2月14日 殺し屋のバレンタイン
「~♪︎」
ヨゾラは台所でバレンタインのためのお菓子を作っているようです。
「赤に紫のリボン、黒いのはダメ」
可愛らしい声が聞こえてきます。
そして夜になり…
「撒きに行くか。」
お気にのタバコを口に加え、イサムへの義理チョコを届けにイサムの部屋へ行くようです。
コンコン
「はーい、どうぞ。」
イサムは入室可能の合図を出しました。
「イサム、これやる。義理だが…」
紫色のリボンのかかった小さな箱をイサムへ渡すヨゾラ。照れくさいようです。
「?!」
イサムは衝撃的な光景のあまり気絶してしまったようです。なんて失礼なんでしょう。
「次は…」
実家の父親に届くように郵送依頼をしに郵便局へ単車を転がして行きました。
「宛先は(株)魔界、マーモン様で…お願いします」
郵送依頼が終わるとお墓に向かいました。
「…久しぶりだな。元気だったか?」
墓石に話しかけ、優しく微笑みかけるヨゾラ。
「本命チョコは、お前に直で渡したかったな…。だから義理にしたぞ。」
墓石の前に義理チョコをお供えし、静かにその場から離れました。
「最後は…アカシか。」
ヨゾラは嫌々ながらbarへと単車を転がしました。
「そーれ!」
窓ガラスの隙間めがけて小さな箱を投げます。
見事中に入りました。
「蜘蛛ちゃん?!義理チョコ?!」
アカシは驚き、気絶しました。
「さーてと。飲むかぁ!」
barに入っていきました。
「いらっしゃ…い。は?!ヨゾラちゃん?!」
リュースーは既に興奮していました。
「よぉ。飲みにきたぜ。」
ドカッと豪快にカウンター席に座り、リュースーは少ししょんぼりしてしまいました。
「とりあえずサイドカー、ブルーラグーン、お前にピーチ・レディな。」
ヨゾラの注文の意味がわからないリュースーは
「はいはい」
と返事をし、順番にカクテルを作りヨゾラへと提供しました。
「…なんか言えよ。」
ヨゾラの言葉にリュースーは首を傾げました。
「何が?」
リュースーの答えにヨゾラは少しがっかりした様子です。
「…今日なんか鈍くないか?」
ヨゾラの言葉にリュースーは少しがっかりしました。
「さぁ?」
ヨゾラはリュースーの胸元を左手で掴み、引き寄せました。
「は…?」
リュースーは突然の出来事で驚きました。
「いつもは逆の癖に…」
ヨゾラはそのままリュースーの首筋に優しいキスをしました。
「ひぁっ♡…え?」
びくっと身体を跳ねさせてしまったリュースーはヨゾラの方を見るとヨゾラはそのままねむってしまっていました。
「期待だけさせておいて…逃げるなんて本っ当に悪い女だね…」
眠るヨゾラの右手がリュースー宛の赤い布地に金の刺繍が施されたリボンをかけた箱を掴んでいました。
「…俺だけじゃないっつーの。こんなの悪趣味だよ。」
中身を見たリュースーはそう呟いた。
箱の中に入っていた手紙に気がつき、読むことにしました。
リュースー、本命にしてやろうか?
とだけ書いてあった。
「本命にしてやろうか?って聞かれたら本命になるに決まってるでしょーが。」
リュースーはヨゾラに優しく微笑みました。
そして静かにリュースーはヨゾラをソファーまで抱いて運び、そこで寝かせることにしました。
「おやすみ、俺の歌姫。」
リュースーはそのまま、ヨゾラの注文の意味を調べ始めました。