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交差する二つの運命の夢物語!!  作者: 双月キシト&なっぺ
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☆第3話 ウサギちゃんの紳士《オンリーワン》

さて、優雅な一時。ああ、平和です。

 私は紅茶を飲んで、平和な毎日が続いていくんだな~と思っていた。



 窓から黒づくめの人達が現れる前までは…



 「「えっ?」」


 ガシャン、と割れる窓から次々と怪しい人達が入ってくる。全身が黒い服で統一されており、顔には黒い仮面をつけている。その姿は私から見ても異形だとわかる。


 「えっと…ソウゲツさんが造った雑魚キャラ達かな、クスノキさん?」


 「見た目はそんな感じですけど、多分ソウゲツさんとは関係ないと思います」


 確かに…。派手好きのソウゲツさんが造る怪人達にしてはちょっと地味だと思う。前にソウゲツさんは「昔ならともかく、今の怪人に必要なのはカラフルだぜ。俺の配下にしている怪人はみんなバラエティーにとんだイカしたデザインの奴らだ♪」と言っていた。だから、ソウゲツさんとは関係ないのかもしれない。


 「じゃあ、この人達はいったい…」


 と話していると黒づくめの一人の手もとから棒を取り出す。手首を反すと黒い棒は長くなり、その棒を私に向かって降り下ろす。


 「きゃぁ!」


 「危ない!」


 当たる瞬間にクスノキさんが私を引き寄せ、回避した。


 バチぃ! と青白い電撃が走る。すると私がさっきまで立っていた場所の絨毯や床が黒く焼き焦げている。


 「あの棒の先端から高圧電流が流れているみたいですね。しかし一瞬で絨毯を焼き焦がすとは…」


 「高圧電流!?」


 もし、クスノキさんが助けてくれなかったら、今ごろ私は…。

 恐怖にひきつっている私に黒づくめの彼らは待ってくれない。全員、さっきの人と同じ長い黒棒を構えて、ゆっくりと私達に近付いてくる。


 「くぅ…。いったいなんなんですか、あなた達は!?」


 私の問いかけに対して答える気が更々ないようだ。いや、私の言葉が全く聞こえないようにも思える。いったい、この人達は…。

 私とクスノキさんはゆっくりと後退して、出口のドアまで逃げようとする。すると、一人の黒づくめがテーブルに置かれているサファイアボールに手を出そうとしている。あれが狙いなのか?


 「……はっ!」


 テーブルのサファイアボールに手を伸ばす黒づくめをクスノキさんは一蹴する。そして、急いでサファイアボールを抱えて私に渡す。…えっ? 何故私に渡すの?


 「クスノキさん!?」


 「ウサギさん。それを持って逃げて下さい。彼らの狙いはおそらくそのサファイアでしょう。ここは私が引き受けます」


 はぁ!? 何を考えているんですか? 


 「このホテルの一階の非常口から逃げれます。緊急時の場合はホテルの駐車場に執事さんが車でスタンバイしていると思いますから、車を使って急いで逃げて下さい!」


 「いや、クスノキさん! 彼らの狙いがこのサファイアなら早く渡した方がいいんじゃないの!?」


 別に、私は命を懸けてまでお金持ちになりたいわけじゃない。このサファイアボール一つで助かるなら、私は素直に渡した方が良いと思う。けど、クスノキさんは首を横に振り、否定する。


