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57日目


 タンクの母は縫物をしていた。


「ハンプの、作業着が破れてたから」


 ラーナは彼女の隣に座った。


「あなたのも有れば縫ってあげる」

「いや、おかまいなく」

「ついでよ、ついで」


 私は仕事へ向かった。




「あんたらの差し金だろ。昨日のグロいの」


 バレていた。


「いいんだよ気使わなくて」

「だがタンクは」

「知ってるよ。これでも弟なんだから」


 彼の昼食の弁当はいつも母親が用意している。


「力自慢大会にも毎年優勝して、地元のガキ大将気取って、期待にうんざりしてたんだろうな。反発ってやつ? 女だったらどれだけ楽だったんだろうなー、だろ?」


 私は首を横に振る。


「そういうものではない」

「なんだよ」

「少なくとも、奴は『女は楽』などと思っていない。それはお前もよくわかっておるはずだ」

「………」


 仕事に戻った。

 飲みには誘われなかった。


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