アイドル殺人事件
指原が小声で
指原「いちいち対抗意識燃やして、二人ともまいっちゃうわ・・・」
奈菜「あはは。これじゃ収録できないね。仲良くしてよ。」
指原も申し訳ない顔をした。暫くして麻友が帰ってきた。
麻友「どう?いい感じでしょ?」
麻友はウィッチスタイルに着替えている。
指原「美宥は来た?」
はしゃいでいた奈菜は顔が曇る
麻友「出てきたでしょ?宇佐美さんは、私より先に選んで出てったわよ!宇佐美さんは?」
指原「おかしいわね。美宥と一緒に行ったはずだけど。彼女は特別だもんな。」
奈菜「ねぇ、指原さん。宜しかったら、衣装室案内して下さいません?」
智美「そうね。インサートで撮っておかないと。」
指原「確かに私は順番じゃないけど、そういう話しは宇佐美さん通された方が・・・」
宗像「それが彼、いないんだ。見るだけだから頼むよ。」
指原「別に断る必要もないけど。いいわ。私が案内してあげる。」
廊下の途中で宇佐美と会う。
指原「あ、宇佐美さん!どこ行ってたんですか?姿見えなくなっちゃって。」
宇佐美「ああ、倉庫に小道具確認に行ったんだ。」
指原「テレビ局のスタッフさんが衣裳部屋案内して欲しいって!」
宇佐美はおどおどして
宇佐美「まだ、用事終わってないんだ。2階の音響室行くから案内頼むよ!手が離せないんだ。」
指原「えーっ?冗談でしょ?宇佐美さんの仕事じゃないの?」
宇佐美「志津香ちゃん、頼むよ・・・」
指原「もう、いいよ。まったく、この人は。ごめんなさいね。いつもこうなの。無責任で」
智美「みんな放りだしてんじゃない?」
呆れる一同。衣装室のある会議室はあまり広くない。
指原「ここが臨時の衣装部屋です。ここで衣装を選び隣で着替えます。」
見ると部屋中所狭しに衣装があった。窓際には暗幕を垂らし、見えないようにしていた。盗撮があってはならないし、当然か。なるほど、今時の萌えらしいコスチュームが並んでいる。
指原「あれ、この部屋、こんなに狭かったかな。まぁ、いいや。」
奈菜が並ぶ衣装を見て
奈菜「今日は仮装ダンシングという企画があり、普段見られない自由な衣装のステージがあります。ホワイトチョコはここで思い思いのコスチュームに身を包み、お客さんは最後帰りがけに投票して行くそうです。」
と言って、部屋を出た。
宗像「おいっ。誰か、宇佐美さんにコメントもらいに行ってくれないか?ステージのコーディネーターだ。『まとめ』が要る。」
智美「えー?また彼?」
米ちゃん「宇佐美さんは2階の音響室っす。」
宗像「うろちょろしやがるな。あれで務まるのかよ。」
スタッフ一同二階に向った。宇佐美はびくびくしながら荷物の整理をしていた。
宗像「宇佐美さん、カメラに今日のステージのまとめをお願いしたいが・・・」
宇佐美「分かりました。ちょっと待ってください。」
と言って段ボールずらしたり、ロープを引っ張ったりしている。
奈菜(おいおい、今することじゃないでしょうに。)
宗像「本番が始りますよ。このシーンはなしにします。」
宗像はとうとう堪忍袋の緒が切れた。映像なしとなれば宇佐美としてはこれでは失態になってしまう。
宇佐美「待ってください。終わりました。」
奈菜(この人、要領が悪いね。チーフ本当に撮るの?)
奈菜は宗像に同意を求める視線を送る。宗像は指を指してやれと指示。
奈菜「では、今日のステージの見どころについて、コーディネーターの宇佐美尚吾さんからお話・・・」
指原「きゃーっ!」
驚く一同。
ヤスオ「悲鳴は一階です!」
ヤスオは音響、銀板担当で若い優男。雑務なども担当。とてもおとなしい。
一同は悲鳴のした一階へ移動。
奈菜「どこですか?」
スタッフ「それが衣装室みたいで・・・」
衣装室に着くと、入り口で指原ががたがた震えている。まだ着替えてない。見ると血だらけのハンガーの中に倒れこむように死んだ高城美宥の姿。倒れこんでいるあたりは返り血で衣装は血だらけになっている。
奈菜「なんてこと・・・」
米ちゃんも遠慮がちにカメラを回す。
指原「この部屋に入ったら、正面に美宥の死体が・・・」
のぞきこむと顔以外何箇所か刺されていて、息絶えていた。