表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
仁義なき異世界転生 ~勇者マサヨシの任侠伝~  作者: 風来坊 章
第二章 王国死闘編
30/163

第29話 非道

「ま、まさか貴様!? 勇者マサなんとか!」


 カエル顔の、クソ公爵がテンパって俺を見る。

 ていうか、勇者である俺の名前覚えてねえとか、ぶち殺すぞこの貴族野郎。


「マサなんとかじゃねえ! 勇者マサヨシだ馬鹿野郎! てめぇ、人様の名前間違いやがって、親からどういう教育されたんだこの野郎!」


「な、なんじゃと! 無礼者め!」


「無礼はてめーだ馬鹿野郎。てめーの悪逆非道はバレてんだよこの野郎。ほれ、さっさとそこの神様を離せや? じゃねえと殺すぞ?」


 俺はカエル野郎を、気迫を込めて睨みつける。

 まあ、どっちみちこのクズヤローは、レオーネが何と言おうが、生かしとくつもりはねえがよ。


 得得ポイント下がろうが知るか。

 

 俺はヤミーを人質にした、カエル野郎と対峙しながら、2日前のヤミーが誘拐された時の事を俺は思い出した。


 2日前


「ヘッヘッヘ、結構儲けてるじゃねえか」


 俺はこの世界で集まった通貨、ゼニーとゴールドや金銀財宝、超高級なレア素材を、馬車で広げてニンマリ笑う。


 レオーネのやつは、この前の買い物代はいらねえなんて言いやがるが、それじゃあ俺の男も立ちはしねえし、貸しを作るのは好きだが、借りは作りたくねえし。


 俺は最高にボロい商売(シノギ)を、二つほど編み出してた。

 

 一つ目が、経費はかかるがお得なシノギ。

 まず、モンスターをぶちのめして素材を剥ぐ。

 村とか町に、行商人がいればそいつを売る。

 

 そんで、こういう商人野郎はギルドとかに入ってるから、はした金握らせて情報を買う。

 

 あとはその情報で、近隣の村とか町で、金目になりそうなモンスターとかいやがったら、そいつを狩る。


 モンスターが手強そうな感じで、一人だと無理そうなら、異端審問官共や、その辺の冒険者やらハンターに声掛けて、報酬は山分けで集団でぶっ潰す。


 そして村々や町で、俺とヤミーの名声を得る。

 そうすっと、得得ポイントも上がるし、こいつを無間にループさせりゃ、小金が手に入ってお得って寸法よ。


 そしたら行商人から、王都にある冒険者ギルドよりという事で、グレートドラゴン討伐も色々加算されてたのか、安物の紙っぺらの、特A級冒険者認定証が手渡された。


 二つ目が大きなシノギ。

 近隣の村々や町で、そんな事してると、勇者としてみんな信頼とかしてくれるから、評判の悪いゴミ虫みてーな、お貴族様の情報とかバンバン入ってくるわけよ。


 でさ、俺も極道で組持ってた時、よくやった手法があるんだ。


 ある程度規模の大きな敵対組織って、薬物(シャブ)とかイジってたり、チンピラ共やその下のヤンキー共や半グレが、やりたい放題やってるような、隙が多いアホな組が絶対あるのよ。


 そしたら、俺の組がぶっ潰しに行って、縄張り(シマ)奪いに行く大義名分出来るだろ?


 あとは、警察(サツ)や他所の組織の仲裁入る前に、その組潰す勢いで、無茶苦茶にしてやんの。


 で、親玉の上部組織が出てくればめっけもの。

 俺と側近のヤスが乗り込んで行って、掛け合いで難癖付けまくって、煽って喧嘩に持ってくだろ?


 そうすっと、俺や極悪組とか日本最強だから、最終的に、その上部組織からも賠償金やら何やらせしめられて、お得な必勝法よ。


 だから極道の喧嘩は、絶対大義名分がいる。


 それを、この世界の貴族様でやってるわけ。


 お貴族様の子弟だとか、配下の騎士共が悪さしやがったら、それ大義名分で喧嘩してボコボコにするの。


 ナイスなアイデアだろ?


 え?

 貴族共をぶっちめた後は、どうするって?

 ぶっ殺したら金になんねえだろ?

