第五話 「コンビネーション」
第五話 「コンビネーション」
甲長 輝 原河 咲 宮木なえかがFDAに所属すると宣言した次の日。
三人はFDAの本部に出頭した、目の前には約400人ほどの人達が姿勢を乱さずに立っている。
ここはFDA本部の主にファリクサー、フェクサーなどの整備をしている部屋のようだ。
部屋といっても四方100m以上はある、そんな所に人が集められている。
加萬に言われるがままに檀上に立たされた三人は自己紹介をしてくれたらいいわと日々之に言われていた。
「えー甲長 輝です。 本日からFDAに所属することになりました」
なんで俺がこんなことをしなくちゃならないんだ。
続いて原河さん、なえかが自己紹介をしたあと、拍手が巻き上がった、頑張れよーと言う声が聞こえてくる。
はぁ、なんでこんなことになったんだ、昨日のせいか。
てか、今日は学校にいかなきゃいけないんだけど、あぁ、これのせいで朝早く起きろとか言われたのか。
未だに眠い。
「甲長くん、原河さん、宮木さん自己紹介がすんだなら早く学校にいきなさい、遅刻するわよ?」
「はっ!?俺達は自己紹介させるように連れてこられただけですか!」
「そうよ、とにかく所属するなら自己紹介くらいは早めにしておいてもらわないとね、それと君たちがファリクサーのパイロットってことや、ここに所属しているのは秘密よ?」
「それだけのためにこんな朝早くに連れてこられたんですか……。分かってます」
「だから連れてくる前に言ったじゃない、私がまた車で送るから早く乗りなさい」
勝手なこと言う人だ、まぁ俺がちゃんと聞いてなかったのが悪かったか。
さっさと乗り込む原河さんとなえか。
「ほらー遅れるわよー!!」
「甲長くん早く」
俺は、はいはいと返事をしてから乗りこんだ。
車内では特に話すこともなくただ座席に座っているだけだった。
10分ほど走っていると学校が見えてきた。
車が車道から歩道に近づいて止まる。
「ほらついたわ、早く降りて学校にいきなさい」
俺達は車から降りて、日々之さんにありがとうございますと言った。
すると日々之さんは
「いいのいいの、私達は戦うことはできないけど、君たちをできる限りサポートするわ」
俺は適当に返事をして、学校に歩き出した。
後ろから原河さん なえかの足取りが聞こえてくる。
「ねぇ輝今日って修学旅行の班決める日だよね?」
これはなえかの声だ。班を決める日、確か今日だ修学旅行か楽しみだ。
「確か今日だったなぁ、どうする?班は自由に決められるみたいだけど」
「んん~輝一緒の班にならならい?」
「あ?まぁいいけど」
「やったー!それじゃあ原河さんはどうする?」
今まで少し後ろで歩いていた原河さんが前にでてくる。
「えっえーと、私はー」
「そうだなぁ、原河さんも一緒の班でどう?」
「えっいいの?」
「もちろん、陽樹も喜ぶと思うし」
そんなやり取りをしてるとなえかが俺を見ていた、幼馴染だから分かる、あれは不満という顔だ。
「どうしたなえか何か不満?」
顔を俺からそむけると。
「なーんにも不満じゃないよーだ!私先行ってるねー」
なえかは突然走りだす、ありゃ追いつけん。
「なんじゃありゃ……」
「やっやっぱり私いないほうがいいんじゃ」
「いやそんなことはないと思う、まぁ修学旅行を楽しくしたいしなー」
「そう、ありがとう甲長くん」
「お礼を言われるようなことしてないと思うけど」
原河さんは頭を左右に振って。
「ううん、そんなことはないよ、ありがとう」
またお礼を言われたどうしてだ?そんなことを気にしながら学校に向かって歩く。
……
…
校門前につくと陽樹が待っていた。
「おぉー輝ー!」
「いきなり大きい声出すんじゃねーよってか待ってたのか?」
「おう!待ってたとも」
いきなり陽樹は顔をこっちに近づけてかなり低い声で話してくる。
「なぁ輝、学園のアイドルの原河 咲をおぶったって?お前殺されるぞー男子からな」
「そんなことはわぁってるよ」
「それに今朝は一緒に登校してくるなんて、どうなってもしらねぇぞ?まぁ、俺も原河 咲を狙ってた男子の一人だからお前は夜道に気をつけろよ」
「お前な……いい話もってきてやったのに」
「何々?原河 咲のB:W:Hでも聞き出したか!?」
「ちげーよ!何言ってんだよ!修学旅行で原河 咲と同じ班になれるぞ」
「マジで!?甲長様先ほどの無礼申し訳ありませんでした、どうぞ犬とお呼びください」
単純な奴だ。
「犬!」
陽樹の後ろから大声が聞こえてきた、先に行ったと思ってたなえかだ。
「お前にいってんじゃねーよ!!お前に犬と呼んでいいとは言っていない!」
「ふふーん、原河さんと同じ班になれるのが私のお陰だとしたら?」
陽樹の顔が屈辱に歪んでいる。
「くっ……犬と……お呼び……ください」
「よしよし、犬」
「ワン」
まるで、尻尾が本当についているかのような演技……陽樹お前すげぇよ。
「さて、教室へ行くか」
「おう、早くいこうぜ、今日は一時間目は体育だ、早くいかないとどやされる」
「そうだな」
俺達は教室へ向けて歩き出した。
……
…
ここはFDA本部の研究室だ。
日々之と加萬、他にも多数の人がいる。
「これは、フィアーズ族が残していたとされる新しい資料ですね……」
日々之は手元にある資料に目線を注いでいる。
