表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/12

8:死亡フラグが立ってしまった

「あ、あの…先輩、どこに行くんですか…?」


無言で廊下を歩くアレクサンダーに気まずさを感じ、行き先を尋ねた。


「僕の研究室だよ。少し手伝って欲しいことがある。」


(研究室?そんな場所があったっけ…?)


「着いたよ。ここが僕の研究室だ。」


アレクサンダーが扉を開けると、中にはたくさんの道具や植物が並んでいた。

壁一面には不気味な瓶や本が並び、机の上には色とりどりの試薬が揃っていた。


「うわ、すごいですね。これ全部魔法関連ですか?」


「そうだ。ここに置いてあるのは全部魔道具。植物には触らないように。怪我をするかもしれないから。」


植物の方に目をやると、毒のような粉を吹き出している植物や、牙が生えた花の形をした植物が目に入った。


(見た目からして危険そうだな…。)


「待たせたな、君に手伝って欲しいのは、この小瓶の匂いを嗅ぐことだ。」


アレクサンダーが差し出したのは、小さな小瓶だった。中には何かの破片のようなものが入っている。


「あの…これ、ヤバいものじゃないですよね…?」


「大丈夫だ、問題ない。」


「ちなみに、どうして私が選ばれたんですか?」


「君は匂いに敏感そうだから。今回の実験にはその感覚が必要なんだ。」


(実験って言ってるし…。怖いんだけど。)


アレクサンダーの方をちらりと見ると、険しい顔でこちらを見ていた。

早く嗅げと言わんばかりの態度だ。


(ゲームにはこんな展開なかったよな…。もし、アレクサンダーがゲーム通りのヤバいやつだったら…死ぬかもしれない。)


ゲームでは、アレクサンダーは主人公と仲良くなると次第に死体に興味を持ち出す。

そしてある日、お茶に誘いこう言うのだ。


「僕は君がたまらなく好きなんだ。君を一生僕のものにしたい。僕ならば君を一生綺麗なまま誰にも見せずに保存してあげられる。だから…僕の死体になってくれないか?」


そうして主人公は微笑むアレクサンダーの目の前で毒殺され、彼のものとなる。という死亡フラグが一つあった。


(嫌だ、怖すぎる…。自分で考えた展開だけど、普通に怖い。)


「どうした、早くしてくれないか。」


アレクサンダーは鋭い目でこちらを見つめていた。


(こっちもこっちでリアルのアレクサンダーも怖いんだよなあ…。ええい、もうどうとでもなれ!)


勢いよく小瓶の栓を抜き、匂いを嗅いだ。

香ばしい匂いがした。そう、これは犬の肉球のような…。そして俺は倒れた。


アレクサンダーが何か言っているようだが、言葉が聞き取れない。


(ああ…良くない選択だったな…。)


ここで俺の意識は途切れた。


「…やはり…そうか…。これは致死量に近いな…。」


誰かが話しているのがぼんやりと聞こえてくる。この声はアレクサンダーか?


「今ここで殺して、僕のコレクションに加えようか。」


目が霞んでよく見えないが、アレクサンダーがこちらに歩いてくるのがわかる。


(このままじゃ、本当に死ぬ。何とかしないと…。)


しかし、手足に力が入らない。


「ああ、起きていたんだね。大丈夫だ。今から特別な部屋に案内するよ。」


(ここで死んでたまるか!)


そう強く思った瞬間、アレクサンダーとシエルの間に火柱が上がった。


「へえ…あの毒を受けてなお、魔法を使えるとは。興味深いな。」


アレクサンダーは小瓶を火柱に投げ入れた。

すると、火柱は小瓶から出てきた水の玉に飲み込まれ、消えてしまった。


「くそっ!」


もう一度魔法を使おうとした瞬間、研究室の扉が開いた。


「アレクサンダーくん、ものすごい音がしたけど大丈夫かい?ややっ!君、大丈夫かい?アレクサンダーくん、何があったんだい?」


よぼよぼのおじいちゃん先生が入ってきた。


(よ、良かった〜、助かった…。)


「これは、ヤーマン先生。少し彼女に実験を手伝ってもらっていたのですが…失敗して大きな音を立ててしまいました。すみませんが、彼女を保健室に運ぶのを手伝っていただけますか。」


俺はヤーマン先生とアレクサンダーに手を貸してもらい、保健室へ運ばれた。


(アレクサンダー…何を考えているのか分からないけど、やっぱり要注意だな。)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