44日目
「我は巨乳治療学会の幹部」
「でっかくなーれ」
「まずは非礼を詫びます」
「むっ」
巨乳にされながら白髪の老人は言葉を続けた。
「我は巨乳にも良性と悪性があることを学会で説いてきた。だが、その見分け方までは学会員に浸透していなかったようだ。良性巨乳の者よ、お詫び申し上げる」
「呼び方は気に食わんが、許す」
頭を上げた老人は、目に硬質の光を宿していた。
「改めて、研究協力をお願いしたい」
「お断りだ」
「巨乳ではなく魔王の、です」
魔王。
「魔法系統とは違う異常な能力を使うという。生物の肉体を操作する力です」
その話は聴いたことがある。
魔王は無数の魔物を生み出す力に加えて、生物を魔物に変える力を持っていたのだと。
「魔王研究の最先端、ヤーム・タへ向かってもらいたい」
巨乳治療学会の幹部は乳を揺らしながら去っていった。
「話が大きくなってきましたね。巨乳だけに」
ラーナの言葉に私は何も言わなかった。
魔王の克服は人類の悲願だ。
研究に協力し、あわよくば倒せば正式な騎士として引く手数多だろう。
「倒せるんですか? 魔王」
ラーナが心を読んで聴いてくる。
「やってみなくてはわからん」
――バスト・エルゼンが国を滅ぼすまで、あと56日……




