3/3
もどかしさ。
あたしが、雪乃に好きな人を伝えてから、長いこと沈黙が続いていた。
ふと横を見ると、雪乃もこっちを気にしている。
その姿が、なんとも言えず、あたしはとうとう吹き出してしまった。
それが可笑しかったのか、雪乃も吹き出した。
…
やっと沈黙が壊れたところで、あたしたちはまた、〝恋バナ〟を再開した。
雪乃は、背が高くスラリとしていて、負けん気が強い女の子だった。
でも、何事にも熱心だったため、誰からも好かれていた。
そんな雪乃が恋をした大坪憲二は、背は低いが、運動神経抜群で、顔も良かったため、とにかくモテていた。
学年の女子は、憲二と渉で大体を占めていると言ってもいいだろう。
雪乃と憲二は、誰がどう見てもお似合いだった。
また、渉もモテていたため、どこからどう見ても普通のあたしは1人取り残された感じがして、ちょっともどかしかった。