第三章・第二節:回想 蝶と万能薬
【前回のあらすじ】
士人を追って小国『エルヴル』にたどりついたハナは、国境の門で入国審査を受けることになる。
移住か定住かを確認するだけの簡単な調査だったが、受付を担っていた少年兵と青年兵は、いずれもハナを自分より年下の子供のように扱った。
さらにハナが『虫くだしの薬』を所持していたことで怪訝な顔をし始めるなど、奇妙な具合に会話がかみ合わず、ハナは混乱する。
そこへ、彼らの上司で副兵長だという男が飛び込んできて、少年兵の身内が産気づいていることを知らせた。
彼らの口ぶりから、どうやら早産で難産であるの気配を読み取ったハナは、薬師として何かできることはないかと、助力の申し出を決意する――
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※今回はいったん時間をさかのぼります。
「十一視蝶は古代の蝶ぞに」
アーシャが眠りに落ちたことを慎重に確認したハナに、ウルウァがあくびを放つついでのように話しかけてきた。
彼女は部屋に一つしかない椅子へ斜めに腰かけ、背もたれにだらりとしなだれかかった状態で、不自然に大きな乳房を支えるように腕組みをしている。
「《落果病》の特効薬として発見されて以降、乱獲が続き、絶滅したとされちおる」
「絶滅!?」
まぶたを開くのに使っていた鑷子を取り落としそうになりながら、ハナはしゃがんだままぐるりと向きを変えた。
ウルウァは退屈そうにもう一度あくびを放つ。
「そんな……なら、ミスターはどこへ?」
「ふぐぁ……はにゃしぁしゃいごまれ、きぐもろじょに……」
口を閉じると、ウルウァは今度は両手を上げて伸びをし始めた。
息を詰めた状態で待っているハナの前で、かぶっている水牛の頭骨の位置をのろのろ直し終えると、また元のように椅子へ寄りかかる。
「おんし、覚えるのは得意じゃと言いよったねぁ?」
「……はい。それが、何か?」
「小僧の向かった先は、『エルヴル』ぞに」
「エルヴル……?」
また話がそれるかと眉をひそめかけていたハナは、突如本題に連れ戻されたことと、同時に出てきたその〝国名〟に動揺しかけた。
その反応を見たウルウァが、作り物じみた美貌の上に急に見た目の歳相応のあどけない喜色を浮かべる。
「聞き知っちおるちいう顔じゃのぅ」
「いえ、その、地図で見ただけです。『国』が珍しかった、というのもありますが……」
「他に何があった?」
「たいしたことでは……ただ、そこに近い集落から、次はどこへ行こうという話になったとき、師匠がこの『国』には行く意味がないと言って、他へ行ったので……」
「ほう?」
興味深そうに相づちを打つ様子を見せながら、ウルウァの竜胆色の目はにやにやとせせら笑っている。
彼女の真意は計りかねたが、しかし記憶にある師匠の口ぶりもまた、今思えば含みのありそうな不自然さを孕んでいた。
「ある筋の情報では、エルヴルの王室が標本から十一視蝶の復活に成功したと言われちおる」
「標本から?」
「標本からじゃ」
またもよくわからない話だった。
「標本」というのがこの場合どういう状態のものを指すのかはわからないが、ウルウァの話からするに、生きているものを見つけたわけではないのだろう。
「王室が」という点も引っかかる。
絶滅からの復活――死の克服――と頭の中で言いまわしが変わって、ハナは最近教えられたことを不意に思い起こし、ヒヤリとする。
「……あの、わからないのですが、なぜエルヴルはそうまでして蝶の復活を? 《落果病》まで復活したわけではないのですよね?」
