~勇者 ビマイン・ラブニファ~
この物語はめたらしだんごさんとリレー小説として書きました。
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毎日1話ずつ更新していきますのでよろしくお願いします<(_ _)>
~勇者 ビマイン・ラブニファ~
澄み渡る青い空。静かな森、そんな中を私たち3人はただただ前へ進む。
「ねえ・・・ちょっと~まだ着かないわけ? 魔王の城とかいうところ。私そろそろ甘いもの食べたいんだけど。っていうか、なんか甘いもの持ってないの?」
私の右隣から聞こえてくるちょっと高めのけだるそうな女の声。静かな森の中でよく響く。
「おれも、可愛い女の子という名のデザートが食べたい・・・。女はいないのか。女は・・・。かわいい女の子とイチャイチャしたい・・・・。」
今度は私の左隣から聞こえるこれまたけだるそうな男の声。
「え~女ならここに私がいるじゃない。あ、じゃあこうしましょう。イチャイチャさせてあげるから、甘いものちょうだい。」
「お前は女じゃねぇ。女の子はか弱いものだ。だからお前とイチャイチャしても楽しくねぇ。だいたい、俺が求めているのは可愛い女の子だ。」
「可愛い女の子ですが!? あんたにはこの色気がわかんないのね。かわいそうなクソガキ。」
「ただの年増じゃねえか。だいたい、甘いもの甘いもの騒いでる方がクソガキだろ。お菓子売り場でママにお菓子をねだる子供じゃねえか。」
私を挟んでバチバチ飛び散る火花。間に挟まれた私はため息をつく。
「2人とも・・・。仲間内でケンカしている場合じゃないでしょ? これから魔王を倒しに行くんです。無駄なところで体力を消費している場合じゃないでしょう。」
私の言葉に2人は同時にそっぽを向く。2回目のため息をつく私。
私たちはもとは只の他人であった。しかしあることがきっかけでともに旅をすることを余儀なくされたのだ。
そう、あれは1週間前の事だった・・・。
「勇者ビマインよ・・・・。町でのお前の活躍は聞いておる。色々と問題はあるが・・・お前の実力は相当なものだ。そのお前の力を見込んで頼みがある。」
この日、私はこの国の王に呼ばれていた。王の前に膝をつき、頭を下げる。
「何でしょうか。王から直々の頼みなどとても光栄なことです。なんなりとお申し付けくださいませ。」
「先月隣の国から青年がやってきた。その青年は顔立ちも整っておりとても礼儀正しくすぐに皆に歓迎された。その青年はこの国の南の方にある誰も使っていない城を住居とし暮らし始めた。しかしその青年が暮らし始めて2週間がたってからのことだ。次々と城の周りに住む女たちが消えていった。実はその青年・・・・隣の国の魔王だったのだよ・・・。しかしそれを知らない女たちは次々とその城に引き込まれ城の周りだけでなく、被害はこの国中に及んでおる。あの忌々しい魔王はこの国中の女を集めてハーレムを作ろうとしておる・・・。実に羨まし・・・じゃなくて、実に惨いことじゃ。どうか、あの魔王を倒し、この国を救っておくれ。勇者ビマインよ。」
この国から女が消え始めている・・・そんな噂を最近聞いたばかりだったがまさかこんなに深刻なことだとは思わなかった。なるほど・・・王が直々に頼みにくるはずだ。
「承知いたしました。必ずや魔王を倒し、この国を救ってみせましょう。」
私の言葉に王が安心したようにホッとため息をつく。
「そうか・・・実にありがたい。お前の実力は素晴らしい。しかし、道中危険だろうから、お前に仲間を2人つけよう。この国一番の剣の使い手とこの国でたった1人の魔女だ。2人には私から話をしておこう。さっそく明日にでも旅立てるよう支度をしておいておくれ。」
「わかりました。」
これが1週間前のことだ。そしてその翌日私は剣士と魔女に対面し3人で魔王を倒す旅を始めた・・・。しかし・・・・・
「なぜ・・・王は普通の剣士と魔女を用意してくださらなかったのだ・・・・・。なぜ・・・こんなわけのわからない2人を・・・。異常なまでの女好きの剣士と甘党の魔女だなんて扱いづらいじゃないか!!! 何でこんなに2人とも異質なんだ!!」
思わず心の叫びを口にしてしまった私に言い合いをしていた2人が言い合いをやめ、同時に私を睨んできた。そして口々に言う。
「何言ってんのよ!? あんたに異質だなんて言われたくないわよ!!!」
「ほんとだよ! お前が一番異質じゃねえか!! パッと見て一番おかしいやつ誰だって言われたら100人中98人がお前だって言うわ!!」
黙って聞いていた私もさすがに腹が立ってきた。
「私の何がおかしいというのだ・・・・!! 言ってみろ!!」
「「お前のその格好だよ!!!!」」
剣士と魔女が声をそろえて言う。それにしても・・・・私の格好がおかしいだと・・・!?
私は自分の体をまじまじと見直す
白い生地に裾と胸のところについた黒いリボンがついたゴスロリ。ゴスロリとおそろいのフリフリのカチューシャ。黒と白のボーダーのハイソックスに赤いローファー。
「どこがおかしいって言うんだ!! むしろめちゃめちゃ可愛いじゃないか!! この格好のどこがおかしいって言うんだ!!」
「確かに可愛いわよ。その格好は。」
「ああ、女の子が着てるならな・・・」
「「可愛いけど、お前は男だから!!!! 男がその格好してるってことがおかしいってことに気づけ!!!」」
再び声をそろえて言う2人。バカにされた私は負けじと言い返す。
「私が女の格好をして何が悪い!!! 可愛い物が目の前にあったら着たくなるじゃないか!!! 可愛い物がそこにある限り、私はこの格好をやめない!! そう、そこに可愛い物がある限り!!」
「「何ひらき直ってんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
またもや声をそろえて叫ぶ2人。こいつら・・・けっこう仲良いんじゃないのか・・・・?
「なんだよ、その開き直りは!! ただの変態じゃねーか!!」
「あんたのその自論、全国の女の子の声だから! 何で若干気持ちわかっちゃってんのよ!」
「うるさい!! 人の気持ちを踏みにじるな!! 人の趣味に文句をつけるなぁぁぁ!!」
こんなんで・・・大丈夫なのか・・・??不安を抱えたまま魔王を倒す旅が始まった・・。