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88日目


 私たちは一丸となって転送魔術の準備を進めた。


「鯨の位置情報は自分のマーカーで海軍に送信されています」


 木の板を繋ぎ合わせて、船を囲むように魔法陣を作る。

 ラーナは海軍の船と魔法で連絡を取り合っている。


「海上に転送先の魔法陣が敷かれます。船が壊れる心配はないかと」

「助かる」


 船長が言った。


 ラーナは私たちを見渡す。


「詠唱は外の海軍付きと共に五人がかりで、丸一日かかります。その間、皆さんは甲板へ出ないように」

「甲板に出ていたらどうなる」

「言葉にできない状態になるかも知れません」


 私たちは船室へ入った。


「あいつ、宮廷魔術師だったんだな」

「そうだが」


 部屋を訪ねて来たウィンザムと話す。


「ああくそ、宮付きに借りを作っちまった。自由な鳥人類だってのに」


 彼女のプライドにさわることらしい。


「借りを作るのも悪いばかりではないぞ」

「ふん」


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