「そんなもの、そうまでするほどの価値があったがゆえに他ならんわ。のぅ、洟垂らしよ? 所詮、虫ぞに」
「虫……」
稀少な虫に宝石ほどの価値を見出す者もいる。
しかし、おのれの叡智以外を唾棄すべきことのように口にしたがらないウルウァが、今のような小馬鹿にした態度でさえ「価値がある」と述べたことは、その手のまやかしか妄執じみたものとは無縁のような気がした。その程度のことであれば、「行けばわかるぞに」などと投げやりに蹴飛ばされそうなものだった。
虫ゆえの価値として、疾師の立場からも見出され、薬師の目にも相通ずるもの。
たとえば……ミミキリムシの煮出し水……。
「《落果病》以外に対しても効能が?」
「万病とされちおる」
「まッ……」ハナは目を剥いた。「万病!? まさかっ、万能薬だと!?」
「不思議と出回る話は聞かんがねぁ。まあ、王家が滅びぬゆえんであるにぁ違いない」
ウルウァはつまらないことのように語ったが、ハナは動悸がするほどに動揺していた。
万病に効く薬など、お伽噺の中の事物でしかない。
が、ウルウァの言うとおり、信仰の存在しないこの時世に『国』が存続をしている時点で、それを実現させるだけの何かが存在しているのも確かなような気がした。
師匠があの国(エルヴル)に行く意味がないと言った理由としても、頷けるものがある。
十一視蝶を原料とした『万能薬』。アムリタや《陰清》の非ではない。
何より、それさえあればアーシャも……。
「ミスターも、そこに?」
「行けばわかることぞに」
「ここから何日かかりますか?」
「急にやる気じゃのぅ」
ウルウァはつくろいもせず嘲笑を見せる。
彼女の人柄ばかりがそうさせたわけではない。明らかにハナは冷静さを欠いていた。
だいいち本当に万病薬だというなら、《穢れた水》のときもそれ以前でも、最初から士人たちは十一視蝶を求めていたはずなのだ。
致命的な制約はある。きっと。間違いなく。
ただ、今のハナの中では、薬を扱う者としての好奇心が泡立つようにして膨れあがっていた。
かといってその熱意は、傷病者を想う使命感から、自戒するほどまでかけ離れていたわけでもなかった。
「運よく街道を行く荷馬車を乗り継げれば、三十日程度かのぅ。小僧は街道を使わず、山を越えて一直線に走りよるけに、獣の足より遅いとはいえほぼ同着になるじゃろう。戻りも同じく三十日とすれば、四十日以内に王宮へ乗り込み、十一視蝶を奪取、もしくは譲り受けねばならん。長いか短いかは向こう次第よねぁ」
「本当にアーシャさんは、百日後まで心配ないのですよね?」
「くどい。あと百日ではなく百五日ぞに。ウルが擁する《均命の呪詛》に、狂いがあるとでも思うちおるかゃ?」
「呪詛!?」
神妙な気持ちで言葉を交わしていたハナは、ついに三度心臓を突き上げられることとなる。
まったく予期しない方面から信じがたい言葉を聞かされたのだ。
《呪詛》、万能薬、と来て、またも《呪詛》。
いやさ、もはやここまで来て、《呪詛》という事象が存在すること自体に動転するハナではない。
発狂者にならずとも《呪詛》を扱う術があることも、ついさっき聞き及んで懸命に飲み込んだところだ。
しかしその深刻な代物でこうも執拗に取り囲まれる羽目になるとは夢にも思っていなかった。
その認識は認識として、決して甘くはなかっただろう。ありふれていないからこそ、極めて重大かつ恐ろしいものであるはずだったのだから。
「何ぞに? 呆れくさった顔をしよって。《均命の呪詛》はあくまで、進行の早すぎる病による容体の変遷を、じっくりとゆっくりと観察し記録できるようにするためのものぞに。疾師に限って、よもや患者の延命のために手を施しよるなぞとは、思うちくれるなゃ」
