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メモリーストリート  作者: 三月 ゆな
一章
2/7

主人公はもぐもぐ系女子

前回の続きとなります。



 それは忘れもしない雨の日ーー…。


 親から拾われた身ではあるが不自由なく、拾われた先で少女は幸せに暮らしていたのだ。


 少女は疑いもしなかった。


 世界は優しい人が多くいて。


 争いなどないのだと…。


 そんな少女の成熟していない甘い考えは、全て雨の日に流れ消えていった。


 少女は誰とでも打ち明けられる自由で、明るい子だ。


 しかし少女は、その『雨の日』を境に自由を捨て、復讐を誓う。


 少女は思いやりのある優しい子だ。


 しかし、少女は『雨の日』を境に、世界が不平等であることを知る。


 少女を拾い、育てた【人】は優しい人物だった。


 だが、少女はその人物が取り巻く環境を。境遇を知る由もなかった。


 少女は世界の無常さを知る。


 少女は固く誓うのだった。


 強くあることを。


 だから少女は、自身が知らない。踏む行ったことのない世界へ足を踏み入れたのだった。



 ーーそして、これは少しの月日が経ったころ。


 海のさざ波を掻き消さんばかりの民衆の声。

 それは決して誰かを称える声でなければ、嘆きの声でもない。その場に響くのは罵声や怒号で、大人の男が放つせいか威圧感を与えていた。


 そんな中…。


「なら私と勝負をしなさい!」


 幼げな少女の高らかな声が港の小さな広場に響きわたる。


 少女が生きていくうえで、一等大切にしている言葉がある。

 それは……。


「《腹が減っては戦はできぬ!》私が勝ったらここの食事代を支払いなさい!」


 生き生きと輝く笑顔とエメラルドの瞳。

 愛らしいその顔には似つかわしくない。口元のよだれが彼女の貪欲な空腹状態を表し。


 更には緊張感のない、怪物の唸り声のような音が彼女の腹部から鳴り響いた。



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