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Rising Sun  作者: UZI
第4章「クリプティッド」
15/22

第12話「未知との遭遇」

「勇気とは1分でも長く恐怖に耐えることである」

アメリカ合衆国陸軍中将 ジョージ・S・パットンJr

2014年8月22日

モンゴル

ウヌムゴビ県

ゴビ砂漠 -中国との国境から約100キロ地点-


「ハァ、ハァ、ハァ……!」


 広大な砂漠をひたすら走り続ける。肩にかけたファルシオンⅡのスリングがずれ、純はそれを担ぎ直しつつ、後ろを振り返る。だが眼前に広がるは陽炎漂う砂漠だけ。誰が追ってきているわけでもない。


「何なんだよ、あいつは……」


純は前を向いて再び走り出す。砂に足をとられそうになるが、なんとか体勢を立て直す。


 灼熱の砂漠は容赦なく純の身体から体力と水分を奪っていく。頭部の汗が、ベースボールキャップのつばからサングラスの縁を伝い、砂に落ちる。歩みを止めて小休止を取りたいところだが、そういうわけにはいかない。「あいつ」がやってくるから―――


「水もなくなりそうだし、どこかで水を補充しないと……ん?」


彼方に何かを見つけた純は首から提げた双眼鏡を取り出して覗いた。


「やった……オアシスだ!」


 純が走り出そうとしたそのとき、突如足元から地震のような音と振動が響いた。純は素早くサブマシンガン、ワルサーMPLの折りたたみストックを展開し、セレクターをフルオートに切り替えて構える。若干動揺しているが、それでも銃を素早く構えることが出来たのは身体に染み付いた動作ゆえか。


 次の瞬間、足元の砂中から何かが飛び出してきた。純は迷うことなく、それに銃を向ける。


「くそったれが……!」


---------------------------------------------------------------------------


12時間前

中華人民共和国

内モンゴル自治区包頭(パオトウ)


「クソ!たった1人に俺たちがやられるなんt……ッ!」


 銃を持った男が、胸に大きな穴を開けながら吹き飛ばされた。そのすぐ後で、サプレッサーを装着したファルシオンⅡから発せられるパシーン!という独特の銃声が響く。


「……ターゲット死亡確認(タンゴ・ダウン)


 最後の1人を倒した純はファルシオンⅡの安全装置をかけ、取り付けた4倍率のACOG(エイコッグ)スコープのレンズキャップを閉じる。


 戦時中の混乱期に家を襲われ、家族を殺された元警察署長から復讐を依頼され、金属加工工場に偽装した人民解放軍のアジトを壊滅させることが今回の依頼だった。


 戦時中のどさくさに田舎の町や村を襲って金品や若い女性を略奪していた人民解放軍の一部隊に、この依頼人も妻と娘を攫われたのだ。この依頼は被害を受けた人々から少しずつ集めた金で依頼された。ちなみに同じ時期に中国政府からも、「犯罪者の集団に成り下がった部隊を壊滅させて欲しい」と依頼を受けたが、先に警察署長からの依頼を受けていたために断った。同じ依頼を二重に受けないのが純のポリシーだった―――といえば聞こえはいいが、ここらへんは、日本で最も有名な某A級スナイパーのマンガからアイディアを使わせてもらっていた。さすがに丸パクリだと行動パターンを読まれる可能性があるため、アイディアを拝借したのは極一部であるが。


「自分はここまで冷酷になれない」とマンガを読みながら純は1人呟いたという。また、「彼が実在して俺と勝負になったら、俺が100パー負ける」とも。



「あれが最後か。さてそろそろ……おいでなすった」


遠くからサイレンの音が聞こえる。解放軍の兵士が対戦車無反動砲(RPG)を使ったため、爆発音を聞いた誰かが通報したのだろう。


「真夜中にRPGなんて撃つから。余計なことしやがって」


純は悪態をつきながらパイプを伝って滑り降り、工場の裏手に止めていた車に乗り込んで工場を後にした。


(消火活動の後、警察が現場検証であの爆発が事故でなく、銃撃戦によるものと気づいて検問を張るまでに1時間。隠れ家(セーフハウス)まではどんなに飛ばしても2時間かかる。銃を持って検問を突破はムリ。かといってヘタに銃を処分してアシがつくのも後々面倒だ。やっぱり予定通り、モンゴルへ逃げるしかない。砂漠越えか……)


