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Rising Sun  作者: UZI
第2章「パブリック・エネミー」
7/22

第4話「ポイント・オブ・インパクト」前編

「レンズに目を当てていたということは、彼も私を捉えていたということだ。私が先に撃ったのは、運が良かったというだけだ」

アメリカ合衆国海兵隊一等軍曹"ホワイト・フェザー"カルロス・ハスコック

2014年8月2日

アメリカ合衆国

バージニア州ダレス

ワシントン・ダレス国際空港


 成田からの直行便でダレス空港に降り立った純を迎えたのは、スーツ姿の白人の男であった。対する純も、現在はスーツに身を包んでいる。


「久しぶりだな、ナイト……じゃなくて東條」


男が純の方に顔を向け、掛けていたサングラスをズラしてニヤリと笑う。


「うるせぇよ。わざわざ自分のホームへ呼びつけやがって。でもあんた確か、今は東京支局の担当官だろ?」


純も流暢な英語で返事をする。ちなみに純は日本語以外なら、英語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ロシア語、パシュトー語、ダリー語はほぼ完璧に使いこなせる。


 純の隣に立つ男。その正体はアメリカ中央情報局、CIAのエージェントだった。コードネームは「ジャガーノート」。彼は東京支局の工作担当官(ケースオフィサー)として活動している。工作担当官とは、表向きは外務省の職員として大使館などで勤務しているが、その裏で情報収集、計画の立案、政治的宣伝活動などを行うエージェントだ。実際に作戦に参加することは少ない。


「個人的な用事で帰ってきたら、お前にコンタクトを取るよう言われたんだ。俺だって早々に切り上げたいんだ。妹の結婚式でな」


「ほう、そりゃおめでとさん。とりあえず移動しようぜ」


「ああ、こっちだ」


ジャガーノートに誘導され駐車場へ向かう。そしてジャガーノートの車の後部座席へ乗り込み、ダレス空港を後にした。


「それで、今回は何だ?今回の依頼は随分急だったが、相当重要な内容らしいな」


「ああ。3日前、国家安全保障局(NSA)がある暗号文を入手した。それによると、2週間以内に大統領(オヤジ)が狙われるらしい。それを阻止してもらいたい」


「このご時世に合衆国大統領を狙うバカがいるとはね。で、相手の組織は?それとも単独の愉快犯か?」


「全くもって不明だ。ただ、方法だけは判明した。狙撃による暗殺、それも1マイル(約1600メートル)以上離れたところからのロング・キル。シークレットサービスの身辺警護は半径半マイル(約800メートル)以内だ。それ以上の距離となると手出しできない。お前の力が必要だ」


「なるほど。それで、どこで狙われる?」


「オヤジはこの2週間に3つの公務を抱えてる。4日後にフィラデルフィアで演説、来週にボルティモアでパレード、そしてその3日後にワシントンD.Cで病院の慰問だ。どこで狙われるかは不明だ。それも突き止めて欲しい。背後関係を洗いたいから今回は殺害ではなく、敵の無力化を依頼する。報酬は200万ドル」


「しかし、1マイルものロング・キルを実行できるヤツなんて、そこらに転がってるわけじゃあるまいし。心当たりのあるヤツをピックアップして、国内の監視カメラを顔認識ソフトにかければすぐ見つかるだろ」


「それがそうも行かないんだ。先の大戦で要注意リストのスナイパーは殆どが死んだか怪我で引退してる。まだ新しい情報がそこまで揃ってないんだ。あ、『サンド・ラビット』はもうリストに登録されてるぞ。『プラヤ・デル・シレーナの英雄』の『ナイトメア』は情報が少なすぎてリストに入ってないがな」


ジャガーノートが笑いながら後部座席の純を見るが、純はそれを無視するかのように言葉を続ける。


「……俺がその実行犯だとは思わないのか?」


「ここにお前がいるのがお前じゃないって証拠だ。もしお前がオヤジを暗殺する側に雇われてたら来てないだろ?」


「信頼されてるねぇ。大統領の詳しい日程表をくれ。報酬が振り込まれ次第、仕事にかかる。あ、そこでいいから降ろしてくれ」


「それはすぐに準備させよう。よろしく頼む」


 純はジャガーノートの車から降り、車が見えなくなったのを確認してからタクシーを拾い、大統領が慰問を予定している病院へ向かう。到着後、周囲を歩いて偵察をし、その日は近くのモーテルで一泊。


