第十一話 「ドリルウィンドウレオ」
第十一話 「ドリルウィンドウレオ」
敵が撤退した後、すぐに俺は咲をファリクサーのコックピットに乗せて。
「なえか、フェクサーは任せる」
「え、ちょっと!輝!」
声を無視して、俺はファリクサーを飛翔させ、FDA本部に急いだ。
FDA本部に着くと、医療班が既に待機していた。俺はコックピットから降り医療班に、咲を連れていく。
連れていくといっても、おんぶしているんだけど。
でも…俺のせいで……。
咲、くそッ!俺のせいで、俺のせい……で。
俺は、ただ医務室につれて行かれる、咲を見送ることしかできなかった。
一時間ほど、俺は自分を責め続けていた。咲が医務室からでてくるまで、ずっと……ずっと。
その時、咲が医務室からでてきた。頭に包帯を巻いている、俺……のせいだ。
「咲……ごめん」
咲が驚いた顔になる。
「なんで謝るの?」
「俺が守るって言ったのに守れなくて……」
咲の目つきが鋭くなる。
「輝くん、それは傲慢だよ、皆を守るなんて一人じゃできない、だから私がいるの、なえかさんもいる、もっと私達を頼ってくれていいんだよ?」
頼る……か、そうだよな、俺だけで皆を守るなんてできるわけがない、そんな簡単に守れるならもうこの戦いは終わっている。
俺は息を吸い込んで、はっきりと言った。
「分かった、そうだよな、俺一人で守るなんてできないんだよな、だから咲がいるんだよな」
「うん、なえかさんもね」
「そう、だな」
「俺は皆の笑顔を守る為に戦う……でも、一人で戦っているなんて思わない」
「私は、輝くんを守る、それが皆の笑顔を守るのに繋がるから」
「そして私は、輝の笑顔を守る為に戦う」
ふと、声が聞こえた。
「なえか……」
「やっと分かったんだね?」
「ああ、多分……な」
俺が皆の笑顔を守る為に戦う、そして咲となえかは俺を守る為に戦う、それが皆を守ることに繋がるから……か。
絆、そう、これも絆なのかもしれない。
そして俺はこの時気づいたことがある、絆はフィアーズ・コードは、皆の中にあるものだ……と。
フィアーズ・コードがなんなのか、それは分からないけど、フィアーズ・コードは皆が持っている絆の力なんじゃないんだろうか。
そして、フィアーズ・コードは世代を超えて色々なことを教えてくれる絆の力。そう、思えた。
でも、そう思えたのは何故だか分からない。
「でも、どうやって説明しよう……」
咲が不安そうな声を発する。
「その頭に巻いた包帯?」
「うん、そう、どうお母さんに説明したらいいかなって……」
「こんな怪我するような物はないもんね」
どう考えても頭を怪我するなんて普通あり得ない。
マジでどうしよう。
「どうしようか」
「うう~ん」
「まぁ、なるようにしかならないか」
「そう、だね」
なるようになるって証拠はないんだけどな。
でも、まぁなんとかなるだろう。多分。
俺達は、その後、他愛のない会話を数時間行って、家に帰っていった。
久しぶりにこんなに話した気がする。こんな普通だと思える会話は、久しぶりだった。
……
…
翌日。学校に向かった俺は、とんでもない催しがあるのを知ることになった。
「これを見てみろよ」
陽樹が、一枚のチラシとおぼしき物を差し出してくる。
「これは……ミス聖龍高校ってなんだ」
「知らないのかよ、今年からやることになったミスコンだ、生徒会長の趣味らしいぜ」
生徒会長の趣味って、生徒会長は女じゃなかったか。そんな疑問はすぐに吹き飛んだ。
「女子は全員参加で、今日の二時間目の授業かららしい」
「全員参加ってことは、咲となえかもか?」
「おう、そうだぜ、嫉妬するなよ、健全な男として、目の保養だ!」
「嫉妬ってなんだよ、二時間目からってことは、授業の時間を使ってか……?」
嫉妬ってマジでなんだよ。ちょっと胸が痛みはしたけどさ。
「そうだ、授業を使って、だ」
「この学校大丈夫なのかよ……」
「大丈夫だろ、先生もノリノリだ、って話しだぜ」
