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交差する二つの運命の夢物語!!  作者: 双月キシト&なっぺ
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★第2話 戦技

バトります。ちなみに更新が遅いのは全面的に私の遅筆が原因です。謝るんで許してください。


…………ごめ~んちゃいっ☆←

 「でりゃあぁぁぁ!!!」


 吼太が雄叫びを上げながらドリルを地面に突き立てる。その場を中心に発生した地割れは、敵である魔霊種精霊を、その裂け目の奥へと落とす。


 「コール・クリーチャー! ティンダロスの猟犬!」


 吼太が腰に巻いたベルト型のアイテム、ユビキタスサークルが光り輝き、その中心から銀河にも似た門が現れる。そして、その中から異臭と共に異形の獣が現れる。


 ティンダロスの猟犬。クトゥルフ神話における、不浄な存在とされる生物だ。ティンダロスの猟犬は自身の獲物を見定めると、ドリルが作り出した地割れの中に自ら飛び込んでいった。


 間もなく、地の底から、何かを噛みちぎるような音が響きはじめた。


 「相変わらずおっかねぇなぁオイ……」


 吼太が期を見て、ティンダロスの猟犬を送還する。獰猛かつ狂暴なティンダロスの猟犬は、野放しにすると無用な被害まで起こしかねない。そのため、使う時間を制限して吼太は対処している。


 「よし、これで後は後ろにいた奴らだけ――――」


 残りの魔霊種精霊を確認するべく、吼太が振り向いた瞬間、凄まじい閃光が辺りを埋め尽くす。


 「どわあっ!?」


 「あわわ! だ、大丈夫コータ!?」


 閃光が止むと同時に、ありすが駆け寄ってくる。


 「ゴメンねコータ。まだ威力を調整するのが難しくて……」


 「い、いや……まぁいいけど」


 目の前に目を向けるコータ。そこには、直径だけでも10tトラックが楽々入りそうな、深さに至っては底が見えないほどの巨大な空洞が出来ていた。


 ありすの使う魔法は、風と地の特性を組み合わせたことにより発現する、雷の魔法だ。その威力は下手な爆弾よりも遥かに高い。欠点があるとするなら、ありす自身がまだまだ未熟であるため、細かな調整が出来ないことだろう。


 「トゥード、これ……空間隔離止めたら直る?」


 「直りません。埋め直す必要がありますね」


 「あわわわわ……」


 自分のしたことに、自分で怯えるありす。


 「しゃあねぇ。あとでミナに頼んで、時間の流れ操作してここを直――――ッ!?」


 何らかの存在を直感的に察知する吼太。空間隔離をしている以上、ただの人間がこの場に侵入することは出来ない。或いは最初からいたのかもしれないが、どちらにせよ、吼太が感じた気配はおよそ人間のものとは思えぬものだった。


 「リーム!」


 吼太の呼びかけ、そこに込められた意図を理解したリームが、その身体を光と変える。


『我、汝に力与えん』


 「ユニオンアップ!」


 光の粒子に変わったリームが吼太に降り注ぎ、その身と一体化する。憑依種の精霊であるリームは、その身体を契約者と融合させ、自身の力を授けることが出来るのだ。


 リームが合体したことにより、吼太に与えられる力は、氷の魔法、飛行能力、身体能力の向上などだ。


 リームが合体し、吼太の髪にリームの髪と同じ色をしたメッシュが入る。加えて、背中にはマント、両手足に装飾具『エクスリング』が装着される。


 そして、吼太の使う得物、エクスドリルは、ユビキタスサークルから取り出したドリルと、エクスリングが吼太の能力により合体することにより完成する。


 「そこだッ!」


 エクスドリルが唸りを上げ、猛烈な勢いで回転を始める。しかし、その回転方向は螺旋状に掘られた溝とは逆の方向。エクスドリルは大気を逆に掘り進み、先端部に向けて空気を送り出す。渦巻く空気は風となり、竜巻へと変わる。