純はすれ違った消防車が工場に入っていくのをバックミラーで見てから交差点を曲がり、ゴビ砂漠を目指した。目指すはモンゴル首都、ウランバートル。


-----------------------------------------------------------------------------


5時間前

モンゴル

ゴビ砂漠-中国との国境から約70キロ-


「おい頼むよ。かかれって!」


純は車のエンジンスターターを回すが、セルモーターがキュルキュルと音を立てて回るだけでエンジンがかかる気配はない。車を降りてボンネットを開けと、エンジンが完全に焼けており、煙と蒸気が周囲を覆う。


「うわっプ!クソッ!これだから中国製は……!」


純は車のバンパーを蹴るが、悪態をついたところで車が直るわけでもない。諦めた純は車から荷物を取り出し、車を置いてその場を後にした。鉄屑にもう用はない―――


「今いるのがこの辺だから……北へ行けばウランバートル。200キロ以上あるな」


純は地図を畳んで方位磁針と一緒にポケットに片付け、再び歩き出した。


 右を見ても左を見ても、前を見ても後ろを見ても砂、砂、砂。暑いし、喉は渇くし、砂で歩きにくいしで状況は最悪だった。しかも現在純は、3挺もの銃を持って歩いている。コルト・パイソン357マグナム、ワルサーMPL、そしてファルシオンⅡ。更にそれぞれの弾薬にナイフ、水、食糧、着替え、ファーストエイドキット、寝袋、その他小物類。装備品の総重量は純の体重とほぼ同じくらい。重いはずである。だが前に進むしかない。車は壊れて動かないし、誰かが助けに来てくれることもない。中国に戻ることも一瞬頭を過ぎったが、リスクが高い。


 純が徒歩で移動を始めて1時間ほど。雲一つない青い空と砂漠だけの景色の先に何かを見つけた。まだ1キロほど離れているし、陽炎でボヤけているが、確かに何か見える。よくわからないが、駱駝、あるいは馬と人のように見える。休憩でもしているのだろうか。動く気配がない。


「人か?ちょうどいい、水を分けてもらおう」


純は歩く速度を上げ、その見つけた何かへ近付いた。


「これは……」


10分ほど歩いて見つけた何かに到着したが、そこに広がっていたのは純が想像していたものとは違っていた。


 人と駱駝。ではあった。装備からして、恐らく海外の調査隊と現地の案内人だろう。だが全員が死んでいた。駱駝もである。しかもただ死んでいるのではない。全員、何処かしらの部位が欠損していた。上半身がなくなっていたり、下半身がなくなっていたり、腕しか残っていなかったり。死体は高い気温のせいで悪臭を放ち始めていた。純は首に巻いていたアフガンストール(シュマグ)を上げて鼻を覆う。


(どういうことだ?こんな砂漠のド真ん中で、何かの生き物に襲われたのか?)


純は死体を調べる。まだ新しい。死後2、3時間と言ったところか。遺体の欠損箇所は刃物で切られたように鋭くはないし、銃火器でやられたようでもない。となると、何かの生物に襲われて食い殺されたとしか思えない。だがそんな人や駱駝を襲うような生物が砂漠にいるなんて話は聞いたことがない。


(とりあえず、このままにしておく訳にいかないから埋葬だけでも……ん?)


視線の端で何かが光った。純は首からかけた双眼鏡でそちらを見ると、はるか彼方で何かが動いている。陽炎でボヤけているが、どう見ても人間だった。どうやら走っているようだ。


(逃げてる……のか?多分この人たちの仲間なんだろうが、一体何から?)