 翌日、純は空港でレンタカーを借り、50キロ離れたメリーランド州、ボルティモアへ。ここではパレードを行う予定のコースを辿り、時折車を降りては狙撃に最適なポイントを調べ、スマートフォンで気温、湿度、風速を調べ、再び車へ乗り込んだ。その足で純は150キロ離れたペンシルバニア州州都、フィラデルフィアへ向かい、大統領が演説を行う公園の半径2キロ圏内の建物をくまなく調べた。


「……なるほどね」


全てのリサーチを終えた純は、ネットで予約したホテルへ向かった。


 ポーターに部屋へ案内され、一通り部屋の説明をしたポーターに少し多めにチップを払い、誰か尋ねて来たらすぐに連絡するよう伝えた。ポーターが部屋を後にすると、純は壁に掛けられた絵画や電話、テレビなどを調べ、この部屋が監視されていないか確認した。盗聴器や監視カメラの類が無いことを確認した純は、電気ポットに水を入れて湯を沸かし、持参したドリップパックのコーヒーを淹れ、一息つく。


(あずにゃん、大丈夫だろうか)


 あずさの恋人の家で殺人現場を目撃し、家を出てからは大変だった。家に入ろうとするあずさを止め、その声を聞いた近所の人たちは何事かと見に来るし、パトカーと救急車が到着してからは暴れるあずさを救急隊員に任せ、自分はパトカーで警察署に連れて行かれて事情聴取。何度も同じ質問を繰り返され、帰っていいと言われて警察署を出たときには日付が変わっていた。


その翌日は登校するなり、担任が玄関に走って来て会議室へ強制連行。職員会議が開かれている中で「警察から連絡が来たが何があった!?」と聞かれたので、警察署で言ったのと全く同じ内容を説明。1限目の途中でようやく開放され教室へ戻ると、自習をしていたクラスメイトたちが純に殺到し、何があったのか尋ねられる。昨夜のことは、既に朝の全国ニュースで取り上げられていたため誰もが知っていたが、会議室を出る前に教師陣と打ち合わせしたとおり、「事件のことで対応策などの助言を、元軍人の立場でして欲しい頼まれたので、アドバイザーとして職員会議に出席させられた」と、自分でも訳のわからない説明して難を逃れた。


 放課後、結維と共にあずさの入院している病院へ直行し、あずさの両親と対面。純は申し訳ないと土下座で謝罪をするが「君は何も悪くない。それより娘への応急処置が早かったお陰で娘は助かった。ありがとう」と言われ事なきを得たが、当のあずさはショックで放心したまま。何も言わずに窓の外を見続けるあずさに一声かけ、自分のライフルケース―――これはあずさを救急車に乗せるときに、隊員に彼女の荷物だと言って持たせた物。さすがに本物の銃を持ったまま警察署に行くのは危険と判断したため―――を回収して結維と共に帰宅。その後は何事もなく学校も終業式を向かえ、夏休みに入った。だがあずさは相変わらず入院したまま。喋るようにはなったがふとしたときに泣いて暴れるため、恋人の葬式にも出席できなかった。


(まぁ今はこのことは考えず、仕事に集中しよう。うん)


 日本でのことは一旦忘れよう。そう結論を出した瞬間、純の腹が鳴る。


「……夕飯、どうしようかな……」


そう呟いた直後にドアがノックされ、純はアタッシュケースからワシントンで購入した折り畳みナイフを取り出し、ナイフを持った右手を後ろに回し、ドアスコープを覗いた。外にいたポーターが、「FedEx」のロゴが入ったダンボールを数個載せた台車を脇に置いて立っていた。