先生がノリノリ?ストレスでも溜まってんのかなぁ。
「とにかく二時間目は、ミスコンだからとっとといこうぜ」
そう、もう二時間目なのだ。通りで、女子がいないわけだな。
その時。
「ふ、ミスコンの事前投票では、期待されているのは、原川 咲、宮木 なえか、そして生徒会長となっている」
志乃が突如目の前に現れた。
「志乃、また突如現れてるんじゃねーよ、事前投票なんてあったか?」
「あったぞ、前に、俺が主催した」
「お前が主催かよ……」
「そうだ、何か言いたげだな」
お前になら言いたいことがいくつでもでてくる。とは俺は言わなかった。
「いや、なんでもない」
「そうか、それより、気になる情報を手に入れたのだが」
「気になる情報?」
なんだろう、もしかして咲の頭の包帯のことか……。
「最近、ここいらでは、不思議な事件が多発していてな、女子の下着がなくなるという事件らしい」
「は?なんだその事件は、そんな事件ならもっと、大きくなるもんじゃないのか?」
「いや、大きくなっていない訳ではない、お前が知らなさすぎるのだ」
「そうかよ……で、犯人の目星とかついてんのか?」
「ああ、犯人は、ズバリ蟲だ!」
「蟲って、いくらなんでもそれはないだろ」
下着をもっていく蟲ってなんだ、そこまでデカイのか……。それに、どんな蟲だよ。
「あるのだ、俺がこの目で見たから間違いない!」
「見たのか、だったら捕まえられたんじゃないのか?」
志乃の顔が曇る。
「捕まえようとした!だが、あまりの早さに捕まえられんかったのだ!」
「そ、そうか、とにかく会場に急ごう」
「ああ、そうだな」
俺は急いで歩きだした、途中に、注目の名前とか書いてあるポスターを見つけた。
その中に書いてあった名前。
原川 咲 宮木 なえか 比良乃 冬
あれ、比良乃 冬ってどこかで聞いたことがある気がするな、どこだっただろう。
この時。俺は、まだ比良乃 冬という名前を聞いたことがある。というのがどんな効果を及ぼすか知らなかった。
こんな恐ろしいことになるなんて誰が予想しただろう。
きっと誰も予想できなかっただろうなぁ……。
……
…
ミスコンの会場に到着すると、会場前にいる生徒がパンフレットとおぼしき物を渡してきた。
こんなものいらないけどなぁ……。
会場に入ると、恐ろしいほどの人口密度だった。
なんだこれは……多分、校内の男子が全員ここに集結している。
しかも先生達も生徒に混ざっている。こんな恐ろしい高校だったか?ここ。
陽樹は、周りの男子と誰が一番になるだ、水着がどうかだ、とかを話している。
水着まであるのかよ、よく許可したなぁ、校長。
「やっほぅ!全員盛り上がってるかぁぁぁ!いいぃぃ!」
一瞬、建物自体が揺れたと思うほどの大轟音。
正面を向くとそこには、校長がいた。
もしかして、首謀者は校長か?本当にこの高校大丈夫か。
校長の轟音、改め、挨拶があると男子生徒は。
「盛り上がってるぞおぉぉぉ!」
こちらも校長と勝るとも劣らない声を発していた。
しかもその声の中には陽樹も混じっている。
志乃はそれほど興味がないようだけど。
「今から第一回ミス聖龍を決めるコンテストを始めるぜぇぇぇ!」
「おぉぉー!」
なんていうか、あれだな、このエネルギーは何処からくるんだ、ていう感じだよな。
ちょっとでも世界に目を向けて、このエネルギーを使えばもっと有意義になるだろうに。
「この学校の生徒会長であり、学園のアイドルと位置づけられる、比良乃 冬の登場だぁぁ!」
「おぉー!」
おぉーばっかりだな、こいつら。
比良乃 冬……本当に何処かで聞いたことがあるんだけどなぁ。
「やっほほーい!生徒会長さんの、比良乃 冬だよーん!」
「うぉぉぉ!」
何故かハァハァという声が聞こえるが、ここは無視しておこう。
俺が理由をしる日はこないだろし、それに理由を知りたいとも思わない。
「あー!」
比良乃 冬がこちらに指をさしている。
あの顔……まさか……!?