 クズでも殺すと得得ポイント下がるし、ヤミーの馬鹿が悲しむ顔をするだろうし。


 だから、ある意味死ぬよりきついヤクザ(R15)のケジメ受けてもらって、資産の一部没収。

 

 後は弱み握って、王女や教会にチクるぞって、恫喝(クンロク)かますわけさ。

 

 用心のため、村や町に俺のお目付役置いておいて、魔法の水晶でなんかあったら、俺に連絡するよう手筈は整えてる。


 もちろん、ムチばかりじゃ人は動かねえから、アメも与えてやらねえと、いずれ俺に反旗を翻し、転生前みたいに殺される可能性がある。


 だからよ、俺が転生前にしてた、読書の趣味が生きるわけ。


 極道の世界に足を踏み入れた時、学がねえって世間様やサツ連中から、足下見られるのが嫌だった俺は、とにかく本を読んで勉強して、舎弟や若衆にそれを実践させてた。


 シノギに繋がる本は大抵目を通したよ。

 農業から経済、建築にITに至るまでな。

 博徒は、ただ博打の賭場だけ開いてるだけじゃなく、自分で飯の種探さねえとやってけねえ稼業だ。


 まあ、この仁義もクソもねえ、ろくでもねえ世界には、ヘッジだとか株式とかファンドだとか存在しねえから、俺の軍門に下った貴族共には、シノギの掛け方とか、心構えとか、領民に優しく接する任侠道の、基礎的な話からしなきゃならず、面倒だったけどね。


 で、俺の支配下に入れば、おいしい思いができるってのを、教えてやんのさ。


 できなきゃ殺すぞって、俺が優しく言ってやったから、貴族野郎共は涙を流しながら、喜んでやがったぜ。

 

 俺に解放された領民は拍手喝采よ。

 

 そうやってアホな貴族連中を飼い慣らし、ゆくゆくは、事あるごとに恐喝出来る、俺専用の集金マシーンになってもらう。


 まさしくヤクザな俺の経験が生きてくわけだ。


 しかもよ、本来俺の世界なら、警察連中の横槍が絶対入ってくるのに、俺様、教会の司教の役職についてて、こっちの世界の異端審問官(サツ)連中を、ある程度自由に動かせる権限あるの。


 しかも、元々異端審問官なんかヨゴレ仕事やる連中は、貴族に酷い目にあわされた、平民ばかりだから、俺の名声うなぎ上りというわけ。


 俺もこの世界のサツって事で、奴らを毛嫌いしてたが、あいつらへの考えを改めつつある。

 

 あいつらと一緒に、貴族連中、まあ子爵だの男爵だの小物連中をぶっちめる名目で使ってたが、あいつらもかなり鬱憤がたまってる様子。


 奴ら一人一人の話を聞くと、大体貴族連中に親殺されたり、兄弟姉妹泣かされた連中が、志願してるのがほとんどよ。


 そのうち俺がなんかしなくても、革命起きるぞ、このクソみたいな王国は。


 そんな羽目になったら、魔王軍に付け入る隙を与えることとなる。


 こりゃ、俺もさっさと教会で実績上げてのし上がってやんねえとな。


 しかしあれだな。


「うぜえ、あの犬兄貴うぜえ」


 俺はキレそうになりながら、完成間近の一張羅を裁縫する。


 俺がこの世界で救済行動するため、やってる事について、正義がどうの能書きばかり垂れやがって、早く帰れってんだ。


 だからよ、俺は言ってやった。


「兄貴よお、この世界に関しては俺が親分に一任されてっから、余計な口出ししねえでくれるか?」


 とね。

 そしてたら、あの馬鹿犬こう返すわけよ。


「なんだ貴様? 私は大王様に長年仕え、信頼と実績もある、お嬢様のお側つきだぞ? 貴様新参者のくせに調子に乗るなよ」


 親分の古参の家臣とやらじゃなければ、この犬っころは不幸な事故にでも遭ってもらって、ぶっ殺してるね。


 俺の経験上、能力のねえ上役に限って、やれ極道としての経験がどうだとか、新参者が調子乗るなとか、上から大物垂れて来やがる。


 ヤミーのやつも、このボケがこう言う物言いだから、俺よりも付き合いが長い、このクソ犬の方が義理や情があるわけさ。

 

