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第六話 「フォクサー」

第六話 「フォクサー」


粉雪と炎の粉塵が舞う、とても綺麗だ。

「原河さ――」

「咲」

「え?」

「咲でいいよ、私も輝くんって呼ばせてもらうけどね」

俺はこの時初めて「咲」の笑顔を見た、とても純粋な笑顔。

「あ……あぁ、分かった」

ファリクサーを地面に降下させると同時に咲も地面にフェクサーを降下させている。

屋上にいるなえかの顔が見える位置まで降下すると同時に俺と咲の通信を聞いていた、なえかが頬を膨らませているのが確認できた。

ファリクサーのコックピットハッチを開き、ファリクサーから降りる、咲もフェクサーから降りてきたみたいだ。

すぐにファリクサーのハッチが閉じられ、すぐに地面から離れていく、恐らくFDAの本部に戻ったんだろう。

「なえか、なんでそんなに頬を膨らませてるんだ?」

「分からないんだ……どうしてこうなってるか」

「全然分からん」

「ふーん、相変わらずだね輝は」

「なんじゃそりゃ……」

何故かなえかは一瞬寂しいという顔をする。その顔はすぐに崩れ、笑顔になる。

「なんでもなーい、深く気にしちゃダメだよッ」

「そうなのか?」

「そうそう」

この後俺達は教室に戻った、戦闘が終わったあとにすぐシェルターは解放されたようで、生徒が戻ってきていた。

教室に入ると、黒板には今日は全員帰宅と書かれていた。

戦闘があったんだ、当たり前か……。

「輝くん、帰ろう?」

咲が話しかけてくる、輝くんとは慣れない言われ方だ……。

「あぁ、咲、帰ろう」

俺も咲と言い返す。

微妙な空気が流れる、何か変な沈黙というか。

「おやー?いつの間にそんな風に言い合う仲になったんだ!」

陽樹がこちらに正面から近付いてくる。

俺の耳元で小さい声で話しかけてくる

「どういうことだ、輝なんでお前が学園のアイドルを呼び捨てにしている、それに輝くんだとぉ?」

「お前には関係ねーよ」

「いぃぃぃっや、関係あるね、お前が女の子に興味もつってか…原河 咲が男子に興味もつなんてことが異例だ」

「は?どういうことだ?」

「あのな、原河 咲はこれまで数多くの男から告白されてきてそれを蹴ってるんだぞ?それにこの学校で一番イケメンと言われる奴もだ」

「なんでそれだけで異性に興味がないってことになるんだよ」

「あの~……輝くん、それと秋日くんだよね?早く帰ろう?」

聞いたか輝!秋日くんだってよ!と陽樹が言ってくるので俺は適当に流すことにした。

「あぁ、悪い帰ろう」

俺は教室からでて歩きだす。

後ろから咲と陽樹がついてくる。

「あ、そうそう、輝、あと一週間くらいで修学旅行だけど、準備したか?」

「ん?一応準備したぞ」

そうだ、あと一週間で修学旅行なのだ、ちゃんといけるか分からんけど……でもいきたい。

皆との修学旅行は楽しくなるだろう、俺はそう思っている。

……

広い広い……宇宙の何処がで何かが話している声が聞こえる。とても機械的な声だ。

聞こえるのは三つの機械的な声。

「我らの邪魔をするものがいる、あれはファリクサー、フェクサー、フィクサーか」

「そうですわ、あれは人間の言う時間で私達が2000年前に敗れた宇宙の至宝」

「そうだな、また我らの邪魔をするのかあの忌まわしき宇宙の至宝は」

