5日目
王宮へは簡単に入れた。
パヴァ王国は美しさを尊ぶ風土だ。私が入れぬ道理はない。
『フランブワヤ』でも見目が整った男達が私のあとに続く。
参加者のうち最も優美な者は女王への挨拶が許される。
私が近付いた隙に彼らの計画がはじまる算段だ。
舞踏場に入ると、早速私に声をかける男がいた。
「踊っていただけますか」
「ああ」
申し出通り、掌底を整った顎に食らわせる。
「計画は中止だ、ずらかるぞ」
「女冒険者に頼んだのがまずかった」
なにか聞こえた気がしたが血に染まった拳は止まらぬ。
私は武闘会を勝ち上がるために戦い続けた。スカートさばきも完璧。
「素晴らしい……!」
階段をヒョロヒョロと降りて来た細い男を、私の拳は吹き飛ばした。
私が参加していたのは武闘会ではなく舞踏会だったらしい。
気付いたのは牢に入れられてからだ。
一部名前は拙作「俺が死のうとすると~」と共有していますが連続はしていません。
■キャラクター・組織・国しょうかい
バスト・エルゼン:竜炎団元団員 騎士♀。主人公。巨乳を理由に追放された。
□『フランブワヤ』 パヴァ王国を転覆させるためにできたテロリスト集団。
セイント:国家転覆を目論むリーダー。農家の息子。
ゾック:勧誘員。貴族のドラ息子。
トーホス:団員。元女衒。今は給仕のバイト。
◆パヴァティもしくはパヴァ王国 南の国家。舞踏会と武闘会を年毎に開催しているややこしい風土。