「何だ?」


『先程東條様宛てにお荷物が届きましたので、お持ち致しました』


「悪いけど今シャワーを浴びていたところなんです。後で部屋に入れるからそこに置いといてください。チップは下から出しますんで」


純は100ドル札をドアの隙間から出し、ドアに耳を当てる。ポーターの足音が遠ざかり、聞こえなくなったのを確認してから純はドアを開け、素早く荷物を部屋に入れた。


「検閲済み……ね」


純はダンボールの一つを開け、中に入っていた様々な商品サンプルや金型見本と書かれた箱を開け、中身を組み立てた。サンプルや金型に偽装したH&KのUSPコンパクトとスタームルガーを組み立て、サプレッサーも取り付けた。銃をバッグから出したホルスターに入れ、別のバッグからタブレット端末を取り出し、部屋の電話に接続して受話器を取った。そしてタブレットを操作し、盗聴、逆探知防止アプリを起動させ、電話をかけた。


『ハロー?』


「俺だ。手品のタネがわかった。ブラボールールでもウィスキーの法則でもない。もう一つの方法だったんだ。俺は今、その方法でのショーを予定している」


『そうか。詳しいことを聞きたい。明日の16時に到着する便でそっちへ行こう』


「わかった。空港まで迎えに行く」


純の電話をかけた先はジャガーノートの携帯電話だった。純は狙撃が行われる場所を暗号で伝えた。手品のタネとは狙撃場所を意味し、ブラボールールとウィスキーの法則とは地名を表している。ブラボーはフォネティックコードで「B」を表し、ウィスキーは「W」を表す。暗号を訳すと「狙撃場所を特定した。ボルティモアでもワシントンでもない。もう一つの場所だ」。つまりフィラデルフィアで狙撃が行われることを意味している。


 純はタブレットをスリープモードにしてバッグにしまうと、上着を持って部屋を後にした。


(そういやフィラデルフィアは初めて来たな。どうせヒマなんだ、観光でもするか)


純はポケットからスマートフォンを取り出し、ウィキペディアでフィラデルフィアを検索しながら街を歩いた。


(ペンシルバニア州の州都であり、北米有数の世界都市。独立戦争時代には独立宣言の起草が行われた。名物はファーストフードのチーズステーキ……これは美味そうだ)


純はリンクが貼られていたチーズステーキの項目を開き、解説を読んでいった。チーズステーキ発祥の店が現存しているということでその店へ向かったが、とんでもない行列が出来ていたので断念した。15分ほど歩くと、チーズと肉を焼く芳香を漂わせる店を見つけ、そこへ入った。店は地元の人間しか足を踏み入れないであろう年季の入ったダイナーであり、客も数人しかいなかった。


 純はカウンター席に座り、早速コーヒーとチーズステーキを注文した。炒めた薄切りの牛肉と玉ねぎ、溶けたチーズを長いロールパンの間に挟んだチーズステーキを純は気に入った。


(こりゃ美味い……。日本帰ったら作ってみよう)


-----------------------------------------------------------------------------


数時間後

ペンシルバニア州ピッツバーグ

郊外の採石場


「お待ちしていました。ミスタ・ソロコフ」


廃棄された採石場の事務所になっているプレハブに入ったワーシャー・ソロコフは中の男に招かれ、椅子に座る。


「何かお飲みになりますか?生憎ウォッカはありませんが……」


「いや、結構だ。それより、頼んでおいた(ブツ)は?」


「セミオートマティックのロングレンジライフル。アメリカ製以外の物で。もちろん準備できています」


「見せてくれ」


男が大きなライフルケースを机に置くと、ソロコフはケースを開いた。


「ハンガリー製ゲパード。その最新型、GM6リンクスです。全長1126ミリ、重量は10.5キロ、装弾数は10発。弾薬は50口径……12.7ミリ。マズルブレーキを外し、サプレッサーを装着してあります」


「サプレッサーは必要ない。どうせ彼は銃声が届く頃には死んでいる。それよりマズルブレーキを戻してくれ。精度を優先したい」


「は、はい。わかりました」


男はソロコフの指示通りにリンクスからサプレッサーを取り外し、反動を抑制するマズルブレーキを付け直した。


「……完了しました。試射しますか?」


「当然だ。だがその前に、約束どおり前金を貰おうか」


「はい」


男はポケットから携帯電話を取り出し、故郷の言葉で二、三言喋ってから電話を切った。


「今指定された口座に振込みを行いました。ご確認を」


「うむ」


次いでソロコフが携帯電話を取り出し、銀行へ電話した。


「ソロコフだ。口座確認を……そうだ。…………うむ」


ソロコフは電話を切って携帯をスーツの内ポケットにしまうと、持ってきたアタッシュケースを開いて中から12.7ミリ弾が入った箱を取り出し、弾薬をリンクスのマガジンに1発だけ装填した。