次の瞬間、走っている人物の近くで砂の中から何かが出てきた。砂が舞って何が出てきたのかは確認できなかったが、次の瞬間には走っていた人はいなくなっていた。だが状況からして、砂の中から生物が出てきて、走っていた人物を「捕食」したというのは理解できた。


(何だ今のは!?あんなデカイ生き物が砂漠にいるなんて、聞いたことないぞ!)


本能でヤバイと感じた純は埋葬を中止し、亡骸に手を合わせてその場を後にした。だが純は気付いていなかった。砂から出てきた「何か」が、走り去る純を目撃していたのを。


-----------------------------------------------------------------------------


時を戻して現在


「くそったれが……!」


 砂の中から現れたのはまるで巨大なミミズのような生物だった。体長は10メートルほど。胴回りは軽自動車くらいある。顔に相当する部分は口しかなく、その口は無数のとがった歯が並んでいる。純の知識の知るところ、こんな巨大なミミズは見たことがなかった。いや、聞いたこともない。


 純はMPLを構えるがトリガーは引かない。へたに刺激したら何をするかわからないからだ。純が様子を見ていると、巨大ミミズは純のほうを向きながら身体を震わせ始めた。


「なんだよ。俺まで食う気じゃねぇだろうな……」


次の瞬間、巨大ミミズが行動を起こした。体を震わせていた巨大ミミズがその動きを止め、口から大量の液体を吐き出した。


「うぉッ!」


吐き出された液体をすんでのところで避ける純。だが液体は少量が飛び散り、その内の何滴かがMPLの32連マガジンの底に付着した。液体はみるみるマガジンを侵食し、溶かしていく。そして溶けたマガジンの底から、弾を支えるマガジンスプリングと9ミリ弾が飛び出した。


「なッ!」


咄嗟に純はMPLからマガジンを抜いて捨てる。そしてすかさず次のマガジンを装填。巨大ミミズに向ける。巨大ミミズも吐き出した液体―――溶解液を避けられたのが頭に来たのか、上を向いて聞いたこともないような咆哮を上げる。


「こ、の……化け物がぁああああーーーーーーッッ!」


純が叫びながらMPLのトリガーを引く。毎分550発の速度で連続発射される9ミリ弾。だがそれが巨大ミミズを仕留めることはなかった。その全てが皮膚に弾き返されたのだ。


「なッ!?」


サブマシンガンでは倒せないと判断した純は、スリングで繋いだMPLを右手で背中に回し、左手でファルシオンⅡのスリングに手をかけ、素早く構えた。この距離でスコープは役に立たないので、銃を斜めに構え、不意の遭遇戦で使用するオフセット・アイアンサイトを覗いてトリガーを引く。巨大ミミズも同時に溶解液を吐いた。12.7ミリ弾は巨大ミミズの身体をかすめ、身体の一部を抉った。純は撃った反動を利用してバックステップで回避したために溶解液を浴びずに済んだ。だが咄嗟にファルシオンⅡを前に出して盾にしたため、少しかかってしまった。しかも銃の心臓ともいえる機関部にである。


(しまった!)


 着地と同時にファルシオンⅡを投げ捨て、ホルスターからパイソンを抜いて構える。MPLが通用せず、ファルシオンⅡを失った純にとって、パイソンだけが最後の武器だった。だが巨大ミミズは再び大きな咆哮を上げると、大量の砂を巻き上げながら砂中に消えていった。


「た……助かった」


純はパイソンを構えた腕を下ろし、その場に力なく座り込んだ。見たことも聞いたこともない、金属をも溶かす溶解液を吐く巨大ミミズを相手にしていたのだ。脱力するのも無理はない。


(ちっ、情けねぇ。この程度で……しかし何なんだ、あのミミズの化け物は。UMA(ユーマ)ってヤツか?)