 おかげで、ヤミーはまた、俺に一切笑わなくなって、口も聞かなくなっちまった。


 あのヤミーが歪んじまった原因の一端は、あの馬鹿のせいもあると、俺は睨んでる。


 そして、いちいちあの馬鹿犬は、難癖つけてきやがるから、ニコのやつに飯や散歩の世話させてる。


 あいつは、俺の業で引き寄せられた、ヤスの転生体だと目星付けてるから、俺の言いつけを卒なくこなす。


 だが、ニコの野郎にも悪い癖がある。

 あいつ、とにかく手癖が悪すぎる。


 まあ、村の男連中が盗賊やってた所で育ったから、まともに育つ訳がねえ。


 かく言う俺も、最初のチンピラだった時に、ガキの時代から手癖が悪くて、本部当番の時に上役の財布から金を抜いてるのバレて、危うく小指どころか命を落とす所だった。


 その時は最初のオヤジでもあり、転生先でも親になってくれた、5代目から助けてもらい、ケツ拭いてもらった。


 そのかわり、二度とそんな真似が出来ねえように、木刀で利き手をケジメされ、しばらくギブス生活よ。


 そうやって、俺は癖を矯正したが、ニコの野郎はどうしたもんかなあ。


 手癖の悪さって、ある意味病気みてえなものだから、簡単には治らねえのよ。


 だからよ、俺はあいつが村とかで何かをくすねたら、元の場所に返しにいかせて俺も頭を下げた後、愛の鉄拳で思いっきりぶん殴った。


 それを繰り返すうちに、あいつは物分かりがいいから、だいぶマシにはなって来てはいるけども、もう少し時間がかかりそうだ。


 あと、ヤミーとの関係も良好で、俺のメッセンジャーになってくれるからやはりこいつは使える。


 そして、顔立ちが悪くねえから、チビのくせに村娘に結構モテるみてえで、花とかプレゼントされてやがったのを、ヤミーの奴にからかわれて、年相応のガキみてえに顔真っ赤にしてやがった。


 かく言う俺も、ルックスそこそこな村娘や、女冒険者に、貴族のマブイ女口説こうとするが、いいところで、馬鹿犬兄貴や、ヤミーがどっからともなく来やがって、邪魔される。


 あの野郎ら絶対わざと嫌がらせしてやがるな。


 あと、最近の俺の癒しはレオーネよ。


 貴族連中が何をしてて、審問官や村の連中からどう見られてるのかというのを、少しずつではあるが実感しだし、あいつなりに変わっては来てる。


 で、剣の稽古にも俺は付き合ってやって、握り方から始まり、素振りの仕方、鍛錬方法、型の稽古に、その辺の棒っきれ使った、掛かり稽古で攻撃のタイミングや防御なども教えてやってる。


 だが、アホだから変なクセがついてやがって、なかなか直らねえから、俺がボディタッチしながら個人レッスンよ。


 いやあ、最高だね。

 しかし良いところで、またヤミーの野郎がどこからともなく現れて、こっち睨みつけるから、なかなか難儀するぜ。

 

 そして馬車の移動中は、俺の一張羅の裁縫よ。

 それまでの間は、ヤボったい異端審問官共の僧侶服を貸して貰ってる。


 俺の得得ポイントは、貴族連中のケジメの仕方でマイナス入ったが、それ以外は大幅に稼いでて、ポイントカードがマイナス7564となってた。


 ていうか7564(和むよ)とか、このカードまるで意思でもあるようだぜ。


 こっちは、アホの犬兄貴のせいで、全然和みやしねえってのにな。


 そして、俺の水晶玉に連絡が入った。

 一昨日救った筈の村が、騎士団に襲撃されて村長と、その家族連中が皆殺しにされたと。


 久々にブチ切れた俺は、来た道をUターンして村に戻ると、その日の夕方、村の連中は死傷者が多数出ていて、村長の家族は、牧草背負わされて、生きたまま焼き殺されたようだ。


「ちくしょう、クソ貴族が!」


「あいつら平民を、人間と思ってやがらねえ」


「俺の村でもこんな事された」


 異端審問官共は、遺体に涙を流しながら貴族批判をしており、俺はこいつらに同情する。


 確かによお、こんな非道を見せられて、黙ってる野郎は男じゃねえよ。


 せっかく俺が助けてやった村を、ふざけやがって。

 

 絶対にやった野郎の親玉に、ケジメをつけてやると俺は心に誓った。


 レオーネはこの状況を、青い顔をしながら、様子を見ていた。


 まあ、こいつもそのお貴族様の仲間だから、無理もねえよな?


