第29話 非道
「ま、まさか貴様!? 勇者マサなんとか!」
カエル顔の、クソ公爵がテンパって俺を見る。
ていうか、勇者である俺の名前覚えてねえとか、ぶち殺すぞこの貴族野郎。
「マサなんとかじゃねえ! 勇者マサヨシだ馬鹿野郎! てめぇ、人様の名前間違いやがって、親からどういう教育されたんだこの野郎!」
「な、なんじゃと! 無礼者め!」
「無礼はてめーだ馬鹿野郎。てめーの悪逆非道はバレてんだよこの野郎。ほれ、さっさとそこの神様を離せや? じゃねえと殺すぞ?」
俺はカエル野郎を、気迫を込めて睨みつける。
まあ、どっちみちこのクズヤローは、レオーネが何と言おうが、生かしとくつもりはねえがよ。
得得ポイント下がろうが知るか。
俺はヤミーを人質にした、カエル野郎と対峙しながら、2日前のヤミーが誘拐された時の事を俺は思い出した。
2日前
「ヘッヘッヘ、結構儲けてるじゃねえか」
俺はこの世界で集まった通貨、ゼニーとゴールドや金銀財宝、超高級なレア素材を、馬車で広げてニンマリ笑う。
レオーネのやつは、この前の買い物代はいらねえなんて言いやがるが、それじゃあ俺の男も立ちはしねえし、貸しを作るのは好きだが、借りは作りたくねえし。
俺は最高にボロい商売を、二つほど編み出してた。
一つ目が、経費はかかるがお得なシノギ。
まず、モンスターをぶちのめして素材を剥ぐ。
村とか町に、行商人がいればそいつを売る。
そんで、こういう商人野郎はギルドとかに入ってるから、はした金握らせて情報を買う。
あとはその情報で、近隣の村とか町で、金目になりそうなモンスターとかいやがったら、そいつを狩る。
モンスターが手強そうな感じで、一人だと無理そうなら、異端審問官共や、その辺の冒険者やらハンターに声掛けて、報酬は山分けで集団でぶっ潰す。
そして村々や町で、俺とヤミーの名声を得る。
そうすっと、得得ポイントも上がるし、こいつを無間にループさせりゃ、小金が手に入ってお得って寸法よ。
そしたら行商人から、王都にある冒険者ギルドよりという事で、グレートドラゴン討伐も色々加算されてたのか、安物の紙っぺらの、特A級冒険者認定証が手渡された。
二つ目が大きなシノギ。
近隣の村々や町で、そんな事してると、勇者としてみんな信頼とかしてくれるから、評判の悪いゴミ虫みてーな、お貴族様の情報とかバンバン入ってくるわけよ。
でさ、俺も極道で組持ってた時、よくやった手法があるんだ。
ある程度規模の大きな敵対組織って、薬物とかイジってたり、チンピラ共やその下のヤンキー共や半グレが、やりたい放題やってるような、隙が多いアホな組が絶対あるのよ。
そしたら、俺の組がぶっ潰しに行って、縄張り奪いに行く大義名分出来るだろ?
あとは、警察や他所の組織の仲裁入る前に、その組潰す勢いで、無茶苦茶にしてやんの。
で、親玉の上部組織が出てくればめっけもの。
俺と側近のヤスが乗り込んで行って、掛け合いで難癖付けまくって、煽って喧嘩に持ってくだろ?
そうすっと、俺や極悪組とか日本最強だから、最終的に、その上部組織からも賠償金やら何やらせしめられて、お得な必勝法よ。
だから極道の喧嘩は、絶対大義名分がいる。
それを、この世界の貴族様でやってるわけ。
お貴族様の子弟だとか、配下の騎士共が悪さしやがったら、それ大義名分で喧嘩してボコボコにするの。
ナイスなアイデアだろ?
え?
貴族共をぶっちめた後は、どうするって?
ぶっ殺したら金になんねえだろ?