「あの宇宙の至宝を持って帰れというのが私達の王の命令、これは忠実に守らなければなりません」

「分かっている、その為に我らはZH-2を送っている、だがそのたびにあいつらにやられている」

そこに何かが現れた、それはとても人間のような形をしている。

声も人間のようだ。

「それは貴様らが無能だからだ、私ならもう貴様らは切り捨てている、この艦の主に感謝するんだな」

「これはこれは……わざわざあなたのような方がこんな辺境の星にいらっしゃるとは」

「宇宙の至宝は私の敵だ、私があのファリクサーという機械を持ちかえる、貴様らは不要だ」

「なっ!我らもがんばっております、また機会を頂ければ」

「ふんっどうかな、だが次は私がやらしてもらう、私が失敗したら、機会をやる」

「ハッ…京郎殿」

……

俺はまたいつもの日常が戻ってきたんじゃないかと思った。

最後に俺が戦った後の三日間アルクェル帝国からのロボットはこないし、穏やかな日々が久しぶりにきたんだと思った。

この三日間の間に起きたことと言えば、FDA本部に呼び出されて、ウェポンボックスのことを聞かされたくらいだ。

あとアルクェル帝国のロボットはすべて高性能なAIで動いていると……。

地球にもAIはあるけど、ロボットを動かせるほどではないからなぁ……技術力の差を感じる、アルクェル帝国との。

その時、いきなり通信機が震え始めた。もしかしてアルクェル帝国か?

今日は日曜日だ、学校も休みで人通りも多い、市街地で戦闘なんて起きたら。

そこで気づくいつも警報がなっているのに今日は鳴っていない。

どうしてだ?と思いつつも通信機の通信ボタンを押す。

「甲長くん、今から指示する場所にきてくれる?ちょっと話したいことがあるの」

日々之さんからの通信だった。

「話したいこと?」

「そう、きっと驚くわよ、こんなものが見つかるなんて思ってなかったから、あ、それと原河さんと宮木さんには連絡しておいたから早くきなさい」

こんな休日に呼び出しか……まぁ仕方無い行くか。

「はい、今すぐいきます」

返事をしたあと、通信を切り、何処にいくかを見る、この場所は、山がある場所だ、ここを登っていかなきゃならないのか……休日に。

返事をしたからにはいかないわけにはいかないか、俺はすぐに靴下を履き、母さんにちょっと外に行ってくるといって扉を開けて外にでた。

山を目指して歩いていく。

多分20分くらいで山につくだろう。

……

俺は現在山を登っている、汗をかき始めている。

もう30分は経過しているだろう、こんなにかかるなんて思ってなかった。

少し歩いていると、開けた場所にでた、そこにはファリクサー、フェクサー、フィクサー。

他にも人が多数いた、何かをとり囲むように。

俺に気づいたのか先にきていたんだろう、咲となえかかがこっちに近づいてきた。

「おっはよー、輝」

「おはようございます、輝くん」

「おはよう、なえか、咲」

「日々之さんが呼んでるからこっちこっちー輝ー」

「あぁ、はいはい、了解」

日々之さんがいる所へなえかと咲に連れられて歩く。

日々之さんがいる所まで行くのに続けれれる会話は、当たり前のような日常会話、これが楽しい。

ファリクサーに乗ってからこんな風に話したのは久しぶりな気がする。

「きたわね、甲長くん、アレを見て」

日々之さんが指をさす方向を俺は見た、そこにあったのは、何かの武器か?