 吼太の得意技、エクスドリルから竜巻を生み出して相手にぶつける、エクスドリルタイフーンだ。


 エクスドリルタイフーンは吼太が見定めた先――近くに鬱蒼と生い茂る木立に向かって突き進み、暴れ狂うようにその奥を蹂躙する。


『やん、コータってばアグレッシブ~』


 「言ってる場合か!? 来るぞ!」


 リームの猫撫で声を流し、エクスドリルを構える吼太。


 その瞬間、木立から何体もの見慣れぬ存在が現れる。


 パッと見た印象は、英国紳士もかくや、といったところだろうか。シルクハットにタキシード。これでステッキでも持っていたならば、一昔前のイギリスにいそうな人物と言えたかもしれない。


 ただし、"それ"を人間と認めることは、例え誰であろうとしなかっただろう。それには目も、鼻も、口も、顔というものが欠けていたのだから。


 「随分辛気臭ぇツラしてるじゃねぇか……!」


 「精霊の一種でしょうか。しかし、このような精霊は私も見たことがありません」


 トゥードが警戒を解かずに言う。


 「どう見ても味方じゃない……よね?」


 ありすもまた、雷の魔法をいつでも放てるよう、紫電が飛び散る魔法陣を展開する。


『来るよ!』


 リームが言った瞬間、敵が大量の火の玉や水の玉などを飛ばしてきた。


 「チッ、警告も無しかよ!」


 「させないんだから!」


 一歩前に出たありすが魔法陣より、莫大な雷を放つ。辺り一面を覆ってしまうようにも見える、それだけの量の雷は、敵の魔法を欠片も残さず消し去ってしまう。


 シルクハットを被った敵達は、浮かび上がることでありすの雷を回避する。ありすの正面を薙ぎ払うように放たれた雷を回避するには、妥当な選択だろう。


 だが、その行動は妥当であったからこそ、読まれやすくもあった。


 無言のまま、空中を駆けるトゥードが、そのスラリと伸びた足でもって、次々と敵を蹴り飛ばしていく。顔が無いためにその表情は窺い知れないが、それでもその一撃が強力であることは、誰の目から見ても明らかだっただろう。


 だが、それでも、彼等を倒すには至らない。体勢を立て直せば、間もなく攻撃を再開するだろう。それほどに彼等のダメージは少なかった。


 「……成る程、これだけ分かれば十分でしょう」


 ――――尤も、それは外ならぬトゥードが、手加減をしていたからこそではあるが。


 トゥードが確認していたのは、敵の正体及び、防御能力などの身体能力。流石に、"誰が差し向けたか"などといった具体的な情報までは分からないものの、それ以外についての情報は攻撃の際に同時に行っていた観察により、把握が完了していた。


 攻撃力は一般的な魔法使いと比べても並程度。回避能力も防御力も、特筆するものではない。何より、魔霊種と同様に、"造られた"存在特有の、異常なまでの単純さが見受けられた。


 つまり、彼等は生物ではなく、兵器。


 「ならばマスター、遠慮はいりません。存分にどうぞ」


 「応ッ!」


 短いその一言、その言葉には目の前の敵は少なくとも話の通じる相手ではないという意味が含まれていた。


 その一言を聞き、トゥードよりさらに高く飛び上がった影が、敵の直上より敵を見下ろす。影――吼太は既に十分な力を右手のドリルに溜めており、今から強大な一撃を放とうとしていることが簡単に見て取れた。


 英国紳士の敵はその一撃を回避すべく、それぞれが動こうとする。が、そこで互いにあることに気づいた。


 何体もいた敵の群れは、いつの間にやら互いが互いの動きに干渉してしまうほど近くに、つまりは密集していることに、だ。


 トゥードの一見無意味な攻撃は、その実敵を観察すると同時に、倒すべき存在であった場合に、一撃にて倒せるようにと、敵の位置を固めていたのだ。一度の行動にて複数の目的を達成させることが出来たのは、頭脳労働に優れるトゥードだからこそだろう。


 さらに言えば、ありすが控えている以上、散り散りに逃げようとしても、極大の雷魔法にて一挙殲滅される未来しかない。それで僅かに残ったとしても、トゥードがいる以上、反撃は許されない。


