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2:転生から始まる物語

俺はシエル・クライスの顔を鏡に映しながら、これからのことを考えていた。


“Re:start”の主人公シエルとして生きていかなくてはならない。

何の目的でシエルに転生したかはわからないが、ここが本当にゲームの世界であれば、これからストーリーが始まっていく。

行動次第では攻略対象達から好意を抱かれることもあるだろう…。


好意…。


「シエルって、女の子だよな。中に男が転生してるけどいいのか?これは。倫理的にアウトなのでは…?っていうか、攻略対象全員男だし、俺は男相手に恋愛できるのか…?」


そんなことを考えていると、部屋の扉が勢いよく開いた。


「シエル!早く起きなさい!遅刻するわよ!」


ふくよかで優しそうなおばさんが入ってきた。…シエルの母親だ。


「い、いきなり入ってくるなよ!」


「さっきから何回呼んでも返事がないから悪いんでしょう?ほら、シエル、今日からアストリア魔法学園に入学なんだから早く着替えないと遅れちゃうわよ。朝ごはんできてるから、早く来なさいな。」


そう言ってシエルの母親は出て行ってしまった。


「そういえば、ストーリーの始まりはこんな感じだったな。」


物語の始まりは、アストリア王立魔法学園に入学する日だった。

朝目覚めたシエルが新たな生活が始まることにワクワクしながら窓を開けるんだ。

ゲームはそこから物語が始まる。


俺はちょうどゲームのシエルと同じように物語が始まったってわけだ。


「はぁ…色々と問題はあるが、ひとまずは流れに身を任せるしかないよなあ…。」


そう思いながら着替えようとしたが、あることに気付いた。

シエルは女の子だ。

そして俺は男だ。

女の子の下着姿を見るわけにはいかない。

そもそも俺は今シエルなんだから不可抗力なのでは?と思ったが、そんな言い訳はシエルに失礼だ。


「よし」


俺は近くにあったタオルで目隠しをして着替えた。多分、着替えられているはずだ。


しばらくして、なかなか朝食を食べに来ない俺を確認しに母親がやってきた。


「あんた何やってんの。遊んでないで早く来なさい。」


結局母親に手伝ってもらって着替えた。


遂にアストリア魔法学園へ出発だ。ここから物語が始まっていくのだろう。


もしも俺が攻略対象達と恋愛関係になった時のことを考えても、想像ができない。

何よりこの乙女ゲームは未完成なのだ。

ストーリー通りに行動したとしても、何が起こるかわからない。


そう、何が起こるかわからないんだ…。


魔法学園に着くと、背の高い黒髪の男子生徒が一人立っていた。

彼からはふわっと不思議な匂いがした。


彼は背後からの視線を感じたのか、シエルの方を振り返った。

鋭い目つきだが、その目はとても冷たい。


彼は、アレクサンダー・ノクターン。1人目の攻略対象だ。

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