「いえ、その……疾師様のそれも、イシヅエなのですか?」
「ケヒヒ。ウルのは特別じゃけに」
何が特別なのか、ハナには見当もつかなかったが、ウルウァがそこで言葉を切ったということは、彼女にとってはさして重要なことでないと言っているのと同じだった。ひいては、アーシャのことにも何か影響がある話ではない。
大事なことは、いかなる《呪詛》もその作用が絶対的であるということ。
一方で、普遍的な事象ではない以上――しかもそれが、本来ならまたたく間に死病に喰い尽くされていたはずのアーシャの生存を支える、唯一の砦なのだとすれば――その実態を把握しないわけにもいかない。
依然としてざわつく胸の内を抑え込むべく、ハナは少ない唾を飲み込む。
「……《均命の呪詛》は、病状の進行を食い止めるものではないんですね?」
「進まねば困る。早すぎても『観病録』が追いつかず困るちいうだけのことよ。病の発症から終末までの期間がきっかり〝百五日〟として調整されるよう、病の進む速度を修正する。《呪詛》をかける前にすでに進んぢおった分は、取り返せんがねぁ。十日で死ぬ病に発症から一日遅れで《均命の呪詛》を施せば、残り九日が九十四、五日程度にはなる」
「病が進行し切る確証はあるんですか? 末期に至らなくても、体が耐えられなければ……」
「その運命まで踏まえたうえで、『寿命の再計算』がなされよる。《呪詛》とは神秘にして不条理ながら、その確実性もまた異常なものぞに。もっとも家政婦の場合、死病が終末に至らぬ限り、死なぬことにされちおるがな」
「!? それは……!」
耳を疑う。
そのハナの脳裏を、白く巨大な獣が駆けていく。
長い首と喉奥に光る眼球。不条理に死の定義を上書きされた患畜。
「《病により死に至る呪詛》は、その名の逆説として、『あくまで病によって死に至ること』を運命づける力でもある。『《穢れた水》によってのみ死ぬ』と定められちおった刺獣と同様。ゆえに、体力の消耗であれ、合併症の発現であれ、内臓欠損、大量出血、全身壊死であれ、千切れようが潰れようが腐りようが溶けようが、死病がその進行の全過程を終えぬ限り、そこな家政婦は死なぬ」
「ッ……ッ!!」
一度しか言わないと言って、師匠から深刻な顔で教えられたことがある。
もしも重病の患者から、殺してくれと哀願された場合。
薬師はその願いを拒むべきだ、というのが話の主旨ではあった。
ただ、人として折り合いをつけるために、機械的に取り合うのではなく、あえて選択する意思を持って接することも必要だと語っていた。
そのときが来て、たとえ悔やむことになったとしても、忘れてはならないもの。
それは、自分自身もまた生きているということへの、畏れと誇り。
ハナは、寝台に横たわるアーシャに背中を向けていた。それでも診察を終えたばかりの脳裏には、彼女の鮮明な姿が浮かぶ。
手足の潰瘍。陰部や関節部の壊疽。
体内でも粘膜がすでに炎症を起こし、気道の閉塞も時間の問題に思える。
今でこそハナの調合した薬で昏睡させているが、次に目を覚ましたときには全身の疼痛と息苦しさになすすべなく悶えることになるだろう。
本来たった一夜にしてケリがつくはずの死の苦しみを、徐々に増していくかたちで百日かけて味わう。
《呪詛》による延命の理不尽さとおぞましさを、ハナは今、歯の根の合わない口の中でようやく噛みしめていた。
「……一番早く、薬を持ってこられたとして、そのときの容体は、どうなっていますか?」
