第七話 「修学旅行」
第七話 「修学旅行」
敵のロボットとの戦いが終わってから俺達は、解散することになった。
目的だった、スパイラルユニコーンはいつの間にか何処かへ行ってしまったし。
帰り道でのことだ。
「咲、お兄ちゃんって言ってたけど、それは確か?」
「うん……あれは、お兄ちゃん……ごめん、今日はもう帰るね」
「あぁ、分かった、咲」
「……?」
「明日の修学旅行ちゃんとこいよ?」
「うん!また明日輝くん」
「あぁ、また明日」
それから俺は咲と分かれて家に帰った。
なえかは最近機嫌が悪いらしく話しを聞かず、帰っていった、俺が咲を守るとか言ってからだ、どうしてだ?
意味わからねぇ……。
俺は家の扉を開けて、母さんにただいまと言ってから、また自分の部屋にいった。
とりあえず、修学旅行の準備を終えた俺は、ベッドに横たわった。
咲のお兄さんか……、ならどうしてあんな機体に乗っているんだ?あの機体はフォクサーと呼ばれていた。
10年前にアルクェル帝国に持ち出された、宇宙の至宝らしいけど。
次にまたフォクサーがでてきたら俺は……でも負けるかも知れない。
今日だって助かったのは、スパイラルユニコーンのお陰だ、何処かへ消えてしまったけど。
スパイラルユニコーンなどの、ウェポンボックスを武器に登録するには条件があって。
スパイラルユニコーンを武器として登録するには「勇気」が必要らしい。
まぁ、明日は修学旅行だ、日々之さんも楽しんできなさいって言ってたしな。
それから数分、俺はいつの間にか夢の世界へ旅立っていた。
……
…
ここは宇宙の何処か、アルクェル帝国の地球進行先発艦。
ここには四体のAIロボットがいる。
高度に知能発達したAI。
「これは、どういうことですかな?京朗殿」
「言い訳などしない、私はファリクサーという獲物を前に引き上げたそれだけだ」
「そうですか、では次は私達にやらして頂きましょうか」
「いいだろう、約束だからな」
「では早速、私が向かわせましょう、ZH-2タイプHを」
「タイプH?」
「はい、これまでの奴らの戦闘データを採取、分析をしたデータをフィードバックした、ZH-2でございます」
「ふむ、それでも勝てるかわからんがな、ウェポンボックスはどうやら奴らの味方のようだ」
「ウェポンボックス!?我らのアンチプログラムがまだ生きていたとは……」
「だが、まだ奴らはウェポンボックスを手に入れていない、期は今しかないだろう」
「そうなのですか、ならば私のZH-2が見事に倒して御覧にいれることでしょう」
……
…
修学旅行当日、俺は早起きをして、朝ご飯を早めに食べて、すぐに学校へ向かった。
集合は学校だ。
「おはよう、輝くん」
「おっはようー、輝」
「グッモンニーング、甲長」
「……おはよ……」
「おはっようぅぅぅ!輝くん!」
順番に、咲、陽樹、志乃、なえか、坂部 豊が返事をしてくれる。
なえかが相変わらず機嫌が悪い。
坂部 豊は、陽樹の幼馴染で、ルックスは誰もが認めるほどらしい。
何気に俺達の周りには美人が多い。
「おはよう、皆」
「楽しみだな、甲長」
甲長というのは志乃の呼び方だ、何故かこいつは名字でしか人の名前を呼ばない。
「楽しみだよなー、なんせ美人ばっかりだ!」
「めちゃくちゃ楽しそうだな、お前ら」
「なんだよ、輝ー夜明けまで語りあかそうぜー、好きな子とか」
「なんでそうなるんだよ」
その時陽樹が顔を近づけてきて、小声で話してきた。
「泊まる予定の旅館には露天風呂があるらしい、しかも覗きスポットも」
「はっ?覗きスポット?何に使うんだよ」
「はぁぁぁ、これだから輝は……まぁ、楽しみに待ってろよ」
「あぁ……」
早くなえかに話しかけて仲直りしておこう。
「なえか、何か怒ってるなら言ってくれないか?」
「ふーん、分からないんだ、輝は」
「何がだよ……」
その時、なえかの口元が一瞬緩んだのが分かった。
「やっぱり輝は輝だねー、鈍感のニブチンさん」
「そりゃそうだろ、てか鈍感のニブチンさんってなんだよ」
「なんでもなーい」
なんとか修学旅行に行く前になんとか言葉は聞いてくれるようになったか。
そのあと、俺達は点呼をしてから、新幹線に乗るために、学校から数分歩いて、駅へ。
駅についてからも点呼をしてから、新幹線に乗る。
新幹線に乗っている間にしたことと言えば、トランプ、ウノくらいだ。
……
…
俺達は京都についてから、まず旅館に向かい荷物を置いてから、外へ自由行動に出た。
まず俺達がいくのは、清火寺という所だ、なんでも、清火寺の舞台から落ちても結構高いのに生存率は80%台らしい。
それからも色々な所へ行った。
その時のなえかと咲はとても可愛かったと思う、女の子が苦手な俺でもそう思えるほどだった。
俺達は集合時間に旅館に行き、先生の話を聞いてから、それぞれの部屋に入って行った。
