挨拶
読んでくださりありがとうございます!
私は朝日を睨んでいた。
365/1の嫌な日だ。
スマホが突然に鳴った。
スマホは突然に鳴るのだが…
画面には母の名前が書いてあった。
嫌な名前だ。
花田幸子。
グニャリと拳を握る名前だ。
電話に出るか出ないか
悩んだ。
何年間か会って無いし
話してない。
そのまま放った。
私は母から
産まれた。
母の醜い所から。
私の血の繋がりの無い父は
私を犯していた。
まだ学生服を着ていた頃の私を。
母は私を放っていた。
私の叫びは内側に閉じこめてしまっていた。
今の私、
今日の私。
朝日を睨んでいる私。
今日は私の産まれた日だ。
決別しようと何故か思えた。
叫びから。
決別したい。
外の歩道を歩いている人みたいに
健康意識を持とう。
そう思った。
ジャージを衣装ケースから引っ張り出し
着た。
腕を回してみた。
肩甲骨が良く開いた。
長年の肩こりが治る気がした。
散歩をした。
すれ違うジジイやババアが
おはようございます。
と挨拶してきた。
私は返事をした。
「笑顔が良かね。あんた。」
私は鬱病だ。
微笑み鬱という挨拶だ。
朝の風が私の何かを払った気がした。
家に戻り母に電話した。
「電話折り返ししてくれてありがとう。」
「何の用事?誰かの葬式?誰かが結婚式あげる?」
「何の用事って…あなたの誕生日よ。
誕生日おめでとう。」
私は言ってやった。
「ありがとう。」
「嬉しい。あなたからありがとうだなんて。
仕事は行ってるの?生活は大丈夫?」
「うん。」
「時々、電話ちょうだいね。」
「分かった。」
私は仕事着に着替え、化粧をし、
車で会社に向かった。
途中、赤オレンジのコンビニに寄ってみた。
牛乳を買ってみた。
いつもはコンビニに寄ったりはしない。
牛乳も飲まない。
車の中で牛乳を飲んだ。
思い出した。
血の繋がりの無い父から犯される前の事を。
母は毎朝、ご飯を作ってくれていた事を。
私は分かった。
やるせなさが湧き出して
泣いた。
今までの自分が恥ずかしくなった。
私は鬱病を
母のせいにしたかったのだったと。
血の繋がりの無い父はどうでもいい。
もう済んでる。
私は母の事が好きなんだと。
恐らく母も私の事が好きなんだと。
この牛乳が教えてくれた。
今日の私は違う。
今からの私は違う。
朝の風が私の何かを払ってくれた。
明日から
ジジイやババアに
ぶっきらぼうに
挨拶しよう。
そう決めた。
最後まで読んでくださりありがとうございます!