 「いいえ、ウサギさん。そのサファイアを渡した所で素直に帰ってくれる人達ではないですよ。むしろ犯行現場を見られた私達を生かすとは到底思えません」


 「ですけど…」


 でも、これを持っているとあの黒づくめに追われる可能性が出てくる。いきなり襲ってくるような相手に逃げれるの。


 「それにもし、そのサファイアを奪われたら、ソウゲツさんがどんな行動を取るかわかりません」


 「わかりました。サファイアを持って逃げます!」


 そうだ、もしソウゲツさんにサファイアが奪われた事を知られたらどうなるか…。怒りの矛先をこの街で晴らすかもしれない。…ヤバイ。


 「いや、なんで敵より仲間の人の報復の方が恐いのかな…」


 「それもそうですね。でも、これは私の感ですが、あの人達にそのサファイアを渡してはいけないと思うのですよ」


 クスノキさん…。


 「ですけど…」


 「大丈夫ですよ。私は守ることに関しては仲間達の中で一番上だと自負しています。女性を守る事と自分の身体を守る事くらい容易い事です。…さあ、行って下さい!」


 そう言ってくれた時のクスノキさんの背中は大きく見えた。私は持っているサファイアを強く抱き締め


 「必ず…必ず、後で会いましょう! 約束ですからね、クスノキさん!」


 そう言って私は一階の非常口を目指して走り出した。



――――――――――――――――――――――




 「後で、会いましょう…ですか」


 そうですね。女性との約束は守らないといけませんね。しかも、それがウサギさんとの約束なら、なおさら。私も死ぬ気で頑張らなければ、なりません。死んだら、駄目なんですけど。

 そう思えば、紳士としての私が、ウサギさんと初めて出会った時もそうでしたね。確かあの時は…


 

 と、回想シーンに入ろうとしている私に、くろづくめは、黒棒で私の頭を思いっきり殴り付けた。



 ガチッン、とまるで花瓶を金槌で割ったような激しい音がします。高圧電流は流れていませんが、棒の威力だけでも、確実に頭蓋骨陥没、最低でも打撲よる内出血で命に関わるでしょう。


 「まあ、効きませんけど♪」


 「!?」


 固い棒で頭を叩きつけれたのに、私が平然としている事に相手は驚いています。その隙をついて、通信教育で受けた柔道で相手を投げ飛ばす。本当は投げ技より、寝技が得意なんですけどね。

 えっ、何故かって? それはいつか女性とくんずほぐれつしたい……いえ、色々とあるんです。


 「……!」 


 「どうしました? まさかこれくらいで、紳士である私に勝てると思いました? なら…」


 私は一気に近づいて、一人の黒づくめの手を掴み


 「女性との…手の繋ぎ方から、出直して下さい!」



 一瞬で、肩から手にかけての関節を全て外します。

 関節が外したことにより、手に持っていた黒棒を床に落としましたが、黒づくめの人にダメージはなさそうに見えます。


 「普通なら、あれだけの数の関節を外した痛みで失神するものなんですが、本当に痛みがないようですね…」


 何者なんでしょうか、本当にこの人達。いや、そもそも“人”なんでしょうか。いくら私が柔道や合気道を習っていても、あれだけ関節を脱臼させるのは無理だと思っていましたが、意外にも全部外れましたね。



 まるで……体中を“改造”して“弄くり回した”せいで、普通外れにくい関節が外れやすくなったような、そんな感触です。



 「なら、どうしますかね…」


 基本、私は戦闘系担当のソウゲツさん、ウィキぺディアさん、マナツさん、ゾークさんとは違い、後方支援組なんですよね。敵の攻撃を耐え、味方を守るのが私のやり方。この柔道や合気道は護身術の一つとして習った程度では、この場にいる黒づくめの人達(およそ20弱)を私一人で倒すのは不可能に近いですね。


 「まあ、私の役目はあくまで“時間稼ぎ”ですから、倒す必要性はないのですが…」


 時々、あの四人の強さが羨ましくなります。守りたいものを守れる強さ…。本当に、憧れてしまいます。私の場合は相手が誰であれ、女性は傷つけられませんし、なりおり相手を傷つける戦いは好きではありませんから…。

 覚悟が足りないんでしょうね、きっと私は。


 考えている間に、黒づくめの人は私に向かって黒棒を降り下ろす。私は咄嗟に左手でガードします。腕に重たい一撃が入りますが、骨が折れるどころか痛みさえありません。


 「無駄ですよ。私にそんな打撃なんて効きませ…」


 と、言おうとした私に、左右から複数の黒づくめの人達が私に向かって黒棒を降り下ろします。


 青白い火花…床を焦がす程の高圧電流を散らしながら…


 「あっ…」


 複数の黒棒が、私に触れた瞬間に身体中に電撃が走る。



 ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリっ!!!




