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涅槃願望を火に焚べて
才能を
ひとつ失くせば
コインが一枚
希望を
二つ失えば
紙幣が二枚
絶望を
まるごと飲みこめば
ゴールドのカードの
制限が消える
嘘を
真実に変換できたら
屋敷が建つ
友情に
目盛りをつけられたら
ファーストクラスで
海外へ
ああ
なんて
ロスな人生
なんて
実体をつかめない
自分自身
アマテラスに
身を投じ
熱に焼かれたい
あるいは太陽の司祭
ザラストロに審判を請おうか
悩み
そして夜
また夢を見る
閑散とした都市
海岸の近くの遊園地
明るい石畳の商店街
バイクで事故を起こし
亡くなった珈琲の師匠
生前はあまり見せなかった
笑顔で
カウンターに座るボクに
いつものコーヒーを淹れてくれる
許されなければ
会話を交わしてはいけないらしい
気持ちだけが伝わる
またいつでもおいでと
上手に設計された
カーテンの隙間から
木漏れ日のような朝日が
素泊まりのホテルの部屋に
射し込む
朝は繰り返す
身体は仕事を覚えている
おはようの挨拶が
ボクの苦しみを隠す
まるで気がついていない風の
リーダーがボクの肩に手を置いて
木花咲耶のように
柔らかく微笑んでいる