 今まで散々平民を、人間扱いしてなかった側なんだからよお。


 その時、ヤミーと一緒に、悲惨な状況だから見るなと言いつけてたニコが、ボクサーみてえに構えで黒焦げに縮こまってる、遺体の前で跪いてるのを俺は見た。


 ちくしょう犬野郎、ヤミーとこいつを、ここに寄越すなって言ってたのに。


「なあ、親分。この子、村長さんの娘さんだよね? オイラ、この子知ってるんだ」


 俺は絶句し、ニコの話に耳を傾ける。


「オイラと、この子と、ヤミーのお姉ちゃんと遊んでさ、俺に花プレゼントしてくれて……それで、それで……う、うああああああん」


 ニコが遺体に泣き崩れる。

 ヤミーも顔を伏せて涙を流していた。


 俺はそれを見て、一気に冷たい殺意が湧いて来て、両拳を握りしめる。


 ああもうダメだわ、ケジメじゃ足りねえよこれよお。

 

 やった外道らは皆殺しだ!

 絶対に許せねえ!

 俺の子分と、親分の妹を泣かせて、こいつらと仲良かった子までぶっ殺した野郎は、生かしておけねえ。


 俺が決意すると、レオーネが怯えた目で俺を見ているようだった。


「マサヨシ殿、ちょっとお話が……」


 なるほど、これをした野郎らに心当たりがあるようだな。


 こいつお貴族様だし。


 俺は、異端審問官にニコとヤミーを頼むと言い残し、レオーネと一緒に村はずれの大きな木の下まで移動した。


「話ってなんだい? やった野郎らは騎士団らしいが?」


 俺の顔が殺気に満ち溢れているようで、レオーネは怯えながら口を開く。


「はい、村の領主は公爵の位。大貴族にして、我が家と盟友のルイ・ド・モンワール公。そして王国でも指折りの戦闘能力を持つ、赤十字騎士団を保有しており、マサヨシ殿がいかに武勇に優れようにもいささか分が悪く……」


「知らねえよ馬鹿野郎! 俺はよお、やった奴らは皆殺しにするって決めたんだ。おめーさん、野郎ら庇いだてする気かい?」


「いえ、そんなつもりは……」


「してんじゃねえかよ! てめーもどうせ貴族だから、何人平民が死のうが、どうでもいいんだろうが!」


 俺がいうと、レオーネは泣き崩れる。

 こいつには言い過ぎたかも知れんが、俺の怒りは全然収まるどころか、炎のように吹き出してくる。

 

「こんな非道な事を、する方じゃなかったんです! 幼少の私を、娘のように可愛がってくださったおじさまが! マサヨシ様も私を嫌うのですか? 私が貴族だからこんな……」


「なんだとこの野郎? 俺はてめーが、貴族だとか、貴族じゃねえとかで惚れたんじゃねえ。いい女だから惚れたんだ! 勘違いしてんじゃねえ馬鹿野郎が!」


「うう……それにマサヨシ殿から、優雅な口調が失われ、皆殺しなんて言葉が出るなんて……」


 レオーネはすすり泣きながら、涙を手で拭っている。


 ああそうか、レオーネは俺が人格者みてーに勘違いしてて、転生前に何をしてて、どういう理由でコッチ来たか知らねえんだったな。


 いい機会だ。

 どうせこいつは、俺の女になるんだから隠し事してても、しょうがねえだろう。 


「なあ、レオーネよ。俺はよお、この世界じゃ勇者なんてうたってるが、元々そんな高尚な人間じゃねえ。地獄の刑期と引き換えに、この世界に転生した極悪人よ」


「どうしてそんな事を言うのですか。貴方様はレオーネや、この国の人達の命を救ってくれてるのに、なぜ……」


 レオーネは涙を流しながら俺を見やる。


「ちょっと話が長くなるが、おめーさんには嘘はつきたくねーからな。俺がこの世界に来る前、どんな世界で生まれて、どんな事してたか、聞いてみるか?」


 俺は自分がいた世界の話をする。

 日本という国で生まれ、俺の世界の政治体系や、幼少期の話、ヤクザになった話、死んだ時の話、冥界の話を。


 特にレオーネは、俺の国の政治体系の話に興味を持ったようで、俺が極悪人という話をしても、育ち方や価値観が違うのか、いまいちピンと来てねえようだった。


「マサヨシ様の世界、育った国には貴族や騎士はいなかったのですか?」


「いたよ。二千年位前は天皇さんの子弟の貴族と、その他大勢の農民よ。それで騎士じゃなく、武士って軍人や武将がいて、時代にもよるが、概ね厳しい身分制だったようだ。でも無くなった」


