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96日目
魔王現出実験、当日。
「では、ゴー」
結界の中に、黒い闇が凝集する。
「あれ、数値がおかしい」
「どうします、中止しますか」
「うーん、せっかくなので続けて」
「おい」
瞬間、空間に亀裂が走った。
多重結界に闇が触れる。
そのまま、こちらへ染み出してくるように。
――今を生きる魔法生物
ロバ竜が震える。
――崇められた者
ラーナが半歩下がる。
――ふたつの性をもつ者
タンクが構えを解く。
――『力』を得た者
黒い闇が、形を持って現れた。
――君たちを歓迎する
魔王が現出した。
臆さぬわけがない。
それでも、私は剣を握った。
「おおお!」
床を蹴る。
「エルゼンさん! 危ない!」
光線がラーナを貫いた。
時空が、歪む。