プロローグ: 迷える者たちの家
※この作品は英語で書かれたオリジナル小説を、日本語に翻訳したものです。
日本語はまだ勉強中のため、少し変な表現があるかもしれませんが、読んでくださると嬉しいです!
これは、戦いではなく「癒し」と「家族」の物語です。
最強の元・勇者ママが、異世界に転生された子供たちを次々に保護していく——そんな、ちょっと不思議で、ちょっとあたたかい孤児院の物語。
どうぞ、ごゆっくりお楽しみください!
いつものように晴れた日。草原は何千エーカーにも渡って広がり、風に揺れる草と点々とした木々の中に、エデンの園のような静けさが漂っていた。そこには穏やかな野生動物たちが暮らし、空気は甘い果実の香り、そしてそれを求める鹿や蜂、虫や不思議な生き物たちの気配で満たされていた。地面は朝露に濡れ、柔らかく、ひんやりとしていた。
しかし、その平和な光景を乱す存在がひとつ、突如として現れた。決して悪意によるものではない。ただ、平原の真ん中に、ひとりの子供がぽつんと横たわっていた。6歳ほどの小さな男の子。彼は不安げにあたりを見回し、かすれた声でつぶやいた。
「ママ……? どこにいるの……? あの大きなトラックは? ママが僕の名前を呼んだ気がして……それで、目が覚めたんだ……ママ……」
目には涙を浮かべ、彼にとって未知であり、どこか恐ろしいこの美しい平原をじっと見つめていた。だが泣き出す前に、ふと視界に入ったものがあった。
それは、赤い首輪をつけた黒猫。ゆっくり、自然体で近づいてくる。不思議と人懐っこいその様子に、少年は恐れることなく手を伸ばし、優しく撫でた。「にゃーす……」と微笑みながら言ったとき、ふと首輪に何かが刻まれているのに気づいた。
『ついておいで』
「うん、にゃーす! 案内して!」少年がそう声をかけると、猫はニャーと鳴いて先導を始めた。
少年はその猫に、なぜか絶対的な信頼を寄せていた。それは単なる子供らしい無邪気さを超えていた。森を抜ける旅の中、次々と現れる奇妙な生き物たち。その中で、猫といると不思議と安心できた。まるで天使のような存在——彼はただ、「大丈夫だ」と知っていた。
やがて、視界に小さな村が現れた。少年の顔がぱっと明るくなり、初めて見た人間に向かって駆け出そうとした……が、猫のそばを一歩通り過ぎた瞬間、猫が大きく「ニャー」と鳴いた。
なぜか、それが「まだだよ、ついてきて」という意味だと分かり、少年はまた猫の後ろを歩き始めた。
村へ入ると、人々が少年に気づき始めた。最初は驚き、心配する表情を見せたが、猫の姿を見ると一転して安堵の色を浮かべ、にこやかに少年に微笑みかけた。中には拍手を送る者、手作りのお菓子を差し出す者までいた。不思議だけど、あたたかくて、嬉しかった。
そして彼らがたどり着いたのは、村の中心に建つ巨大な建物。まるでお屋敷のようだが、三倍はあるかというほどの規模。その正面に掲げられていたのは——
『迷える者のための孤児院』
猫が走って扉の前に向かうと、ちょうどそのとき、中から背の高い女性が現れた。ツンドラをも溶かすような温かな笑みを浮かべ、どこか素朴で、けれども美しい雰囲気を持つ女性だった。
彼女は猫におやつを与えながら、「いい子ね〜お姫様、中にお入りなさい」と優しく声をかけた。
そしてしゃがみこみ、少年に向けて両腕を広げた。彼女の瞳を見た瞬間、少年の胸の中にあった不安や恐れがすっと消えていった。まるで「ここにいてもいい」と全身で語りかけてくれるような——
少年は走り寄って、力いっぱいその腕の中に飛び込んだ。彼女は甘い香りがした。もしかしたら、お菓子でも焼いていたのかもしれない。
しばらく抱き合ってから、彼女は耳元で優しくささやいた。「ねえ、あなたのお名前は?」
少年は言葉に詰まりながらも、懸命に答えた。「えっと……ぼ、ぼくの名前は……ジョーダン!」
「まあ、素敵な名前ね」彼女はにっこりと微笑み、彼を抱き上げた。「ジョーダン、もう大丈夫よ。あなたはここで、安心していいの。おかえりなさい。私はベリー。もしよかったら、“ママ”って呼んで」
その声は、まるで蜂蜜のように甘く、優しく、ジョーダンの心を包み込んだ。彼は彼女を強く抱きしめ、目からは涙があふれ出た。「……ママがどうなったのか、分からないけど……でも、僕、あなたを信じるよ」
ベリーはジョーダンの額にキスをした。「大丈夫よ、ベイビー。明日、全部話すから。今は、ゆっくりおやすみ」
ふわりと彼女の体から魔法が溢れ出す。それが何か、ジョーダンには分からなかった。ただ、とても気持ちよくて、あたたかくて……眠くなった。
「うん、ママ……」とつぶやいて、ジョーダンは目を閉じ、静かな眠りに落ちた。
ベリーは小さく笑いながら、そっと呟いた。「またひとり、救われたわ……ベリー10、女神0。ふふっ」
そうして彼女はジョーダンを連れて、静かに屋敷の中へ戻っていった。
月が地平線の向こうから顔を覗かせ、風は苛立ちのように唸り始めた。
天空に浮かぶ宮殿。その中を、透き通るような白衣を纏った背の高い女神が、怒りのままに行ったり来たりしていた。一歩ごとに城が揺れ、羽を持つ天使のような召使いたちが右往左往しながら、貴重品を抱えて彼女の機嫌を取ろうと奔走する。
「おひざかけを、女神様……?」
「お腹が空いていらっしゃるのでは……?」
「あるいは……お休みになられますか、我らが至高なる御方……?」
そのとき、女神の大きな白い手がひとりの従者の頭に伸びた。優しく髪を撫でるように手を添え、顔を覗き込むようにしゃがみこむ。
「ねえ、ミカエル。わたしが今、一番ほしいものが何か……わかる?」
「は、はいっ、女神様……?」
彼女は目を閉じ、深く息を吸い込み——次の瞬間、ミカエルの髪を掴んで、まるでぬいぐるみのように天井へぶん投げた!
「ベリーをタルタロスにぶち込めええええええっ!!!!!」
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!
この作品は「癒し系異世界×ちょっと皮肉な神様コメディ」をテーマにした、ゆる〜い連載を目指しています。
読後にホッとするような空気と、ちょっと笑えるテンポを楽しんでもらえたら嬉しいです。
ちなみに作者は外国人です。
日本語は勉強中ですが、どうしてもこの物語を日本の読者さんに届けたくて、翻訳にチャレンジしました!
もし感想などがあれば、お気軽にコメントしてくださいね。励みになります!
それでは、次回もお楽しみに〜!