表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/12

5:なんだか知っている展開じゃない?

入学式が終わり、教室に到着すると、担任のカイル・フェンリスが生徒たちを席に誘導していた。

彼も攻略対象で、アストリア魔法学園の教師だ。

生徒には厳しく指導するが、常に生徒たちのことを考えて行動する熱血教師だ。


(今は特にイベントは起きないけど、後々フェンリス先生との重要なルートがあるんだよな…。)


「俺は今日からお前たちの担任になった、カイル・フェンリスだ。席に各々の名前が置いてある。早く席に着け。」


教室に入ると、一人ひとりの席にネームタグがふわふわと浮いていた。


(さすが魔法学校だな。これが普通の学校だったら、みんな驚くだろうな…。)


席に着こうとすると、「お隣、よろしいかしら」と柔らかな声が耳に届いた。

振り返ると、そこには金髪の美少女が微笑んでいた。見た目はまさに良いところのお嬢様で、俺が男だったら確実に惚れてたわ…いや、実は中身も男なんだけどさ。


「あ、どうぞ」


「ありがとう、お隣失礼致しますわ。私、エリカ・ブライトと申しますの。貴方のお名前をお伺いしてもよろしくて?」


「俺…じゃなくて、私はシエル・クライス。今日から、その…お隣同士、よろしくお願いします!」


「ふふふっ…こちらこそ、よろしくお願い致しますわ。シエル、いい名前ですわね。シエルとお呼びしてもよろしいかしら?私のことはエリカと呼んでくださって構いませんわ。」


「え、ええ!もちろん!好きに呼んでください!!」


「まあ、やったわ!お友達ができましたわ!」


嬉しそうに笑うエリカはまさに天使のようだった。

でも、ゲームにはエリカ・ブライトなんてキャラは出てこなかったはずだ。

この世界は俺の作った乙女ゲームに似ているけど、少し違う世界…なのかもしれない。


「シエル・クライス、エリカ・ブライト。いい度胸をしているな。入学初日から、俺の目の前でお喋りとは。お前たちは罰として、この教室の掃除をしろ。それじゃ、以上だ。」


カイル先生が教壇からこちらを睨みつけ、教室から出て行った。


「怒られてしまいましたわね。」


「あれ…?エリカさん、なんでそんなに嬉しそうなんですか…?」


ニコニコと楽しそうに話すエリカの背後に、背の高い大男が立っていた。


「エリカ、何を喜んでいるんだ。叱られたんだぞ。」


「あら、セバスチャン。ご機嫌よう。」


そう言ってエリカを注意したあと、俺に目線を向けた。


「クライスさん、エリカのせいで怒られてしまって申し訳ない。俺はエリカの幼なじみのセバスチャン・ラヴクロフト。よろしく。俺も掃除を手伝うよ。」


セバスチャンは杖を一振りし、用具ロッカーに入っていた箒を3本取り出した。


彼は、セバスチャン・ラヴクロフト。

4人目の攻略対象で、紫色の短髪が特徴的だ。

ラヴクロフト公爵家の一人息子で、かなり礼儀を重んじている。

困っている人を見捨てられず、たまに無茶をするが、そんなところが評価され、領地の民たちにとても愛されている。


「凄いな、もう魔法が使えるんだ…のね。」


「ああ、貴族は皆、幼い頃から魔法教育を受けることが多いんだ。この学園に入学している貴族はほとんどが使えると思うぞ。」


「ちなみに私も魔法は使えますわ。」


そう言ってエリカが懐から出した杖を一振りすると、セバスチャンが取り出した箒を1本、自分の方へと引き寄せた。


セバスチャンは取り出した箒をシエルに手渡した。


「まあ、魔法で掃除してしまえばすぐに終わるけど、それじゃ罰にならないとフェンリス先生に叱られてしまうだろう。大人しく魔法は使わずに掃除をしようか。」


「えぇ…嫌ですわ…。服が汚れてしまいます…。」


「ま、まあ、私たちが悪いんだし、大人しく掃除しましょうか…?ほら、友達との共同作業ってことで!」


「まあ!それはいい響きですわね!私、張り切って掃除しますわ!」


そう言って張り切って掃除するエリカとセバスチャンと一緒に、教室の掃除をし、一緒に寮へ帰った。


(しかし、今日1日で色々あったな…少しこの世界のことについて考えてみる必要がありそうだな。)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