「ケフフ。そうじゃのぅ。エルヴルの入り口に十一視蝶がふらふら飛んぢおったのを捕まえたとしよう。百五日中、六十日で戻ってこられるわのぅ。全症状の六割方と見れば、表皮は九割潰瘍。筋組織も半分が壊死。全身の腺も機能しなくなり、まともは骨格と心臓と脳脊髄くらいか。肺臓と消化器系の内臓、および眼球は、とうに溶けちおるじゃろうねぁ」
「ぅっ……」
言葉にならず、ハナは奥歯を食いしばる。
そうしないと、この膝立ちの状態からでも、額を床に擦りつけてしまいそうだった。
薬師として、患者の状態にいかにおののいたとて、手を土で汚すなどあっていいことではない。
だが、本来生きているはずもないほどの惨憺たる容体が、人の正気の領分であるはずもない。
何より、たとえ生存できたとしても、そんな状態からでは……。
「眉唾――そう思うちおるかゃ?」
「え……?」
いつの間にかすぐ目の前に、水牛の頭骨があった。
それをいただく黒革のヴェールの下から、作り物めいて見えるほど秀麗なかんばせが見上げている。
その強烈な竜胆色の瞳に吸い込まれかけて、鼻先に突きつけられた金属的なものに焦点が合うのが遅れた。
はがれた粘膜のこびりつく先端を怪しく光らせている、ハナが握りしめていたはずの鑷子。
空の手が汗ばんでいる。
「おんしに問うておきたいことがあるぞに、薬師」
鑷子とまつ毛の距離を詰めながら、疾師が呼ぶ。
「よもや、家政婦に息を引き取らせることもまた道理、なぞとは思うちおるまいねぁ?」
「……」
ハナは確かに宣言した。
士人の所業をすべて見届けるために、彼を追うと誓った。
だが、彼の秘薬探しにまで協力するとは明言していない。
彼の意志が、ハナ自身を襲ったときと同じのように、再びハナの中の道義心とぶつかったとき、何を選択するのかをハナは決めていない。
ただ、寄り添うべきが彼の意志ではなく、アーシャの魂であるとすれば、それは決められるはずのことでもなかった。
「……あなたには、治すつもりなんてないのでしょう?」
ウルウァは疾師。
彼女にとってのアーシャは、稀少な病について幾度も観察の機会を得られる標本。
使いまわしがきく一方、替えがきかないために、手放したくないだけに過ぎない。葛藤も善意も、微塵もない。
「応よ。本来なら終末の容体まで書き留めておきたいけにのぅ。一度わざと《均命の呪詛》の解いたりかけたりをくり返し、小僧の帰り着く時分がちょうど今わのきわとなるよう調節を謀ったこともあるぞに。まあ遺憾ながら家政婦が気づいちおって、あとで小僧に観病録ごと家を焼かれかけてからは、おとなしくしちおるがねぁ」
「……ッ」
背中が冷たくて気持ち悪い。
ハナは果敢に自分を落ち着かせようとした。
目の前にいるのは疾師という名の獣。いたいけな女児のかたちをまね、縄張りに紛れ込んだ旅人を煽り立て、激昂し剣を抜いて立ち向かってくるのを待っている。
気圧されてはならない。
「完全に健康な状態まで戻せないなら、標本としての価値も下がるんじゃありませんか?」
「ケフッ。なるほどのぅ」
まぶたに触れるまで迫っていた鑷子がすっと引き下がる。
整理棚の上にあった真鍮のトレイにそれを放り投げて、自身は椅子の上へのそのそと戻っていくウルウァの後ろ姿を、ハナは呼吸を詰めて見張っていた。
「んしょ、っと。ふむ、言い得て妙ぞに、本来ならばのぅ。ねども、おんしがしきりにほざくところの『治す』と、我々のしちおることとは本質で異なる。相手は病ではなくあくまで罹患再現の《呪詛》。なすべきは治療ではなく解呪よ。これもまた刺獣と同じにのぅ」
「……?」
《病により死に至る呪詛》による『運命の再定義』が、刺獣を生かしていたアムリタの《呪詛》の仕組みとよく似ているというのは、今しがたウルウァが語ったばかりだ。
ならば、同じように自壊させる方法も存在しうるのか?