 UMA。「Unidentified Mysterious Animal」の略称であり、目撃証言はあるが、生物学的にその存在が確認されていない未確認動物のことである。有名なものではイギリス、スコットランドのネッシーや、アメリカ、ロッキー山脈のビッグフットなど。日本ではツチノコが有名である。


 少し休んで息を整えてから純は立ち上がり、投げたファルシオンⅡを拾った。この稼業を始めて以降、一緒に仕事をしてくれた相棒は見るも無残な姿になっていた。機関部のフレームが溶け、内部がまるで切断サンプルのように丸見えになっていた。マガジンキャッチもやられたのか、純が持ち上げた瞬間、マガジンがビョンと飛び出てきた。


 ワン・オブ・サウザンドという言葉がある。機械で大量生産される銃の中で極稀に、どんなガンスミスでも作れないような最高の精度を持つ1挺が製造されることがあると言う。純のファルシオンⅡは、そのワン・オブ・サウザンドであった。かつて依頼人であった矢島重工の会長が大事に保管していたものを、報酬として渡されたものだ。


「くそ……これじゃもう修理もできない。完全に壊れちまった」


純はファルシオンⅡを分解し、薬室(チャンバー)に装填されたままの弾丸を回収してから相棒を砂に埋めた。


「あのミミズ野郎、俺の相棒をこんなにしやがって……次に会ったら、必ず殺してやる……」


純は立ち上がり、オアシスを目指して歩き始めた。


---------------------------------------------------------------------------


2時間後


「ハァ……ハァ……くそ、騙された……」


純は巨大ミミズと遭遇する直前に見つけたオアシスを目指して歩き続けたが、一向にオアシスには辿り着かなかった。その理由に気付いた純は歩くのを止め、来る途中で見つけた岩場まで戻り、そこで休憩することにした。腰の軍用水筒(キャンティーン)で水分を補給するが、残りは僅かだった。そこで純は荷物を降ろし、バックパックから折りたたみスコップとビニールシートを取り出した。日の当たるところに穴を掘り、その中に小便をしてから穴の中央にマグカップを置き、ビニールシートで蓋をする。そしてビニールシートの中心に小石を乗せた。こうすることで、穴の中の小便が太陽熱で蒸発し、水分がビニールシートに付着する。シートは小石を載せたことで中心が低くなっているため、水分がそこに集中して落ち、その下のマグカップに入るのだ。これは真水を得るためのサバイバル術であり、これが草木の生い茂るジャングルなら穴の中に植物を投げ込めばいいのだが、ここは砂漠。植物など生えていないので、純は小便で代用した。臭いは多量残るが、砂漠で真水を得るには、今はこれしか方法がない。身体から吹き出る汗も出来るだけタオルで拭き、その穴の中に投げ込んだ。


「まずいな……さっき見たオアシスが蜃気楼で浮かんだものなら、実際には何処にあるかなんてわからないぞ……」


 蜃気楼。簡単に言えば気温と光の屈折で起こる錯覚現象だが、砂漠では致命的だ。何故なら、はるか彼方のオアシスが近くにあるように見えてしまうからだ。だから見つけたオアシスが、何処まで歩いても辿り着けなかったのだ。純はこの自然の生み出すトリックに見事に嵌ってしまったのだ。だが愚痴っても仕方がない。純はバックパックの底に入っていたタブレットを取り出して地図アプリを起動した。一番近いオアシスまでは20キロほど。だがここを経由してウランバートルへ行くと、遠回りになってしまう。現在地からウランバートルまで直線距離で約170キロ。オアシスを経由すると200キロほどになってしまう。


(今作ってる水で170キロ歩く……ムリだな。その前に干物になる。それに、あの化け物も追ってこないとは限らない。水を優先して、オアシスを目指すか)


本当は腹が減っているので食事を取りたいところだが、食べたものを消化する際に体内の水分を消費してしまうので断念した。水が溜まるまでの間、日陰で銃に付いた砂を落とす。特にワルサーMPLは念入りに砂を落とした。


 オートマティックの銃は機関部に砂や泥が入ると作動不良を起こしたり、最悪の場合暴発する危険性がある。砂は銃にとって大敵だ。なので純は今回、砂漠越えを想定して構造が比較的単純なワルサーMPL、ハンドガンはオートマティックでより信頼性の高いリボルバーであるコルトパイソンを選択していた。本当はMPLではなく、どんな苛酷な環境でも確実に作動してくれるAKを持ってきたかったのだが、重すぎるので断念した。