――――――――――――――――――――――




 

 どれくらい経ったろうか…。



 壁に掛かっている時計を見ると、ほんの一分程度だった。まるで20年くらいの月日が流れたと思っていましたが、そんな事はありませんね。


 たかだか一分程度あれば、高圧電流で肉塊を丸焼きどころか炭にするくらいわけありません。


 普通の人なら、数秒で絶命するでしょう…。




























 「けれど、私は“紳士”ですから♪」


 「「「「「!??」」」」


 ケロっとした顔で、私は足を使って黒づくめの人達に足払いをする。

 いきなり足を取られた黒づくめは倒れこむ。


 「電流があったのを忘れていましたね。これは私としては不注意でしたね」


 最も、私には低周波マッサージほどしか効果はないようです。肩こりもないので、私にはマッサージすら必要ありませんが…、いや、女性からのオイルマッサージとかされてみたいですね。

 しかし、何故でしょうか。ウサギさんのつっこみがないと寂しいですね。今のも「そんな低周波マッサージとかのレベルではないですよ! なんで平気なんですか!?」とか言ってくれないと、頑張れないです。


 とか、考えているうちに違う黒づくめが私に、黒棒を、高圧電流を流しながら降り下ろしますが、それを私は軽く受け止める。直に手から高圧電流が流れていますが、私は平気な顔して黒棒を持っている黒づくめの人に手を伸ばす。


 「私は効きませんが、あなたはどうです?」


 「ーっ!☆~`?●」


 掴んだ瞬間に、黒づくめの体が激しく痙攣する。数秒もすると焦げついた臭いがたちこめ、床に倒れこむ。


 「働きすぎで疲れていたんでしょうね。さて、」


 私は落ちている黒棒を持ち、軽く舞わして感覚を掴む。さて、薙刀とは違いますが棒術の要領で戦いますか。

 私は一気に加速して、下段に黒棒を振り回し、相手を転ばします。相手を倒すことは私には出来ませんが、無力化くらいなら私にも出来ますから。

 身体中に黒棒の打撃や高圧電流が当たりますが、私は相手の攻撃を無視します。


 「∀★!★☆、:?」


 「☆★∀◇┗∂!?」


 何を言っているかわかりませんが、なんとなく「なんだこの化け物!?」「本当に人間か!?」みたいな事を言っている気がします。失礼な誰がどうみても、どこにでもいる紳士ではありませんか。そんな誹謗中傷言われるなんて、心外にも程があります。


 『世界処か、宇宙を探したってそんな人間いるか!!!』


 あれ、不思議。何故かウサギさんの声が聞こえた気がします。こんな時にウサギさんのツッコミが聞こえるなんて夢みたいです。ウサギさん、仕方ないですよ。宇宙を探したっていませんて、私みたいな人いませんて。イエス、オンリーワン♪


 「さて、元気が出てきた所で終わらせますか!」


 黒づくめの人達の攻撃を喰らいながら、私はキッチンの方に足を運び、“ある場所”に黒棒を全力で叩き込みます。



 そう、キッチンにある給湯器の“水道パイプ”を、私は破壊した。



 「高いものなんですけど、仕方ありませんね」


 給湯器を破壊すると、中からまるで噴水のように冷たい水が大量に吹き出る。その量は凄まじく、勢いもあってかリビングにある窓まで、部屋中に水が行き渡る。


 「∂∀◇〇?」


 「さて、皆さん」


 水道パイプの付近にいた私は水をかぶってずぶ濡れでした。せっかくのタキシードをクリーニングに出さないといけませんね。

 それはさておき、話が通じるか分からない人達に一応“最後”に言っておかないといけません。


 「皆さんが誰なのか知りもしませんし、知りたいとも、突き止めようとも思いません。けれど」


 私は持っている棒を彼らに向けます。



 「全世界の女性に手を出すなら私は相手が誰であろうと、全力で叩きふせます!」



 うん、言いたい事は言いました。やっぱり女性が苦しむ姿をみたくありませんからね。あれ、なんか忘れているような…、あ!