「輝くんだよね~ん?おっひさしぶり~っ」
比良乃 冬、そうだ!小学校の頃に、いた……、あいつか!
「あ……ああ、久しぶり」
周りの生徒からの突き刺さるような視線が痛い。
なんでこうなるんだよ!?
「元気ないね~ん?あれ、いつも通りだっけ~?あはは~」
「俺は、いつも通りから早く戻ってくれ……」
早く遠ざけておいたほうがよさそうだ。
さっきからさらに突き刺さるような視線が増えている。
「うん!わかった~っ また今度ね~んデートしようねっ」
瞬間。時が止まったのかと、錯覚するほど、場の空気が凍った。
比良乃 冬は前からそうだった。小学校の頃もこんなことを言われて。
あとでボコボコにされたっけなー……。なんで俺ばっかりこんなことに!
「……」
俺はダッシュで逃走することにした。
……
…
比良乃 冬と出会ったのは、小学校 2年の頃。
彼女は小学校三年の頃、なんだけど。
たまたま帰りが一緒だったというだけだったんだけど、彼女は積極的に話しかけてきて。
クラスの人気者だった。クラスの中でも、それほど目立たない自分とは大違いだ。
彼女と話すのが鬱陶しいと思うことはなかったけど、あの人気は、ちょっと嫉妬に値したものだったかもしれない。
当然、彼女と会話していると、色々な奴からちょっと目をつけられたんだけど…。
そんなこんなで、小学校5年の頃。
彼女は、別の都市に転校した、その時にかけてくれた言葉がこれだった。
「輝くん」
「何?」
「ん~、やっぱりいいや、次に会うまで言わないっ」
「なんだ、気になるじゃないか」
「それじゃあ、これだけ」
彼女はそういって、俺の頬にキスをした。
まぁ、当時の俺にとっては、狂うほどだったので、その後のしばらくの記憶がほとんどないと言ってもいい。
人間不意打ちをくらうとこんなことになるのかもな。
その後、彼女と会うことは今までなかったんだけど。
俺は彼女、いや、冬が、聖龍高校に居たのは知らなかった。
あんまり生徒会とか興味がなかったからなぁ。
とにかく俺と彼女の出会いはこんな感じだった。
そして今に至る。
……
…
俺は、会場から逃走して、教室に戻った。
するとそこには、なえかと咲がいた。
「なんでお前らこんな所に?」
俺が質問を投げかけると、彼女達は、鬼の形相になって、こちらに近づいてくる。
俺が見た怒っている顔の中ではトップクラスに、怖い。
なんだなんだ、俺は何かしたか。
「輝……」
「輝くん……」
「「デートしようねっって何!?」
「はぁ!?」
そんなことか!?あんな怖い顔なのに!?
「はぁ!?じゃないよ!一体あの人は!どんな関係!」
「あの人は生徒会長の比良乃 冬って、なえかわかるだろう!?」
「えー……と、比良乃 冬、比良乃 冬ってあー!比良乃 冬ってあの比良乃さん!?」
「そうだよ、あの比良乃だ……」
「そ、そか、ごめん」
なえかは俺が何故女子が苦手になったかの理由を知っている。
俺が比良乃 冬と関わっていると色々な奴らから目をつけられる。
そのせいで、色々な目にあった。まぁ、さほど嫌なことはなかったんだけど。
まぁ、それが俺の女子苦手に繋がったことは確かで、なえかはそれほど冬にいい印象を抱いていない。
「えと、比良乃さんって誰かな?」
蚊帳の外だった咲が、会話に入ってくる。
俺は冬との出会いやら、何やらを咲に話した。
キスの話しはのけて。今そのことを言ったら大変なことになる気がしたからだ。
「そうなんだ……」
じゃああんまり気にする必要なかったかな、と咲の声が聞こえてきたが、俺は返事をしなかった。
「でも比良乃さんか~輝は大丈夫なの?」
「大丈夫、多分だけど」
「多分か……大変そうだもんね」
その時。教室の扉が開いた。
その奥に映る顔は、鬼の形相をした、男子生徒及び、校長。
校長までなんでくるんだよ!