「早速この銃の確認をしようか」


「はい。ではこちらへ」


リンクスにマガジンを装填したソロコフは男の後に続き、事務所を出た。


 事務所の外では十数人の男たちがそれぞれ作業を行っていた。あるものはパソコンを操作し、あるものは銃を運び入れ。共通しているのは誰もがストールで顔を覆っているということか。


 ソロコフと男はピックアップトラックに乗り、採石場の上部を目指す。


「ミスタ・ソロコフ。これは興味本位でお聞きするので、もしお答えできないようなら無視して頂いて構いません。何故今回、我々の依頼をお受け頂いたのです?あなたほど腕のあるスナイパーであれば、軍の教官にもなれるでしょうに」


フンと鼻で笑ってからソロコフが口を開く。


「祖国が23年前に崩壊し、その時の軍縮で私は軍を追い出された。もう私に帰る国はない。それに、私のような者であれば、一生に一度くらい合衆国大統領の暗殺を夢見るものだ。リンカーンを暗殺したジョン・ウィルクス・ブースやケネディ暗殺のリー・ハーヴェイ・オズワルドのように、な」


車は数分で到着し、ソロコフは車を降りて採石場を見下ろした。


「当日、仕事をしていただく場所と同じ条件です。下方2時の方向にホウルトラックが確認できますか?そのリアタイヤにマンターゲットを設置しました」


男が指差す方向をソロコフが望遠鏡で確認すると、確かに積載量300トンの巨大なホウルトラック(ダンプカー)の後部タイヤに人型のターゲットが設置されていた。


「……確認した。まずはお前が撃ってみろ」


「は?私が……ですか?」


「お前は見知らぬ他人から銃を渡されて、確認もせず撃つのか?少なくとも私には、そんな度胸はない。まさか歴戦の戦士が、このデカブツを撃てないわけでもあるまい」


「は、はぁ……」


リンクスを受け取った男はその場に伏せ、リンクスのボルトを引いてスコープを覗く。仲間の狙撃手の見よう見まねで男がトリガーを引く。大音響とともに銃口から弾丸が発射され、数秒後に着弾。マンターゲットを大きく外れ、12.7ミリ弾は地面に着弾し、砂煙を上げた。


「なるほど、銃に問題は無いようだな。貸してみろ」


ソロコフは男からリンクスを受け取ると、レティクルの上下を調整するエレベーション・ノブと、左右を調整するヴィンテージ・ノブを回して調整。そしてホールドオープンしたボルトへ直接12.7ミリ弾を挿入し、ボルトを戻して発射状態に。深呼吸をし、吐き出したところで息を止める。


「……」


ソロコフがトリガーを絞ると大音響とともに銃口から弾丸が発射される。数秒後に着弾。マンターゲットは粉々に粉砕された。


「……お見事です」


ソロコフの隣で双眼鏡を覗く男が呟く。


「うむ。性能も申し分ない」


「そう言って頂けて何よりです」


ソロコフがリンクスを分解していると、男の仲間が車で近付いてきた。やけに急いでいるのか、かなりのスピードを出していた。


「どうした?」


「こいつを見てくれ!!」


仲間から渡されたメモを広げて読むと、男の表情がみるみる変わっていった。


「大変です!ミスタ・ソロコフ!」


「一体どうした?」


「今、同志から情報が入ったのですが、CIAが我々の作戦を察知して、外部のスナイパーを雇ったそうです!名前は……『サンド・ラビット』とかいう……」


「ほう。最近名が上がっているあの東洋系の小僧か。直接会ったことはないが、なんでも受けた依頼は必ず遂行するということで有名になっているようだ」


「東洋人……スナイパー……まさか、『ナイトメア』……」


「あんなもの、日本人(ヤポンスキ)が作ったウソにすぎん!実在するならそいつは『白い死神』、シモ・ハユハ(ヘイヘ)以上のバケモノだ。そんなものはありえない。だが用心に越したことはない」


