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3月14日 ホワイトデーの蜘蛛

「こんばんわ。お姫様。」

リュースーはヨゾラに挨拶をした。

「今年のコンセプトはなんだ?」

ヨゾラの機嫌はそこそこな様子。

「王子と姫だよ。君が姫でオレは王子。」

リュースーは優しい微笑みをヨゾラに向け、彼女の手を取る。

「女王の間違いじゃないか?」

ヨゾラはリュースーに問いかける。

女王(クイーン)ってよりは女帝(エンプレス)…」

そう言うリュースーの手をヨゾラはギュッと強く握った。

「痛い痛い痛い痛い痛い!続き聞いて!」

パッとヨゾラの手を離したリュースー。

「早く聞かせろ。」

ヨゾラは椅子に腰掛け、足を組んだ。

「女帝は頂点に立つ女性を指す。君は唯一無二、誰も越えられないってことだよ。」

リュースーはヨゾラにまた手を差し出した。

「やるじゃないか王子。」

ヨゾラの満足いく続きを話せたのでそっと胸を撫で下ろしたリュースー。

「今日はサプライズを用意したよ。」

白いバラをヨゾラの髪に飾ってあげるリュースー。

「よく似合ってるよ。」

少し照れたヨゾラはリュースーにビンタした。

「うるさい。」

リュースーは優しく手を引き、barのステージにヨゾラを立たせた。

「どうした?ここに立たせるなんて…」

ヨゾラはリュースーに声をかけた。

リュースーは何も言わずステージに腰掛けた。

パチンッと指を鳴らすとステージ以外の電気が消えた。

「君と再会したのもここだったよね。覚えてる?」

リュースーはヨゾラを隣に座るよう誘導した。

「さあな。」

ヨゾラはリュースーのすぐ傍に座った。

「オレさ、本当は会えなかったらどうしようってあの頃はずっと思ってたんだよ?」

真剣に話し出すリュースーにヨゾラは驚いた。

「私はお前に二度と会うつもりは無かったんだ。そのまま独りで良かったし、あのまま独りで処刑台に立って死んでも良かったと思ってた。」

ヨゾラはそう言った。

「まさか殺し屋になってたとはね。オレびっくりして死ぬかと思ったよ。」

リュースーは幸せそうに言った。

「お前に殺しの手伝いさせるつもりは無かったんだぞ?あのままいい女捕まえて結婚して子供作って幸せになってジジイになって欲しかった。」

ヨゾラの悲しい声にリュースーは

「オレだって君に殺しの仕事なんてして欲しくなかった!あのままいい男と結婚して子供作って幸せになって過ごして欲しかった!」

ヨゾラは落ち着いてこう返した。

「いつも二人で、ときめく心、純愛」

その言葉にリュースーは

「サイドカー、ブルーラグーン、ピーチ・レディ」

カクテルの名前を返した。

「私には愛なんぞわからんがな。」

ヨゾラのいたずらっ子な顔にリュースーは思わず心を奪われた。

「スクリュードライバー…」

アカシがbar全体の明かりを灯すと白いバラの花がたくさん現れた。

「なんだこれ!すげぇ!」

ヨゾラ専用の特別な席を設けていた。

「女帝にはそれ相応の席を設けてあげないとでしょ?」

リュースーはその席にヨゾラを座らせた。

「なんだそれ。」

リュースーはブルームーンをヨゾラに提供した。

「オレからホワイトデーのお返しを。素敵な君に特別な夜を。」

ヨゾラの左手の甲にキスをし、アカシにカーディナルを提供した。

『君を越える女の子にはこの先出会える気がしないよ。』


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