「あぁ、これでアルクェル帝国が何故地球を狙っているのか、という理由が更に分かったことになる」
その資料にはこう書かれていた。
ウェポンボックスとブラックボックスを四基集めた者に、銀河を支配するほどの力を託されるであろう。
だがそれは使う人の力による、この力を正しい方向に導く人が乗ることを切に願う。
ウェポンボックス
スパイラルユニコーン
ドリルウィンドウレオ
ブリザードドラゴン
ガトリングバイパー
フェ……ク……ノ…
最後の文字は掠れて読むことができませんでした、と書かれていた。
その時、警報が基地内に鳴り響く。
……
…
学校の授業が六時間目になり、ホームルームの時間。
予定通り原河さんは、俺達の修学旅行班に入った。
そして、修学旅行の面子は以下の通りだ。
班長 宮木 なえか
副班長 原河 咲
雹尾 志乃
秋日 陽樹
そして俺だ。
知っている面子でよかった……知らない奴となんていけないからなぁ。
その後俺達は下校しようとした、でも、またそれは訪れた。
俺と原河さん、なえかがもっている通信機が震える。
俺達は顔を見合わせたあと、走って屋上へ向かった。
同時に警報も鳴っていたので、陽樹達に説明しなくても大丈夫だろう。
屋上についたので俺達は、通信機の赤いボタンを押す。
その途端日々之さんの声が聞こえてきた。
「遅いわよ!敵が接近しているのに」
「分かってます、念じればいいんですよね?ファリクサーがくるようにって」
「そうよ、でも……今まだファリクサーとフィクサーは整備中なの、だから甲長くんと宮木さんはそこで待機、原河さんはフェクサーがくるようにって念じればいいわ」
「整備中!?」
「そうよ、こっちも急いでるから!とにかく原河さん早く!もうちょっとでくるわ!」
空から敵がきているのがここからでもわかる。
「はい、分かりました」
……
…
私は念じた、フェクサーと……。
するとすぐにフェクサーは私の前に飛んできた。
青くてスマートなロボット、それがフェクサー。
本当に念じただけでくる、これを私は不思議だと思えなかった、前から知っているような感覚。
私はすぐにコックピットに乗り込み、ハッチを閉める。
各モードを戦闘状態に移行させる。
フェクサーを地面からゆっくり上昇させていく。
上昇させたあと、私は敵に向けてスピードをあげた。
敵が発砲してきた、あれは……ビームだ。
あれなら防げると、私はオーパルシールドを展開した。
敵のビームはシールドで弾ける。
「よし、被害個所はない……!」
いける、そう確信して、フェクサーの武装、ブリザードライフルを連射する。
敵の装甲が思ったより強固で貫けない、敵の攻撃を避け、シールドで防ぎながら、ライフルで狙っていく。
「強い、でもこんなことじゃ皆を守ることもできない!」
私はライフルを右手に持ちながら、左手にブリザードソードをフェクサーに持たした。
ライフルを右手で連射しながら、近づいていく。
ソードを敵に振り被り下ろした。
それは敵を貫くかと思った……でも、それは違った。
敵はフェクサーと同じようなバリアを展開し、それで私の攻撃を防いだ。
私はそのことで体制を崩した。
「あっ!」
敵が私を……フェクサーのコックピットを狙っているのがすぐにわかった。
敵は剣、違う……あれはビームソードと呼ばれるものを振りかぶった。
……
…
上空でフェクサーとアルクェル帝国のロボットが戦っている。
その時フェクサーが体制を崩したのが見えた。
「原河さんが!」
「OKよ!念じて!」
俺はすぐに念じた。
ファリクサー
すぐにファリクサーは上空に姿を現した。
その赤いボディーが眩しい。
俺はすぐにコックピットに乗り込み、フェクサーの元に一直線に飛翔した。
……
…
や、やられる!でも、私は動けない、こんな時に助けてくれる人なんて……。
その時機体が揺れた。
「原河さん!大丈夫!?」
甲長くんが自分を顧みずに、ファリクサーを突撃させて、私を守ってくれた。
こんな人本当に……初めて。
「うん、大丈夫、でもあの敵バリアーがあって」
「バリアー!?」
……
…
バリアーだって?どうしたらいい、フェクサーの攻撃がはじき返されたならこっちも同じだ…。
でも、さっき話したあれならいけるかもしれない。
「原河さん!さっき話してたあれをやる!いいね!?」
「あれ……うん!分かった!」
俺はすぐにインフェルノソードを取り出し、ファリクサーの右手に持たせる。
原河さんのフェクサーが、インフェルノソードに力をおくる。
インフェルノソードの刀身が赤く、青く光りはじめる。
ファリクサーの宇宙の至宝ブラックボックスには、他のブラックボックスの特性を混ぜる能力がある、それを使う!
「ブリザード!」
「インフェルノ!」
俺は原河さんと同じタイミングで叫んだ。
「「トルネードォォォ!」」
刀身から激しい竜巻がでてくる。
赤く、青い竜巻。
空を切り裂く音をたてて、竜巻は進んでいく。
敵のシールドに突撃する。
「そんな!」
「ものおぉぉ!」
敵のシールドが激しい音をたてて、崩壊する。
同時に竜巻も消えるが、俺はすぐに敵の目の前にいき、それを腹のあたりに突き刺す。
そして突き刺した刀身から先ほどよりもっと大きい竜巻がでてくる。
竜巻に巻き込まれた敵は装甲を次々に切り裂かれ。
爆発した。
そのあとには綺麗な、粉雪と火の粉塵のようなものが舞っていた。
第五話終わり
第六話へ続く