クズでも殺すと得得ポイント下がるし、ヤミーの馬鹿が悲しむ顔をするだろうし。
だから、ある意味死ぬよりきついヤクザのケジメ受けてもらって、資産の一部没収。
後は弱み握って、王女や教会にチクるぞって、恫喝かますわけさ。
用心のため、村や町に俺のお目付役置いておいて、魔法の水晶でなんかあったら、俺に連絡するよう手筈は整えてる。
もちろん、ムチばかりじゃ人は動かねえから、アメも与えてやらねえと、いずれ俺に反旗を翻し、転生前みたいに殺される可能性がある。
だからよ、俺が転生前にしてた、読書の趣味が生きるわけ。
極道の世界に足を踏み入れた時、学がねえって世間様やサツ連中から、足下見られるのが嫌だった俺は、とにかく本を読んで勉強して、舎弟や若衆にそれを実践させてた。
シノギに繋がる本は大抵目を通したよ。
農業から経済、建築にITに至るまでな。
博徒は、ただ博打の賭場だけ開いてるだけじゃなく、自分で飯の種探さねえとやってけねえ稼業だ。
まあ、この仁義もクソもねえ、ろくでもねえ世界には、ヘッジだとか株式とかファンドだとか存在しねえから、俺の軍門に下った貴族共には、シノギの掛け方とか、心構えとか、領民に優しく接する任侠道の、基礎的な話からしなきゃならず、面倒だったけどね。
で、俺の支配下に入れば、おいしい思いができるってのを、教えてやんのさ。
できなきゃ殺すぞって、俺が優しく言ってやったから、貴族野郎共は涙を流しながら、喜んでやがったぜ。
俺に解放された領民は拍手喝采よ。
そうやってアホな貴族連中を飼い慣らし、ゆくゆくは、事あるごとに恐喝出来る、俺専用の集金マシーンになってもらう。
まさしくヤクザな俺の経験が生きてくわけだ。
しかもよ、本来俺の世界なら、警察連中の横槍が絶対入ってくるのに、俺様、教会の司教の役職についてて、こっちの世界の異端審問官連中を、ある程度自由に動かせる権限あるの。
しかも、元々異端審問官なんかヨゴレ仕事やる連中は、貴族に酷い目にあわされた、平民ばかりだから、俺の名声うなぎ上りというわけ。
俺もこの世界のサツって事で、奴らを毛嫌いしてたが、あいつらへの考えを改めつつある。
あいつらと一緒に、貴族連中、まあ子爵だの男爵だの小物連中をぶっちめる名目で使ってたが、あいつらもかなり鬱憤がたまってる様子。
奴ら一人一人の話を聞くと、大体貴族連中に親殺されたり、兄弟姉妹泣かされた連中が、志願してるのがほとんどよ。
そのうち俺がなんかしなくても、革命起きるぞ、このクソみたいな王国は。
そんな羽目になったら、魔王軍に付け入る隙を与えることとなる。
こりゃ、俺もさっさと教会で実績上げてのし上がってやんねえとな。
しかしあれだな。
「うぜえ、あの犬兄貴うぜえ」
俺はキレそうになりながら、完成間近の一張羅を裁縫する。
俺がこの世界で救済行動するため、やってる事について、正義がどうの能書きばかり垂れやがって、早く帰れってんだ。
だからよ、俺は言ってやった。
「兄貴よお、この世界に関しては俺が親分に一任されてっから、余計な口出ししねえでくれるか?」
とね。
そしてたら、あの馬鹿犬こう返すわけよ。
「なんだ貴様? 私は大王様に長年仕え、信頼と実績もある、お嬢様のお側つきだぞ? 貴様新参者のくせに調子に乗るなよ」
親分の古参の家臣とやらじゃなければ、この犬っころは不幸な事故にでも遭ってもらって、ぶっ殺してるね。
俺の経験上、能力のねえ上役に限って、やれ極道としての経験がどうだとか、新参者が調子乗るなとか、上から大物垂れて来やがる。
ヤミーのやつも、このボケがこう言う物言いだから、俺よりも付き合いが長い、このクソ犬の方が義理や情があるわけさ。
おかげで、ヤミーはまた、俺に一切笑わなくなって、口も聞かなくなっちまった。
あのヤミーが歪んじまった原因の一端は、あの馬鹿のせいもあると、俺は睨んでる。