ハナは火照りを覚えながら、ウルウァの瑞々しい唇の蠢きを注視する。
「《病により死に至る呪詛》が本質的にもたらすのは、病そのものではなく、病による死の運命ぞに。罹患再現は、その改変された真理を遂行するための、核心を突いた手段のはず。にもかかわらず、『治療に対する反応』までも完璧に再現してしまうという自己矛盾を、最初からその《呪詛》は内包しちおる。『病を再現する』とはそういうことぞに。
ゆえに望みどおり、適切な治療をくれてやりゃあ、わけはない。
家政婦の生存が確定した段階で、《呪詛》は自己矛盾に耐え切れなくなり、解呪を余儀なくされる。その際、《呪詛》は正しい手段として用意したはずの罹患再現を、初めからなかったことにして運命の修正をはかる。
すなはち、肉体は発症前の状態に戻されるねよ。直ちにねぁ。たとえ原形を留めぬほどの損傷があったとしても」
「……」
ハナは溜まりすぎた唾を飲んだ。
驚異的な《呪詛》の神秘。取り乱さないまま耳を傾けるのにも苦労する。
しかし《呪詛》というものは、その作用の絶対性ゆえに、詭弁のような解釈でも筋が通るならば、その現象は必然となる。ハナも身をもって知っているがゆえに、納得はできてしまっていた。
ウルウァが知識として語る以上、信頼できるというのもある。
だがまだだった。
アーシャの完全な『治療』が可能であることに大きな安堵を覚えてはいたが、ハナはまだ深く息を吐くことができずにいた。
刺獣とアーシャは違う。
それもまた、おのれの目で見てきた事実。
「そして一度解呪に至りよった病は、《病により死に至る呪詛》の死病の候補から外される」
「!?」
目の前で手を打たれたように瞠目したハナを見返し、ウルウァは片目をつむりながら、「朗報かのぅ?」などと言っていやらしく笑う。
「罹患再現は、死の運命をしかと体現しうる『絶対の死病』でなくてはならん。ただの一度であれ治療を許した病は、もはや死病と呼ばれる資格を失うわぇ。よって家政婦は同じ病に二度は罹らん」
「それじゃあ、解呪というのは……」
本当の意味では――
「イシヅエを取り除けん以上、実在するすべての死病に罹り、そして治療し尽くすよりほか、道はないぞに」
「……ッ!」
内臓を感じた。深く、重く。
期待なんかしていない。朗報だなどと、真に受けられるはずもなかった。
今さら、目指すべき場所が、いつか手の届くところにあるだなどと。
けれど、ハナは思い知る。
胸の谷間を通り、脇腹まで皮膚をなぞる汗粒の感触があること。
そして背中を這いのぼるものが、どうしようもなくはがれ落ちないものであることを。
そう、呪いだ。呪いなのだ。
アーシャが、いや、彼女たち姉弟がさらされているものは。
立ちはだかる試練でも、行きずりに降りかかる厄災でもない。
絡みつき、食い込み、血と肉を枯れ果てるまで啜り続けるもの。
《死に至る呪詛》……。
あんまりだ。ハナは叫び出したかった。
彼女たちが何をしたのか。何をしたとして、そこまでの非業を背負わなくてはならないのかと。
けれど――ハナは下唇を噛む。
上唇でなく、下唇を。
歯を立て、息を鎮め、鉄の味を待つ。
小気味の良い音はしない。自分はアーシャではない。
ここにいるのはハナで、ハナはハナ以外の何ものでもなかった。
「……疾師様」
濡れて疼く唇を開き、ハナは問いかける。
「先ほど、尋ねられましたよね? アーシャさんを、このまま看取ることを考えてはいないかと」
この世に死病がいくつあるのかなど誰も知らない――そう言われれば、ウルウァは腹を立てるだろうか。
いずれにもハナは関係がない。
目指すべき場所は、とうに変えようなどなかったのだから。
「ありえません。じぶんは、薬師ですから」
「……」
ウルウァは鼻歌を歌う。
明日昼頃次話投稿予定。
※元の時間軸へ戻ります。