アイドル殺人事件
紅刑事が3人の喧嘩の成り行きを見ていた。これで全部内情が分かるというものだ。
どちらかと言うと気の穏やかな指原がいいくるめられ、泣きそうになった。話の流れは指原が怪しくなった。近くにあったバッグを取りだす。ハンカチで拭こうとする。
指原「みんな、いい加減なこと言って!」
カバンからハンカチを取り出すと
カランカラン・・・
血のべっとりついた果物ナイフが出てきた。
指原「!」
麻友「それ、楽屋であたしが置いてきたナイフよ!やっぱりあんた!」
指原「違う・・・」
紅刑事「探していた凶器が出ましたか。決定的ですね。それが凶器であるか、血液型、刃型を照合すれば決定的でしょう。」
紅刑事の凍った視線が指原を貫いた。
警官が紅刑事に寄ってきた。耳打ち
紅刑事「刃ものに付着した血液型はAB型。被害者のものと同じでした。指原さん・・・もう少しお話聞かせてもらいます?」
指原はがたがた震えていた。
奈菜「あの刑事に任せちゃおけないわ。現場に入りたいけど・・・」
警官が現場検証中。
奈菜「やっぱ無理よね~。あはは・・・」
智美「あははじゃないでしょ?諦める?」
奈菜「いえ、ここは強行突破よ!」
乗り出す奈菜の肩をつかむ手。見ると宗像だ。相変わらず無口。つかつか鑑識による。
宗像「OKだ。こいよ。」
唖然とする一同
奈菜(どんな魔法を使ったんだ?)
奈菜「おじゃましま~す」
島さん「これがあんたんとこの新人さん。また活発そうな・・・」
島さんはベテランの鑑識
宗像「島さん、このレポーターは気にせず仕事続けてくれ。お宅のうるさい刑事さんに見つかると厄介だ。」
島さん「そうだな。なんか見つかったら少し情報入れるよ・・・」
鑑識の「島さん」と宗像は知り合いのようだ。
奈菜「チーフ知り合いですか?」
宗像「いろんなとこに出入りすると知り合いもできる。俺はもともとサツ回りだ。」
奈菜納得。サツ回りなら警察関係者に覚えられることもある。さっそく現場をチェック。さっきのままだ。疑問の場所を見る。
奈菜「ここよく撮っておいて!そこも。」
奈菜は見回す。
智美「あれ、ここってこんなに広かったかしら?」
米ちゃん「一度撮りに来た時は広くなかったッス。」
奈菜「これよ、問題の衣装。」
触れないので血だらけの衣装を見る。
米ちゃん「確かにありますね。これがあるのはおかしいっす。何でこんな物が・・・」
宗像「それ、触るなよ。指紋が付いたりしたらやばい。」
奈菜「指紋なんか付けないよ。それより何でこんな衣装があるの?」
宗像「知るかよ。海賊ならちゃらちゃらアクセサリーがいるんだろ?」
奈菜「こんなに尖った金属付けてたら危なくない?」
宗像「それがいいんだろう?もっとも誰もそれを選ぶことはないけどな。」
確かにこの海賊のコスチュームを選ぶメンバーはいないだろう。
智美「これなんか刺さりそうで嫌だわ。ここ、こぼれて、ダメージってやつ?違うわ」
米ちゃん「突き立てたんでしょ?ぽっきり折れてるんじゃないっすか?」
奈菜は米ちゃんを見た。
米ちゃん「あ・・・俺何か言いました?」
奈菜「それよ・・・」
智美「それにしても、雨の吹きさらし、窓締めていい?」
島さん「仕方ないな。こんな日に何であいてるんだ。」
智美「カーテンで見えなかったんでしょ?目隠しのカーテン、ビショ濡れじゃない。人の出入りがあって何でこんなことしてあるのかしら?事件じゃないならさっさと片付けるわ。」
奈菜「ちょっと待って・・・」
窓に寄った。サンを白い手袋でなぞった。アルミ製の窓枠は僅かに歪んでいた。奈菜はサンを覗き込むように周りを見渡す。壁は窓回りではなく、2、3列中に離れた場所だ。
智美「窓がなに・・・?」
窓の開いた方から反対側に行き壁を触る。
奈菜「ここに木ねじを抜いたような穴があるわ。そっちある?」
智美「あるわよ。」
奈菜「そこにかかっている大きな布を外してくれる?」
智美「この黒い布は、このクローゼットのカバーよ。そんなもの・・・!」
智美が触ると驚いた顔をした。
智美「何なのこの布・・・」
奈菜「やっぱり・・・読めたわ。」
米ちゃん「じゃ、」
奈菜「この事件すっぱ抜くわよ!」
宗像は無口に微笑した。