☆第1話 ウサギちゃんと仲間達《リレーメンバー》
はじめましての方もいれば、おひさしぶりの方もいると思います。
双月キシトです。代表作『最強の勇者と最弱の勇者の物語!!』と『オフ会シリーズ』です。
今回なっぺさんとのコラボ小説を企画して、見事作品を投稿できたことに嬉しく思います。
それではコラボ小説。始まり~始まり~
「するとζ(s) = 1 + 1/2 s + 1/3 s + 1/4 s + となり
そこから求められる計算を紐解き、Sの値をζ(s) = 0にする…」
私は葛城 宇佐美
しがない日本の普通の女子高生である。
勉強は普通。体力も普通。友達付き合いも普通。特に何が得意でも、趣味もない。街中に雑踏とした人々の一人。何処にでもいるありふれた普通の人だと認識して貰えば嬉しいと思う。
「X を複素 n 次元のコンパクトな複素多様体とすると、H p, q (X) はタイプが (p, q) の調和式により表されるコホモロジー類の部分群でる。すなわち…」
そんな普通な私ですが、最近はちょっと…いえ、かなり私の周りの環境が変わりました。イメージ的にはアルマ○ドンの大津波くらいの災害が起こった程度です。
「放物型偏微分方程式の簡単な例として、一次元の熱方程式があり、例として挙げられる。ここで、xは時間における位置 Rのの温度を表しは定数とする。Xxは、時間変数aに関する ∂の偏微分を表し、 ∀は同様に空間変数∂に関する…」
ちょっと前にインターネットであるチャットをしていた私とチャットのメンバー八人でオフ会をしたのが始まりでした。
最初はドキドキで喜びに満ちあふれた可愛らしい夢見る乙女のような気持ちでした。『誰が来るんだろう。素敵な人が来ないかな~』と考えていたのが、今でも恥ずかしくなります。
で、来た人達は…
タキシードを着た(変態)紳士
アメリカ大統領
イタリアンマフィアのボス
イギリスのエージェント(スパイ)
ロシアの軍人
異世界の勇者
異世界の魔王
喋る黒猫
…オフ会って凄いな~と思いました。
「アレクサンドリアの科学者エラトステネスによる測定は、地球の大円周長を計算した最初であった。彼は夏至の正午において、太陽が古代エジ プトの都市シエネで天頂を通過するということを知っていたと言われている。一方で、彼は自身の測定結果から、彼の居住地であるアレクサンドリアで、同時刻の太陽天頂距離が天球大円周長の1/50であると…」
まあ、聖夜の奇跡でも絶対に叶わないような九人のメンバーが集結しました。で、何故かリレー小説というものを書いている。もう意味が分からないというレベルでは済まされない。私は投げやり感全快で全てを流れに任せて、皆でリレー小説を書いています。
「第45条は確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪としています。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪なりえます。したがって…」
ただリレー小説を書けばいいだけの話なのに、それを仲間たちは許しません。ことあるごとに厄介事に首をだし、巻き込まれたり、トラブルを引き寄せている。
街をあるけば都市機能を麻痺させたり、海に遊びに来れば海遊禁止区域になったり。最近では外国に旅行しただけで国家を敵に回したり、海底遺跡を破壊したりと大変過ぎる日常を送っています。
いつになったら小説が書き終わるのかも未定です。いや、書けるのかな…。
「das jetzt zitierte Problem kann von keinen Mitteln bei einem Gymnasium gelöst werden-。このドイツ語を訳すと…」
―キーン、コーン、カーン、コーン―
「チャイムがなりましたね。では、今日のドイツ語の授業はここまでにします。来週はドイツ語検定がありますので、皆さん復習を欠かさずにしてください」
今日の授業が終わりました。先生が教室から出ていき、クラスのみんなも帰りの身支度をしている。
私は目を見開きながら、ぼっーとしていた。多分、鏡を見たら生気のない目をしているんだと思う。それくらい今の私は元気がない。
何故って? それは万国共通の悩みだよ。
「……一個も分からなかったな」
私の学校のレベルってこんなに高かったかな…。
ミレニアム問題、宇宙学、地質学、最先端科学、マニアックな歴史学、ドイツ語…
多分、今の高校生はしていない。
「うちの高校はしてますよ」
「えっ!?」
そうならない事を祈る。