(あんな化け物がいるの知ってたら、ムリしてでもAKを持ってきたんだけどな……いや、知ってたらそもそも砂漠越えをしようなんて考えなかったか)


胸中で呟きながら、マグカップに溜まった水をキャンティーンに詰め替えていたその時だった。


 突如、周囲が光ったかと思ったら、一瞬遅れて落雷のような音が轟き、空気を震わせた。咄嗟にその場に伏せる純。だがおかしい。こんな快晴で落雷?妙に焦げ臭い。辺りを見渡すと、岩の一部が焦げて黒くなっていた。となると、さっきのはやはり雷?


 再び落雷。今度は雷が岩を焦がす軌跡がはっきり見えた。だがおかしい。雷が横から飛んでくる(・・・・・・・・)なんて現象、聞いたことがない。純は恐る恐る雷が飛んできた方向に顔を向けた。数百メートル先、先程の巨大ミミズが砂から顔を出していた。その大きく開けられた口は、青白く光っている。


「……ウソだろ?」


純は身一つで走り、岩の反対側に隠れた。その直後にまた落雷音。それと、何故か銃声。あの巨大ミミズが、口から電気を吐き出したのだった。


「何でもアリだな……!!まるでゲームのモンスターだ」


純がMPLを構えながら岩陰から顔を出すと、置いておいたバックパックが破壊され、粉砕された中の物が飛び散っていた。先程の銃声は、バックパックの中の弾薬が誘爆した音だった。これで純の持ち物は銃と水、それと左腿に装着したレッグバッグに入れていた弾薬と小物類だけになってしまった。バックパックにも予備の弾薬を入れていたため、残弾はMPLが88発、パイソンは36発しかない。しかもMPLは化け物には通用しない。パイソンはまだ巨大ミミズ相手に使用していないので未知数ではあるが、ハンドガンなのでより近距離で使用しないと有効とはいえない。だが相手は電撃に毒も吐く異形の生物。近付くのは難しいだろう。


(この装備じゃあいつと戦うのは難しいか。くそ、ファルシオンがあればあんな化け物……)


殺すのは最後にしてやると決意して、その場から逃げ出す純。だがそれを見逃す巨大ミミズではなかった。再び砂に潜り、純に迫る。そのスピードは速く、走って逃げ切るのは無理だった。


(マズい!追いつかれる……!)


純が振り向きざまにパイソンを構え、巨大ミミズが大きな口を開けて砂から飛び出してきたその時だった。


 複数発の銃弾が巨大ミミズの身体を捉え、吹き飛ばした。その少し後で銃声。純は右手のパイソンを巨大ミミズに、スリングで肩にかけていたMPLを左手に持ち、銃声のした方へと向けた。200メートルほど離れた砂丘に、5人の男が馬に乗り、各々のライフルをこちらに向けていた。


「ヴォォォォォォォーーーーーーー!!??」


銃弾を受けてその場でピクピクとしていた巨大ミミズが突如頭を起こして叫び、またも砂の中に消えていった。


 助かった―――だがあの男たちが敵じゃない保障はない。しかも銃を持ってる。


 純はパイソンを素早くホルスターに収め、MPLを右手にスイッチさせて構える。だが男たちはそんな純にお構いなしに近付いてくる。そして純の目の前まで来ると、先頭の男が拙い英語で純に尋ねた。


「お1人か?旅の者よ」


敵意はないようだ。だが油断は出来ない。純は男から銃口を下に向けるが、構えは解かなかった。


「あ、ああ。だがここから何キロも南東に行ったところに全滅したキャラバンがあった。埋葬をする暇もなかった」

「そうか……。詳しい話は後で聞こう。ここは『アレ』の狩場だ。早く移動しなければ。私の後ろに乗れ、旅の者よ」

お読み頂き、ありがとうございます!

感想、ご意見、ご指摘大歓迎でございます!

第4章突入です。今回の舞台は砂漠となります。

また、12話投稿に合わせて銃器解説を更新致します。

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