 「あ、あと私の仲間リレーメンバーに手を出しても私は黙っていませんから!」


 忘れていたわけではありません。けして、違います。…違いますからね! 絶対に違いますから! 違い…ごめんなさい、ちょっと忘れていました。

 黒づくめの人達は、何も答えず私に向かってきます。やっぱり、そうしますか。


 「では、皆さん。紳士からの“お・も・て・な・し”をしたいと思います♪」


 女性以外では、今日は特別ですよ。


 「この部屋一面の床には高級絨毯《約5000万円》、その高級絨毯に染み付いている水の量《約5000万㏄》、私の手には高圧電流が流れる棒《約5000万V》。もう…お分かりですね♪


「「「「「◇〇★!?」」」」」


 なんとなく私の考えを悟ったと思いましたが、もう遅いです。彼らは逃げる暇もなく、私は濡れた床に棒を突き刺します。



 直後、部屋から煌びやかな青白い光ともに、私達の共有スペースの一角が大爆発した。




――――――――――――――――――――――




 部屋中に高圧電流を流したのは良かったですが、まさかソウゲツさんやウィキぺディアさんの部屋においていた爆弾にまで引火するとは思っていませんでした。


 「おかげで大事な服の袖が焦げてしまいましたよ」


 服についた汚れをはたき落とし、周りを見ると黒づくめの人達は全員倒れていました。いや、よく見ると“はじけ飛んでいた”と言うべきですね、これは。あまり深く語ると気持ち悪いですね。テレビだと確実にモザイクがかかります。


 「さて、こちらはなんとか終わりました。早く、ウサギさんに合流するとしましょう」


 敵の攻撃がこれだけだと思いません。追撃される可能性はありますし、もしかするともうウサギさんの元に敵が現れたかもしれません。


 「でも大丈夫ですよ、ウサギさん! 今からあなたの元へ華麗なる紳士…クスノキが参りますよ~!」


 私は颯爽とウサギさんの元へ走りだそうとする。
























 自分の腹部から突き出ている刃物がなければ…



 「えっ…」


 私は腹部からの痛みにより、初めて刺された事に気づいた。

 そして、後ろから刃物を刺している黒マントに紫色の仮面をつけた人にも…。いつの間に、この人が現れたのでしょうか。一応周囲に警戒をしていましたが、まさかこんなにも簡単に後ろを取られるとは、思いませんでした。


 「……………」


 「がぁ…はぁ!」


 紫色の仮面は刺している刃物を一気に引き抜く。刃物が抜けた腹部から大量の赤い血が流れていますが、これくらいの傷ならすぐに治ります。まだ全身をズタズタにされた時の方が、まだ…


 「 えっ?…う」


 私は力なく床に倒れてしまいました。体に力が入らず、むしろ抜けていく感じでした。体がどんどん冷たくなり、呼吸が荒く、心臓の鼓動も弱くなっていきます。


 「まさっか………毒…ですか…」


 「…………」


 紫色の仮面は答えずに、私に近づき持っている刃を構えます。トドメを刺す気ですか…。

 私は紫色の仮面の人を見て、あることに気付きました。


 「…は……はは。これ…は紳士失格で…すね。あなたのような…」


 「………」


 私の話を聞かずに、紫色の仮面は刃物を私に突き刺します。心臓目掛けて…。


 「…“女性”に気付かないなんて…ね…」


ク「あなたに気付かないなんて、紳士失格ですね…そうでしょう」


 私は紫色の仮面に対して言う。


ク「あなたは…」


キ「はーい、皆のマスコットキャラクターキャットちゃんでーす♪ 皆さん騙されましたね♪」


ク「まさかの展開!?」


ウ「ちょっとキャットちゃん! あなたの出番は間だ先ですよ!」


作「パロディ的な内容を作るなよ、お前ら」

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