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68日目
「お嬢さん」
「な、なんだ急に」
タンクがのけぞった。
「シローだ」
「ああ、前に話してた人か」
「たくましいお嬢さん、この宿で大盛り肉飯だけ頼むのはもったいない……」
タンクの皿は空に近い状態だった。
「追加注文するつもりだが」
「それならちょうどいい……」
シローは店員を呼んで耳打ちした。
料理が運ばれてくる。
「このハッシュドポテト……見た目の素朴さに反して繊細な味付けの」
「うまいな。おかわり」
繊細な味のハッシュドポテトは一瞬で消えた。
「ははは……! 貴様は我が術中にはまった!」
シローの態度が急変した。
「タンク! 食ってしまったのか!」
「出てきたら食うだろ普通」
「知らない人からもらったごはんは食べてはいけません!」
「話を聴いてくれるか!!」
シローが叫ぶ。
「貴様は最高の料理を作らねば七日後に死ぬ……!」
「なに!」
「これこそが我が作り出した呪詛。我と美食対決をしてもらおうではないか……」
傍迷惑な呪詛使いは怪しく笑った。
「くくく……くくくく……」
笑いながら宿を出ていった。