57/100
57日目
タンクの母は縫物をしていた。
「ハンプの、作業着が破れてたから」
ラーナは彼女の隣に座った。
「あなたのも有れば縫ってあげる」
「いや、おかまいなく」
「ついでよ、ついで」
私は仕事へ向かった。
「あんたらの差し金だろ。昨日のグロいの」
バレていた。
「いいんだよ気使わなくて」
「だがタンクは」
「知ってるよ。これでも弟なんだから」
彼の昼食の弁当はいつも母親が用意している。
「力自慢大会にも毎年優勝して、地元のガキ大将気取って、期待にうんざりしてたんだろうな。反発ってやつ? 女だったらどれだけ楽だったんだろうなー、だろ?」
私は首を横に振る。
「そういうものではない」
「なんだよ」
「少なくとも、奴は『女は楽』などと思っていない。それはお前もよくわかっておるはずだ」
「………」
仕事に戻った。
飲みには誘われなかった。