そして、いちいちあの馬鹿犬は、難癖つけてきやがるから、ニコのやつに飯や散歩の世話させてる。
あいつは、俺の業で引き寄せられた、ヤスの転生体だと目星付けてるから、俺の言いつけを卒なくこなす。
だが、ニコの野郎にも悪い癖がある。
あいつ、とにかく手癖が悪すぎる。
まあ、村の男連中が盗賊やってた所で育ったから、まともに育つ訳がねえ。
かく言う俺も、最初のチンピラだった時に、ガキの時代から手癖が悪くて、本部当番の時に上役の財布から金を抜いてるのバレて、危うく小指どころか命を落とす所だった。
その時は最初のオヤジでもあり、転生先でも親になってくれた、5代目から助けてもらい、ケツ拭いてもらった。
そのかわり、二度とそんな真似が出来ねえように、木刀で利き手をケジメされ、しばらくギブス生活よ。
そうやって、俺は癖を矯正したが、ニコの野郎はどうしたもんかなあ。
手癖の悪さって、ある意味病気みてえなものだから、簡単には治らねえのよ。
だからよ、俺はあいつが村とかで何かをくすねたら、元の場所に返しにいかせて俺も頭を下げた後、愛の鉄拳で思いっきりぶん殴った。
それを繰り返すうちに、あいつは物分かりがいいから、だいぶマシにはなって来てはいるけども、もう少し時間がかかりそうだ。
あと、ヤミーとの関係も良好で、俺のメッセンジャーになってくれるからやはりこいつは使える。
そして、顔立ちが悪くねえから、チビのくせに村娘に結構モテるみてえで、花とかプレゼントされてやがったのを、ヤミーの奴にからかわれて、年相応のガキみてえに顔真っ赤にしてやがった。
かく言う俺も、ルックスそこそこな村娘や、女冒険者に、貴族のマブイ女口説こうとするが、いいところで、馬鹿犬兄貴や、ヤミーがどっからともなく来やがって、邪魔される。
あの野郎ら絶対わざと嫌がらせしてやがるな。
あと、最近の俺の癒しはレオーネよ。
貴族連中が何をしてて、審問官や村の連中からどう見られてるのかというのを、少しずつではあるが実感しだし、あいつなりに変わっては来てる。
で、剣の稽古にも俺は付き合ってやって、握り方から始まり、素振りの仕方、鍛錬方法、型の稽古に、その辺の棒っきれ使った、掛かり稽古で攻撃のタイミングや防御なども教えてやってる。
だが、アホだから変なクセがついてやがって、なかなか直らねえから、俺がボディタッチしながら個人レッスンよ。
いやあ、最高だね。
しかし良いところで、またヤミーの野郎がどこからともなく現れて、こっち睨みつけるから、なかなか難儀するぜ。
そして馬車の移動中は、俺の一張羅の裁縫よ。
それまでの間は、ヤボったい異端審問官共の僧侶服を貸して貰ってる。
俺の得得ポイントは、貴族連中のケジメの仕方でマイナス入ったが、それ以外は大幅に稼いでて、ポイントカードがマイナス7564となってた。
ていうか7564(和むよ)とか、このカードまるで意思でもあるようだぜ。
こっちは、アホの犬兄貴のせいで、全然和みやしねえってのにな。
そして、俺の水晶玉に連絡が入った。
一昨日救った筈の村が、騎士団に襲撃されて村長と、その家族連中が皆殺しにされたと。
久々にブチ切れた俺は、来た道をUターンして村に戻ると、その日の夕方、村の連中は死傷者が多数出ていて、村長の家族は、牧草背負わされて、生きたまま焼き殺されたようだ。
「ちくしょう、クソ貴族が!」
「あいつら平民を、人間と思ってやがらねえ」
「俺の村でもこんな事された」
異端審問官共は、遺体に涙を流しながら貴族批判をしており、俺はこいつらに同情する。
確かによお、こんな非道を見せられて、黙ってる野郎は男じゃねえよ。
せっかく俺が助けてやった村を、ふざけやがって。
絶対にやった野郎の親玉に、ケジメをつけてやると俺は心に誓った。
レオーネはこの状況を、青い顔をしながら、様子を見ていた。
まあ、こいつもそのお貴族様の仲間だから、無理もねえよな?