 何よりもう、彼等に逃げる暇は残されていなかった。


 吼太が回転を始めた右手のエクスドリルを取り外し、眼下に投げると同時に急降下を始める。間もなく吼太の右足はエクスドリルに追い付き、エクスドリルを押す形になる。


 「エクスドリル……キィィィックッ!!!」


 エクスドリルにより切り裂かれ、吼太の周りに発生する空間の刃が、吼太をあたかも一個の巨大なドリルであるかのように巻き起こる。


 間もなくエクスドリルが空間を掘り抜き、その蓄えたエネルギーの全てが、英国紳士風の敵にたたき付けられた。


 「やった!」


 「お見事です、マスター」


 撃破を確認したありすとトゥードが言う。


 そして、再び空間を掘り抜き、通常空間に復帰した吼太は、エクスドリルを回収し、無事に着地する。合体を解除すると、その瞬間にリームが吼太に抱き着く。


 「あーん、コータカッコよかった~」


 「抱き着いてくるなぁっ! ったく……」


 そうは言いつつも、顔を赤らめ、満更でもない様子の吼太。その言葉が照れ隠しであることは、吼太の表情を見れば誰であろうと分かっただろう。


 「……」


 「いたっ!? いたたっ!」


 そんな吼太が気に入らないらしく、無言で吼太の腕を抓るありす。


 「お疲れ様でした、マスター。流石の腕前です」


 「いてて……ドリルで掘るのは、まぁ人並み以上には出来る自信があるからな。さて、と……出てこいよ!」


 吼太が、どこかに――いや、"誰か"に向けて言葉を投げかける。


 「人数は二人、でしょうか? あのような存在を差し向けた意図をお聞きしたいのですが」


 トゥードも同じように気づいていたらしく、吼太よりもさらに踏み込んだ内容を口にする。


 ありすとリームも、一見すると気づいていないような様子を装っていたが、その目は戦闘時の緊張が窺えた。


 そもそも、だ。魔霊種や、先程の英国紳士風の敵のような、自分の意思があるかも怪しいような存在が、自発的な行動を起こすとは考えにくい。つまり、考えられる答えは、"それらを操る敵がいる"ということだ。


 それを、吼太は類い稀なその直感で、トゥードは気付かれぬよう周囲に放っていた魔力ソナーで、そしてありすとリームはそんな二人の様子から、感じ取っていた。


 ――近くに、いる!


 刹那、先程英国紳士風の敵が放ったものとは比べものにならない威力を持った魔力弾が放たれる。


 「なろぉ! アームドオン!」


 吼太が叫んだ瞬間、爆風が辺りを埋め尽くす。




 ――死んだかな?


 ――いや、まだだ




 間もなく、爆風が晴れ、その中心の様子が明らかになる。


 そこには、爆風に煽られて尻餅を着いてしまったが、怪我は見当たらないありすとリーム、そして巨大な赤い鎧を装備した男の姿があった。


 吼太のもう一つの戦闘形態、フォルティトゥード本来の姿である鎧を纏った、アーマーフォームだ。


 その鎧を纏った腕からは微かに煙が上がっている。先程放たれた魔力弾をそこで弾いたのだろう。傷一つついていないその装甲からは、堅牢さが窺える。


 「いきなりかましてくれるなんて、いい度胸じゃねぇか。ナニモンだ!」


 吼太が言うと、先程英国紳士風の敵が現れた木立の、さらに奥から二人の人影が姿を現す。


 一人は成人男性、一人は少年のようだ。成人男性は全身を包むようなコート、少年は黒いマントと黄色の仮面故に、先程の敵同様表情は分からないものの、その強い気配は人間のそれだ。いずれも、強い魔力を持つが故の独特な威圧感を放っている。


 「初めまして。僕はスライ・マーレイン。こっちのデカイのはルドルフ・ラングヴァイレ」


 そこで、一息つき、告げる。


 「探し物をしてるんだ」






 ――――世界を壊す鍵を

もう片方に比べて内容がバトルに偏り過ぎ? ゴル◯ムの仕業だ!←


全体的にバトル風味でした。これでも個人的には端折ったほうなんですが、なんだか執筆が遅くなりがちなんですよね。なんででしょう?


最後の二人は何者なのか!? 続きはwebで! って、痛い痛い! 石投げないで!?


ではではこの辺で!

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