男三人、女三人のグループだ。
まず俺と陽樹と志乃は、布団をひいた。
「さて……そろそろだな」
「何がそろそろなんだ?」
陽樹が何か言っている、確か今朝言ってたな。
「ばーか、修学旅行、旅館、温泉と言えばあれだろ!?」
最後の温泉が妙に力が入った言葉だった。
「……まさか、覗きにいくとか言うんじゃないだろうな、女風呂を」
「ふ、その通り!どうだ!?お前もいかないか!」
「アホかお前」
「アホとか言うなよ!学園のアイドル、原川 咲!学園のNo.2アイドル!宮木なえか!この二人の裸体を見たくないのか!?」
二人の裸……ダメだ!アホか俺は
「ダメに決まってんだろ、てか第一どうやって見る気なんだよ」
「よくぞ聞いてくれた!甲長!」
いきなり志乃が目の前に現れる。
「うぉ!どういうことだ?志乃」
「ふっふ……俺を誰だと思っているんだ?」
「しらねぇよ……」
「そうか、なら教えてやりたいが俺も時間がないのでな、陽樹に渡したのはこの旅館の地図だ」
では、さらばだ!と言って志乃は目の前から姿を消した。
「あいつ、何渡してるんだよ」
「だから言っただろ、旅館の地図だ、まだ時間があるからそこにある麻雀しようぜ」
部屋の隅に何故か麻雀卓があった。
「まぁ、いいけどな、でも、それがあるからって覗きはよしとけよ」
何故か俺は麻雀をすると、一つの役でしかあがれない、どういうこった。
「いいじゃねぇか、これが修学旅行の楽しみだったんだ」
どんどん進めていく、二人しかいないのであとの二人は遠隔操縦機能というのがあったので使ってみた、なんでこんな無駄な装置が。
「そうか、まぁ、見つかって困るのはお前だしな」
どんどん手を進めていく。
「なぁ、輝」
「カン」
「ちょ……お前、話しで気をそらそうと思ったのにお前カンであがるから」
「その手いつものお前の手じゃないか」
「ちっ、バレてたか」
「バレバレだ」
それからも、俺達は麻雀をした。
一時間後
「さてっと、そろそろ行ってくる、俺の天国へ!」
「地獄じゃなけりゃいいな」
「んなことあるかよ、じゃあな」
陽樹は期待に燃えるような目で外へすぐに行っていた。
早いな、あいつ。
ふと外を見るとそこには、咲となえかの姿。
あーあ、あいつ意味なかったな。
でも見られなくてよかったと安堵した自分がいた。
どういうことだ、これは……。
……
…
ここは旅館の中庭だ、人が二人いる。
「どうしたの?宮木さん、こんな所に呼び出して」
「あのね、原川さん」
「うん、どうしたの?」
「言いにくいんだけど、はっきり言う、原川さんは、輝のことが好き?」
「……どうして、そんなこと聞くの?」
「いいから答えて!」
「うん……好き……なのかな、でもなんでそんなこと聞くの?」
「やっぱり……じゃあ私達はライバル」
「ライバル……?」
「そう、ライバル、ここまで言っても分からない?」
「ううん、分かるよ、でも宮木さんとは仲良くしたい」
「仲良く?ライバルなのに、それにもしどっちかが付き合ったら苦しいだけなのに?」
「でも、私は仲良くしたい、それが無理でも……私は努力する、それに輝くんが選ぶのは誰か分からないんだから」
なえかは、呆れたような顔になっていた。
「はぁ、分かりました!なら、どっちが選ばれても恨みっこなしだよ?」
「うん!約束だよっ」
二人は指きりをした、約束。
この約束が果たされるかどうかは……分からないが。
「宮木さん、これからなえかさんって呼ばせてもらってもいいですか?」
「うん、いいよ、私も咲って呼ばせてもらうけどね、意外だったんだけど、咲って結構大胆だよね」
「そう?私は……人と付き合うのが苦手だから、おとなしく見えるのかも知れないね」
「あれ?陽樹だ、何処いくんだろ……お風呂かな?」
「でもお風呂は今私達の時間だよね?」
「うん、行ってみようかっ」
「そうだね」
なえかと咲は陽樹のあとを見つからないようにつけて行った。
……
…
「おぉ~ここが天国!」
陽樹の視界に映るのは、天国のような光景だった、でも目的の原川 咲と宮木 なえかがいない。
「ちっ、あの二人はまだか」
「本当だよなー、原川 咲と宮木 なえかはまだかよー」
「お、輝も来たか、やっぱり見たいんじゃねぇか」
「そりゃ、男だしな」
「はっらかわー、はっらかわー」
「はっらかわー、はっらかわー」
陽樹は違和感を今まで感じられなかった。
声が輝の声ではない。
「誰だ!?」
「私よ!」
「私もいます……」
なんとそこにいたのは、原川 咲と宮木 なえかだった。
「あ……あああぁぁぁ!」
「ふふ~ん、何してたのかな~?犬、教えなさい」
「ごめんなさい、覗いてました」
「正直なのはいいけど、正直だけでは い き て い け な い よ 」
なえかの声は弾んでいるような声だった。
その後、旅館近くに陽樹の断末魔が響いたという……。
第七話 終わり
第八話へ続く