今まで散々平民を、人間扱いしてなかった側なんだからよお。
その時、ヤミーと一緒に、悲惨な状況だから見るなと言いつけてたニコが、ボクサーみてえに構えで黒焦げに縮こまってる、遺体の前で跪いてるのを俺は見た。
ちくしょう犬野郎、ヤミーとこいつを、ここに寄越すなって言ってたのに。
「なあ、親分。この子、村長さんの娘さんだよね? オイラ、この子知ってるんだ」
俺は絶句し、ニコの話に耳を傾ける。
「オイラと、この子と、ヤミーのお姉ちゃんと遊んでさ、俺に花プレゼントしてくれて……それで、それで……う、うああああああん」
ニコが遺体に泣き崩れる。
ヤミーも顔を伏せて涙を流していた。
俺はそれを見て、一気に冷たい殺意が湧いて来て、両拳を握りしめる。
ああもうダメだわ、ケジメじゃ足りねえよこれよお。
やった外道らは皆殺しだ!
絶対に許せねえ!
俺の子分と、親分の妹を泣かせて、こいつらと仲良かった子までぶっ殺した野郎は、生かしておけねえ。
俺が決意すると、レオーネが怯えた目で俺を見ているようだった。
「マサヨシ殿、ちょっとお話が……」
なるほど、これをした野郎らに心当たりがあるようだな。
こいつお貴族様だし。
俺は、異端審問官にニコとヤミーを頼むと言い残し、レオーネと一緒に村はずれの大きな木の下まで移動した。
「話ってなんだい? やった野郎らは騎士団らしいが?」
俺の顔が殺気に満ち溢れているようで、レオーネは怯えながら口を開く。
「はい、村の領主は公爵の位。大貴族にして、我が家と盟友のルイ・ド・モンワール公。そして王国でも指折りの戦闘能力を持つ、赤十字騎士団を保有しており、マサヨシ殿がいかに武勇に優れようにもいささか分が悪く……」
「知らねえよ馬鹿野郎! 俺はよお、やった奴らは皆殺しにするって決めたんだ。おめーさん、野郎ら庇いだてする気かい?」
「いえ、そんなつもりは……」
「してんじゃねえかよ! てめーもどうせ貴族だから、何人平民が死のうが、どうでもいいんだろうが!」
俺がいうと、レオーネは泣き崩れる。
こいつには言い過ぎたかも知れんが、俺の怒りは全然収まるどころか、炎のように吹き出してくる。
「こんな非道な事を、する方じゃなかったんです! 幼少の私を、娘のように可愛がってくださったおじさまが! マサヨシ様も私を嫌うのですか? 私が貴族だからこんな……」
「なんだとこの野郎? 俺はてめーが、貴族だとか、貴族じゃねえとかで惚れたんじゃねえ。いい女だから惚れたんだ! 勘違いしてんじゃねえ馬鹿野郎が!」
「うう……それにマサヨシ殿から、優雅な口調が失われ、皆殺しなんて言葉が出るなんて……」
レオーネはすすり泣きながら、涙を手で拭っている。
ああそうか、レオーネは俺が人格者みてーに勘違いしてて、転生前に何をしてて、どういう理由でコッチ来たか知らねえんだったな。
いい機会だ。
どうせこいつは、俺の女になるんだから隠し事してても、しょうがねえだろう。
「なあ、レオーネよ。俺はよお、この世界じゃ勇者なんてうたってるが、元々そんな高尚な人間じゃねえ。地獄の刑期と引き換えに、この世界に転生した極悪人よ」
「どうしてそんな事を言うのですか。貴方様はレオーネや、この国の人達の命を救ってくれてるのに、なぜ……」
レオーネは涙を流しながら俺を見やる。
「ちょっと話が長くなるが、おめーさんには嘘はつきたくねーからな。俺がこの世界に来る前、どんな世界で生まれて、どんな事してたか、聞いてみるか?」
俺は自分がいた世界の話をする。
日本という国で生まれ、俺の世界の政治体系や、幼少期の話、ヤクザになった話、死んだ時の話、冥界の話を。
特にレオーネは、俺の国の政治体系の話に興味を持ったようで、俺が極悪人という話をしても、育ち方や価値観が違うのか、いまいちピンと来てねえようだった。