「あー、甲長 輝くん、ボコボコになりたくなかったら、私の指示に従いなさい」
校長の声がさっきとは反転して、ドスの聞いた声になっている。
この学校はどうなってるんだ。
「指示……とは?」
「私の指示に従って、ボコボコになる、それが私の指示だ」
どちらにせよ、ボコボコじゃないか!
どうしようかと俺は、額に汗をかいている時だった。
「甲長、困っているようだな」
志乃が突如後ろから現れた。
「うぉ……どうやって後ろから」
「ふっ、しれたことよ、この学校には俺が仕掛けた、105個もの脱出口がある」
「なんでそんなものが、学校にあるんだ」
「そんなことはどうでもいい!脱出するかどちらかだ」
どちらか…か、まぁこの状況なら不本意だけど、志乃に頼るしかないかぁ。
「脱出口って何処だ?」
「やはり脱出するほうを選んだな、よし、ではいくぞ!甲長!」
「いくぞって―」
「うおっほー!」
突如後ろの柱に穴が開いていた。
その穴の中に志乃は飛び込む。
「はぁーっははっは、早く飛び込むのだー甲長ー」
前からは校長がじりじりとこちらに近づいている。
よし、逃げよう。俺は志乃と同じく、飛び込んだ。
続いて、咲となえかも飛び込んできた。
あいつら関係ないような気がするけどなぁ。
咲となえかが、飛び込んだ瞬間。柱に開いていた、穴も閉じた。
どんな仕掛けになっているんだ。
穴をしばらく滑っていると、開けた場所にでた。
そこは校庭だった。
「校庭か」
「そうだ、ここなら何処にでも逃げられるぞ」
「ありがとよ、志乃」
「礼ならいい、とっとと逃げるがいい!」
「言われなくてもそうするよ」
俺はすぐに逃げた。こんなことは金輪際ごめんだ。
咲となえかも後ろをついてきている。
なんでついてきてるんだろうな、本当に。
……
…
「ふぅ、疲れた」
「わ、私もさすがに疲れた」
「はぁ、はぁ……ふぅ」
なえかは運動部から助っ人要請が来るため、さすがに、大丈夫だった。
でも、咲は運動が得意ではないようで、息をあげている。
「咲、大丈夫か?」
「ん、大丈夫……だと思う」
本当に大丈夫かな。
その時。通信機が震え始めた。
これは、日々之さんからだ。
「皆、そこにいるわね?すぐに話しを進めるわ」
返事もしてないのに、すぐに話しを始める日々之さん。違う人だったらどうしたんだろう。
あ、顔が映るから分かるのか。納得。
「現在、アルクェル帝国のロボットがこちらに迫ってきているわ、今大気圏を突破中よ」
「早いですね……」
「そうよ、今回の敵は素早いわ」
「フォクサーはいるんですか?」
「フォクサーの反応はないから、多分大丈夫だと思うけど、十分に警戒しておいて、頂戴」
「分かりました」
日々之さんは分かるでしょう?とでも言いたげな顔ですぐに通信を切った。
早く呼べってことか。
俺はすぐにファリクサーと念じた。いきなり空が赤く塗りつぶされる。
「……ファリクサー」
この機体は不思議だ。人との繋がりを意識していると、さらに力を発揮できる気がする。
どうやって人との繋がりを意識するのか、それは分からないが。
ファリクサーが地面に着地すると同時に、コックピットが解放される。
俺はすぐさま、コックピットに向かった。
コックピットにすぐに座って、パイロットスーツを着る。
パイロットスーツは普段からここに置いてある。前までなかったけどさ。
衝撃も吸収できる……らしい。
ファリクサーを戦闘モードへ移行。飛行システムをフル稼働させる。
ファリクサーは大地を蹴りあげ、飛翔する。
落下予想地点に急ごう。
そういえば、蹴りあげた後の大地とかはだれが直してるんだろうな。
……
…
ファリクサーが、音を立てて、地面に着地した。
ここは、学校の校庭。現在人がいる気配はない。
「学校……またこんな所へ落ちてくるのかッ……」
輝はすぐさま、スパイラルユニコーンを装着し。叫ぶ。
「ディメンションブレイク!」
空間が、歪むと思われていた、がそれがキャンセルされる。
「またか……前にキャンセルされた時には、ウェポンボックスがいた……と