「何故ですか?」


 こいつ、大学入ったくれえだから馬鹿ではなさそうだな。


「ああ、それな。俺の国は昔大国に侵略されそうになって、下級武士がこれじゃ国が守れねえって言って、維新って革命起こしたのよ。そして、千年以上続いた武士を無くして、他国から様々な制度を取り入れたのさ」


 レオーネは俺の話を聞いて、何かを考えている様子だった。


「そして今では貴族も無くなり、俺の国の天皇さんを象徴にして、平民や名家から投票で選ばれた、大臣の首相がトップで、貧富の差は多少はあるが、民はほぼ皆平等になって、うちの国は大国になった」


 話がクソ長くなりそうだから、要約して説明すると、レオーネはハッとした顔で俺の方を見る。


「まるで、アレクシア殿下の方針みたい。魔王軍の侵略から、アレクシア様をトップに、他国の制度も柔軟に取り入れて、勇者様を象徴に、貴族でもそれほど位が高くない男爵、子爵を焚き付けるように、貴族制度そのものを無くしに行っているような」


 ん?

 ああ、あの化け物じみた姫野郎か。

 もしかして、あの姫それを狙ってるのか?

 やっぱ、レオーネも馬鹿じゃねえようだ。

 不器用でアホだけど。


「それで、男女差別や区別は多少残ってるが、優秀な女は結構多くて、大臣やったり、自衛隊って言う軍隊の幹部やったり、女だてらに、こっちの世界で言うギルドの長になったり、女の武術家もごまんといる」


「羨ましい」


 レオーネはそう言うが、かわりに子供できなくなって困ってるから、少子化問題を解決する方法って言って、口説きに行こうと思ったが、真面目な話しをしてるしやめた。


「そんな比較的平和な大国で、世界最大最悪最高って言われてる、巨大で反社会的な犯罪組織、ヤクザのトップで、極悪な事しまくってたのが俺さ。そりゃあ長期刑言い渡されて、地獄行きになるわな。だから、俺は前の世界で出来なかった事してんだ」


「出来なかった事?」


 レオーネはすっかり泣き止み、俺の話を聞き入っている様子だった。


「そう、弱きを助けて、強きを挫くって任侠と呼ばれてる行いさ。元々俺がいた組織は、昔はそう言う組織だったが、今はほとんどダメになっちまった。昔の俺とかのせいで」


「騎士も同じです。大昔は、そう言う目的の制度でしたのに、結局……」


 ああ、成る程。

 ようやっと見えて来たぜ。

 これも俺の業なのか、極道とこっちの騎士は、成り立ちが、似たもの同士のようだ。


 そう言う事なら話は単純。


「じゃあよ、任侠道を俺と一緒にやろうや。どうせよう、レオーネは俺の女、妻になんだから、仲間は多ければ多いほどいいや」


 俺がいうと、レオーネはうなずいて俺の方を見て、目を潤ませる。


 よおし、決まったぜ。

 これで流れ的には、ここでアレなパターンだよなあ?

 

 よおし、ちんちくりんのガキも周りにいねーし、ここは男マサヨシ、男を立てて……。


「勇者様! 大変です!」


 その時、異端審問官の一人が伝令で、俺のもとに駆け寄ってくる。


 この野郎、せっかくそこの木の裏で、レオーネとアレして楽しもうとしたのによお。


「どうした? なんかあったか?」


 しかし、異端審問官の野郎の焦り方が尋常じゃなく、俺は緊急事態が起きたと察する。


「見習いのニコと、妹君にして神の化身様、そして犬が行方不明に!」


「まさか奴ら!」


 村の復讐を考えてるのは、どうやら俺だけじゃねえようだった。

次回からヒロイン及び抑止力不在の恐怖

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