そう言ってソロコフは、当日仕事をする場所の地図を持って来させる。そして少し考えてから、ある場所を指差した。


「ここだ。私が奴なら、ここからカウンタースナイプをする。当日はここに人をやってくれ。それと、『サンド・ラビット』の足取りを追ってくれ。私は自分の仕事をする」


「ハッ!よろしくお願いします。アメリカ帝国に正義の鉄槌を!自由を我らに!」


ソロコフは男に返事をせず、リンクスをアタッシュケースに片付けて採石場を後にした。


「後はミスタ・ソロコフに任せて我々も移動しよう。いつアメリカの戌どもが来るかわからん」


男たちが撤収準備を始める。パソコンをシャットダウンし、銃器をケースに入れ、それらを車に積み込む。


「荷物の積み込みは終わったな!?では撤しゅ……!」


その時だった。採石場の入り口から黒塗りのSUVが5台に側面に「SWAT」とマークされたトラックが2台、こちらへ向かっている。


「警察だ!隠れろ!」


男たちは武器を手に車を折り、物陰に隠れる。やがてやって来た車列が男たちの車の前で停車し、それぞれ降りてくる。黒のタクティカルスーツにこれまた黒のタクティカルベスト、ヘルメット、そしてM4アサルトライフル。最後にSUVから降りてきた男はTシャツにジーンズだが、やはりタクティカルベストを着ている。そしてベストの背面には「CTU」の文字が。


「連邦捜査官だ!いるのはわかっているんだ!諦めて投降するんだ!」


連邦捜査官を名乗ったジーンズの男は、ホルスターからシグP226を抜いて構える。それに続いて後ろに待機する隊員たちもそれぞれライフルを構える。静かだが人の気配はする。連邦捜査官―――テロ対策ユニット(CTU)の捜査官がハンドシグナルで隊員たちに指示を出すと、左右へ展開しながら前進する。


「う、うわぁぁーー!!」


謎の男たちの1人が耐え切れなくなったのか、物陰から姿を現してアサルトライフルのトリガーを引く。それを合図に、他の男たちも一斉に攻撃を始めた。CTUの捜査官たちは散開し、前進しつつも反撃する。


 1人、また1人と撃たれ、男たちは沈黙した。


「周囲にまだ残っていないか確認しろ!」


捜査官は隊員たちに指示を出し、自分は男たち車の中を漁ってノートパソコンを発見する。

そのパソコンを操作し、何かを見つけるとすぐさまスマートフォンを取り出して電話をかけた。


『CTU、ターナー』


「ステファニー。ジョゼフだ!今CIAから情報のあった採石場へ来たんだが、ビンゴだった。今押収したパソコンのデータをそっちに送る」


ジョゼフと名乗った捜査官はスマートフォンをパソコンに接続し、アプリを起動させた。パソコン内のデータをCTUのデータベースに送る。


『ジョーイ、今届きました。これは……大統領暗殺計画のデータが入っています!来週行われるフィラデルフィアでの演説の際に決行するようです!』


「それで、こいつらが何者なのかはわからないのか!?装備から察するに、バ・ルデルベ人のようだが……」


『ちょっと待ってください。えっと……はい!彼らはバ・ルデルベ軍親衛隊の残党のようです。それと、暗殺は外部の者に依頼したようですね。ハンガリー製の大型ライフルを購入した形跡があります。サイズは……50口径です』


「それほどの大型なら1マイル先でも狙えるな。だが誰でも扱える物じゃない。暗殺は誰に依頼したんだ?」


『すいません。これ以上はより複雑な暗号化がされていて、解除には数時間かかります』


「よしわかった。CIAとNSAに今の情報を流して、通信傍受システム(エシュロン)を使わせてもらえ。それと、全空港の監視カメラをチェックして、裏で活動するスナイパーのリストと照合しろ。暗号解析は他の分析官に回すんだ。俺たちもここを片付けたらすぐに戻る」


ジョゼフ捜査官は他の隊員たちと共に遺留品の回収と唯一生き残ったテロリストを逮捕し、地元警察と現場の引継ぎを行うために隊員数人を残してその場を後にした。

お読み頂き、ありがとうございます!

感想、ご意見、ご指摘大歓迎でございます!

第2章突入です。アメリカが舞台となります。

また、4話投稿に合わせて銃器解説を更新致します。

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