在をどうして知ったんだ?」


「アスモデウスさんが、おっしゃってましたわ。けれど、私がなぜこれほどまで勇者様を愛し、お声を聴いただけで安心し、お姿を拝見した時に沸き起こった愛の感情はわかりません。私が他の人間に感じたことがない、感情でした。きっと、私はあなた様と結ばれる強い運命を感じます」


 チッ、親分の情報をこいつに与えたのはポンコツか。

 しかしこいつも、俺に不思議な情を感じてやがる様子。

 やはり、こいつは俺のゆかりの転生体だ。


 誰かは知らんが、もし俺のせいで苦しんでいる魂なら救済の義務がある。

 このサイコ女、はっきり言って嫌いだが、この亜人世界での旅が終わったら、レオーネのように、俺好みのマブい女にするために、じっくり俺の男で教育してやる。


「そうかい、俺もあんたと運命的なものを感じてたんだ。この亜人世界の旅が終わって、王都に帰還し、王に化けてる悪魔野郎をぶっ潰したら、その辺のところ二人きりで愛を確かめてやるぜ」


 俺が言うと、長い沈黙がありアレクシアは最後にこう言い残した。


「ええ、このアレクシア。あなたと結ばれるためなら、どんなことでもしますし、あなたが欲しい物は何だって与えます。早く王都であなた様とお会いしたい。それではごきげんよう、愛しています」


 水晶玉の通信が切れた。

 愛してるか。

 へっ、女からここまで言われたら格好をつけなきゃ男じゃねえな。

 王都に帰ったら、待っていやがれアレクシアちゃんよ。

 じっくり、たっぷりと可愛がってやるぜ。


 俺は人質にした、ドワーフ共を数珠つなぎに縛り上げて、ホビットの集落に帰還する。

 期間は三日後、ドワーフ王ガルフとの喧嘩の前に、ホビット連中を鍛え上げ、俺自身のレベルアップもしなきゃならんな。

なんと、ドワーフは九州ヤクザだった(棒)

これはそのうち広島ヤクザも出てきますね(棒)

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