いうことは、ここにもあるということなのか、ウェポンボックスが……」
フェクサーとフィクサーも遅れて到着する。
「なえか、咲、ここにもウェポンボックスがあるかも知れない」
「え?」
その時。アルクェル帝国のロボットが降下してきた。
あれは前に、戦った。周囲の景色をとり込むタイプのロボットようだ。
ロボットは降下してくると、周りの色をすぐに取り込み始める。
先手必勝。輝はスパイラルユニコーンを使い、敵に攻撃を始める。
「うおぉぉぉ!」
空気を切り裂く音が、無残にも空間に残る。
前に輝は戦っていなかったから、分からなかったが、アルクェル帝国のロボットは、周囲の景色をとりこみ、更に常人には判別がつかないほど、早く移動するタイプだった。
残像が見えるほどのスピードで移動する、敵のロボット。輝は機体を動かしながら、敵を探すが、残像ばかりが残っていて、何処にいるのかが、分からない。
レーダーも何が映っているか分からないほどのことになっている。
「くッ……何処だ!」
敵のロボットが、ファリクサーの周りを回り始める。敵の残像がファリクサーの周りに蓄積されていく。
空気を切り裂く音が、聞こえたかと思うと、ファリクサーの体勢が一気に崩される。
敵の動きを追っていた、なえかと咲は当然反応できない。
「くそッ!」
ファリクサーの装甲が、傷つけられていく、バランスを失って、ファリクサーは地面に倒された。
それを待っていたかのように、敵のロボットは、高速移動をやめ、ファリクサーの目の前に現れる。
敵が、銃口をファリクサーに近づける。例えファリクサーとはいえ、この至近距離で弾を受ければ、当然弾は貫通してしまう。
「輝ー!」
なえかが叫ぶ。すると。
フィクサーの周囲が、光輝いていく、その光が、ある物を呼び覚ました。
「ガオォォォン!」
空が落ちてきたかのような、轟音。直後。敵が吹き飛ばされ、校舎に直撃する。
校舎がバラバラになり、崩れ落ちる。
「あれは、ドリルウィンドウレオ!」
ウェポンボックス。ドリルウィンドウレオ。契約条件は「嫉妬」
そしてこの条件を満たしているのはただ一人だった。もっとも嫉妬心がある。宮木なえかだ。
「ウェポンコネクト!」
ドリルウィンドウレオが咆哮をあげ、フィクサーの右腕に装着される。
右腕がすっぽり埋め尽くされ、ライオンの顔が手の位置に移動される。
ライオンの口が開くと、そこからドリルが、でてくる。
螺旋状の武器。それがドリルウィンドウレオである。
「はぁぁ……!ドリルウィンドウレオ!アタック!」
ドリルが口から発射されると。敵を地面に撃ちつけていく。
敵は四股をドリルで貫かれ、固定される。
「これで終わり!」
先ほど、発射されたドリルとは比べ物にならないドリルが口から顔をのぞかせる。
そのドリルは回転仕出し。次第にフィクサーの腕が、震え始める。
それが臨界に達したと同時にフィクサーは腕を引き、一気に腕を前に押し出す!
耳をふさいでいないと、耳の鼓膜が破れそうになるような、音とともに、ドリルが発射された。
ドリルが軌跡を描いて、敵に突撃していく。敵の装甲が削れる音が、盛大に響く。
装甲がすべて削れると同時に、ドリルは活動を停止。
時間を同じくして、敵が爆発。
爆発した衝撃が周りの校舎もを襲い。轟音が周りに響く。
戦闘終了……。
……
…
「なえか、確か、ドリルウィンドウレオの契約条件って嫉妬だったよな?」
「う、うん、そうだけど」
「何に嫉妬してるんだ?」
「え、えーと……お、教えない」
「なんで」
「う、うるさい!」
なんで怒ってるんだ、なえかは。
俺がコックピットから降りると、人が姿を現した。
よく思えば、俺は軽率だったと思う。
「な~にしてるのかなっ」
俺が突然後ろから声をかけられたのに驚きつつ。
「ふ、冬……」
「うん、そうだよーん」
俺は、どうしたらいいか戸惑った。
また、俺の軽率な行動で、人を巻き込んでしまうと思うと、怖かった。
第十一話 オワリ
第十二話へ続く