「あれは……なんですか?」

「あれは、ウェポンボックスのスパイラルユニコーン」

「ウェポンボックス!?じゃあ、あれが宇宙の至宝の武器」

「えぇ、そうよ、でも化石みたいになってるの、あのままじゃ到底使えないでしょうね」

本当だ、よく見ると化石みたいになっている、ひび割れている部分もある。

「そうですか……」

「でも、これが見つかってよかったわ、アルクェル帝国に見つかる前に早く回収しないといけないから、ファリクサー、フェクサー、フィクサーをもってきたの」

その時だった、警報がまた鳴り響いたのは。

上空からまたロボットが近づいてきているらしい、しかも今回のものは全然違う敵らしい。

とにかく俺と咲となえかはそれぞれの機体に乗り込み、すぐにファリクサー、フェクサー、フィクサーを戦闘モードへ移行させる。

日々之さんの顔がモニターの端っこにでてくる。

「あ……あれはっ!10年前に持ち出されたフォクサー!?」

上空を見上げると、黒くそしてファリクサーに似ているロボットがいた。

……

「ふん、あれがファリクサー、フェクサー、フィクサーか、それにあれは……ウェポンボックス、俺はついている!ウェポンボックスまで発見できるとはな!」

フォクサーに乗っていると思わしき男。

その時地上からファリクサー、フェクサー、フィクサーが飛翔する。

「あの黒い機体、ファリクサーに似ている……アルクェル帝国に10年前持ちだされた宇宙の至宝の―」

輝は最後まで言葉を紡げなかった、フォクサーが手を握り拳を作って突撃してきたのだ、ファリクサーはフォクサーの体当たりを受けそのまま地上に降下していく。

「輝くん!」

「輝!」

フォクサーは地面にファリクサーを地面に叩きつけたあと、フェクサー、フィクサーに飛翔し迫る。

「くっ!」

フェクサーとフィクサーはそれぞれブリザードソード、ウィアントソードを手にとり、フォクサーに振り下ろす。

それをフォクサーはいとも簡単に避け、フェクサー、フィクサーに拳で攻撃する、その一撃一撃が的確に当てられていく。

「つ……強い!」

フェクサーは、体勢を崩す。

「ぬるいな……」

「えっ!?」

フォクサーは手刀を作り、フェクサーの動力系を遠慮なく切る。

動力系を切られたフェクサーは降下していく。

「きゃあああ!」

それを再び飛翔してきた、ファリクサーは受け止め、地上に安全に下ろす。

「大丈夫!?咲!」

「う……うん」

「許さない……」

ファリクサーはこれまでとは比べ物にならならいスピードで上昇していく。

フォクサーの遠慮ない攻撃は次はフィクサーに向けらる。

フォクサーは拳を作り、拳を右、左、右と振り回す。

フィクサーはそれを剣で受け止めるが、受けるだけで精一杯のようだ。

「はぁ、はぁ、攻撃が早すぎ!」

「この程度か、期待はずれもいいところだな、奴らはやはり無能か」

更にフォクサーの攻撃が激しくなる。

右ストレート、左ストレート、左回し蹴り、右連続蹴り。

その攻撃をしのぎ切れなかったフィクサーは、その攻撃をまともにくらい、またもや動力系をやられる。

フィクサーは飛行状態を維持できず、緩やかに降下していく。

動力系への攻撃がわずかにズレたのだろう、なえかの操縦技術の高さのお陰だった。

「なえかっ!?くっそ!」

ファリクサーは更に速度を上げ、フォクサーに迫っていく。

ファリクサーはインフェルノソードを手に握り、それを振り上げる。

空気が斬れるような音がするが、それはただ空を斬っただけだった。

フォクサーは後ろに回り、拳を叩き込むが、それをファリクサーは一瞬飛行システムを停止し、機体の高度を下げて避けた。

「まぁまぁやりがいがある、だが……まだまだ未熟」

フォクサーは更に素早く動き、ファリクサーの前に現れる、二本の手を手刀の形にし、動力系に当てようとする。

それを辛うじてファリクサーは避けたが、実際に狙っていたのは飛行システムだった、それが破損した為、ファリクサーは飛行を維持できず、落ちていく。

「ぐっ」

フォクサーは落ちていくファリクサーを無視し、動けないフェクサーを狙う、手の形を手刀にし、それをコックピットに突き立てる。

「えっ……動けない、やられる?」

フォクサーはそれを振り上げ、コックピットに向けて無造作に振り下ろす。

「なっやめろおぉぉぉぉ! 咲は……俺が守る!守るんだぁぁぁ!」

その時ファリクサーが光を纏った。それはとても熱いようで暖かい光、ファリクサーの装甲のような赤い光。

それと同時に化石のようになっていた、ウェポンボックス……スパイラルユニコーンが青い色に変わり、動き出した。

動き出したスパイラルユニコーンは、フォクサーに向って突撃していく。

空気が見えないカマイタチのようなものになり、同時にスパイラルユニコーンが突撃していく。

触れたものをすべて切り裂くカマイタチ、それがフォクサーの手刀を防ぎ、更にその腕を切り裂き、胴体を掠める。

ファリクサーが上空からフォクサーに近づく、フォクサーは上空へ飛翔した。

「ここまでか……ウェポンボックスの力をみくびっていたな」

咲には胴体が掠めた時にできた装甲の穴が見えた、その中にいるのは人間。

「あ……あれは!お兄ちゃん!?」

「……」

フォクサーはそのまま上空へ移動し撤退していく。

ウェポンボックスもいつの間にか姿を消していた……。

「咲……お兄ちゃんって言ってたけど、どういうこと?それに人間が乗ってるって……」

「輝くん……多分、ううん、絶対お兄ちゃん、10年前に生き別れた……」


第六話 終わり

第七話へ続く

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