「マサヨシ様の世界、育った国には貴族や騎士はいなかったのですか?」
「いたよ。二千年位前は天皇さんの子弟の貴族と、その他大勢の農民よ。それで騎士じゃなく、武士って軍人や武将がいて、時代にもよるが、概ね厳しい身分制だったようだ。でも無くなった」
「何故ですか?」
こいつ、大学入ったくれえだから馬鹿ではなさそうだな。
「ああ、それな。俺の国は昔大国に侵略されそうになって、下級武士がこれじゃ国が守れねえって言って、維新って革命起こしたのよ。そして、千年以上続いた武士を無くして、他国から様々な制度を取り入れたのさ」
レオーネは俺の話を聞いて、何かを考えている様子だった。
「そして今では貴族も無くなり、俺の国の天皇さんを象徴にして、平民や名家から投票で選ばれた、大臣の首相がトップで、貧富の差は多少はあるが、民はほぼ皆平等になって、うちの国は大国になった」
話がクソ長くなりそうだから、要約して説明すると、レオーネはハッとした顔で俺の方を見る。
「まるで、アレクシア殿下の方針みたい。魔王軍の侵略から、アレクシア様をトップに、他国の制度も柔軟に取り入れて、勇者様を象徴に、貴族でもそれほど位が高くない男爵、子爵を焚き付けるように、貴族制度そのものを無くしに行っているような」
ん?
ああ、あの化け物じみた姫野郎か。
もしかして、あの姫それを狙ってるのか?
やっぱ、レオーネも馬鹿じゃねえようだ。
不器用でアホだけど。
「それで、男女差別や区別は多少残ってるが、優秀な女は結構多くて、大臣やったり、自衛隊って言う軍隊の幹部やったり、女だてらに、こっちの世界で言うギルドの長になったり、女の武術家もごまんといる」
「羨ましい」
レオーネはそう言うが、かわりに子供できなくなって困ってるから、少子化問題を解決する方法って言って、口説きに行こうと思ったが、真面目な話しをしてるしやめた。
「そんな比較的平和な大国で、世界最大最悪最高って言われてる、巨大で反社会的な犯罪組織、ヤクザのトップで、極悪な事しまくってたのが俺さ。そりゃあ長期刑言い渡されて、地獄行きになるわな。だから、俺は前の世界で出来なかった事してんだ」
「出来なかった事?」
レオーネはすっかり泣き止み、俺の話を聞き入っている様子だった。
「そう、弱きを助けて、強きを挫くって任侠と呼ばれてる行いさ。元々俺がいた組織は、昔はそう言う組織だったが、今はほとんどダメになっちまった。昔の俺とかのせいで」
「騎士も同じです。大昔は、そう言う目的の制度でしたのに、結局……」
ああ、成る程。
ようやっと見えて来たぜ。
これも俺の業なのか、極道とこっちの騎士は、成り立ちが、似たもの同士のようだ。
そう言う事なら話は単純。
「じゃあよ、任侠道を俺と一緒にやろうや。どうせよう、レオーネは俺の女、妻になんだから、仲間は多ければ多いほどいいや」
俺がいうと、レオーネはうなずいて俺の方を見て、目を潤ませる。
よおし、決まったぜ。
これで流れ的には、ここでアレなパターンだよなあ?
よおし、ちんちくりんのガキも周りにいねーし、ここは男マサヨシ、男を立てて……。
「勇者様! 大変です!」
その時、異端審問官の一人が伝令で、俺のもとに駆け寄ってくる。
この野郎、せっかくそこの木の裏で、レオーネとアレして楽しもうとしたのによお。
「どうした? なんかあったか?」
しかし、異端審問官の野郎の焦り方が尋常じゃなく、俺は緊急事態が起きたと察する。
「見習いのニコと、妹君にして神の化身様、そして犬が行方不明に!」
「まさか奴ら!」
村の復讐を考えてるのは、どうやら俺だけじゃねえようだった。
次回からヒロイン及び抑止力不在の恐怖




