アイドル殺人事件
戻ると紅刑事と、指原が問答していた。
指原「心臓一突きでしょ!たくさんの返り血を浴びてる筈でしょ?」
紅刑事「あそこにはたくさんの着替えがあるでしょ?着替えて血だらけの衣装に紛れこませればいい。」
奈菜「現場もよく見ないで、人を犯人呼ばわりしますね。」
紅刑事「また、あんた?懲りないわね。」
宗像「報道の自由ってのがありましてね。こちらで取材しました。」
紅刑事(いつもこのディレクターがしゃしゃり出てくる!)
紅刑事はムッとしている。側に麻友と宇佐美がいる
奈菜「皆さん、おそろいのようですから、今から真相究明いたします。」
米ちゃんがカメラを回す。
奈菜「そもそも、そのナイフ、凶器ですか?」
紅刑事「バカ言っちゃいけないわ。血のついたナイフが凶器でないなんて!」
奈菜「たしか背後からの一突きですね。刃はどうなります?」
紅刑事「それは、肋骨でこぼれるわ・・・」
机の上の証拠品を見る。
智美「綺麗なものですけど・・・」
紅刑事「くっ・・・」
奈菜「肋骨は堅いものです。果物ナイフぐらいの小さなナイフはまずこぼれるでしょう。指原さんが犯人とすると、被害者はそれまでどこにいたんでしょうか。」
智美「『死体が無い』と思っているから後の犯行と思ったわけね。」
奈菜「死体は最初からそこに有りました。」
紅刑事「最初から有ったですって?そんな証言ないわよ。」
奈菜「見えない壁が発見を阻んでました。現場で説明します。」
一行が現場に着いた。まだ現場検証が行われていた。
紅刑事「島さん、終わったかしら?この探偵さんが用があるんですって。」
紅刑事は声を落とした
紅刑事「まさか、関係者以外に立入させてないでしょうね。」
島さん「ええ、もちろん・・・」
宗像が笑っている。
奈菜「そことそこに新しい壁の穴、分かるでしょうか。」
宇佐美「それは先日の催しで・・・」
宇佐美の声を押さえるように
奈菜「あれには小さな金具が取り付けてあり、ロープがかかってました。そこにそこにある大きな黒い布がかかってました。ちょうど今、窓にかかっているカーテンのように。黒に黒だから見分け付かなかったんでしょ。」
宇佐美「そんなの・・・俺が許すわけが無い・・・」
麻友「宇佐美さん、なんかたじろいでるね。」
指原「するとこの部屋は区切られてた、ってこと?」
奈菜「そう、犯人によってね。美宥さんを奥に特別な衣装でもあるとか誘ってね。」
宇佐美「バカを言うな!そんな証拠どこにある?」
奈菜「そこの黒い布、触ってくださる?」
麻友「あ、湿ってる。」
奈菜「それはそこの窓が開いてたからですわ。そこから吹き込む雨にぬれたんですよ。その手前の服がぬれてないという事は、雨はそこまで吹き込んでません。何故、ぬれてたんでしょ?それはここにかかっていたからです。」
壁から壁のラインを手で示す。
宇佐美「そのロープはどこです?残っている筈でしょ?」
奈菜「遺体発見時、あなたは二階にいましたね。あの時一階のロープを外し、回収したんですよ。」
宇佐美「そんな芸当出来るわけない。」
奈菜「それは開いていた窓に答えがあります。」
智美「ああ、台風で開いていた窓ってそういう事なのね。」
奈菜「台風で吹き込む雨に、窓を開けているわけありません。カーテンにかくされ、窓を開け、ロープを通します。丈夫なロープなら少々引っ張っても切れません。金具ありました?」
島さん「ああ、二つ見つかった。」
小さめの金具を見せる。力をかけたと見えて歪んでいる。
奈菜「窓枠にも歪みがあります。引っ張った時に引っ張られた為です。あなたはみんなが遺体発見で一階に行ったときに、回収したんですわ。」
宇佐美「それじゃ、凶器は何だ?果物ナイフじゃない、ほかに見つかってないとなれば、凶器はどこにある?」
島さん「凶器と言われても・・・」
奈菜「それは目の前ですわ。」
麻友「は?人を刺すような刃物ないわ。」
奈菜「刃ものじゃありません。手に着けるかぎ爪です。」
智美「確かに鋭そうね。でも飾りでしょ・・・」
奈菜「飾りじゃありません。ボロボロにこぼれてます。犯人はこれを腕にはめ、背後から襲ったんです。」
宇佐美「心臓つけば、血しぶきがあがるぞ!」
奈菜「あらかじめ衣装越しに刺せば返り血は衣装で防げます。細かい血しぶきがあがるはずなのに、壁にないのが証拠です。」