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「胸が大きすぎるから」と追放された女騎士が国を滅ぼすまでの100日間  作者: 月這山中
第五章 VS.巨乳治療学会

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41/100

41日目


「エルゼンさんの洗濯って変わってますよね」

「そうか?」


 井戸水で洗った服を物干し竿にかける。


「竜炎団にいる間もこの方法でやっておった。普通だろう」

「まあ、洗うところまでは普通なんですが」


 物干し竿に通したロープを左手に巻き付け、右手で保持する。

 そのまま天に向かって勢いよく回す。


「よく腕がもちますね」

「別に普通だろう」

「裸で恥ずかしくないんですか」

「誰も見ておらん。お前のもやってやろうか」

「魔法で清潔は維持してるので」


 飛散した水滴がレンガの壁に吸われていく。


「少し、よろしいでしょうか」


 女が話しかけて来た。


「わたくし、ホセイ町内騎士団の勧誘をしております。あなたの膂力に目をみはりました。ぜひお話を聴くだけでも」


 羊皮紙に印刷された案内を置いて去っていった。


「毎朝、洗濯をしておくものだな」

「その分、昼に寝てますけどね」

「お別れだラーナ。私はこの町に骨を埋めるだろう」

「気が早いですね」


 洗濯物を乾かしながら、夜明け空のあわいを見上げる。


「タンクにも伝えてくれ。たまには立ち寄れとな」



 その昼。


「それでは、胸部縮小施術を始めます」

「ウワーーーッ!」


 私は台に拘束されていた。

 白衣の魔術師に取り囲まれている。


「町内騎士団の審査と聴いたのだが!」

「ええ、一発合格です。他に志願者がいなかったので」

「この拘束はなんだ!?」

「騎士団入隊に必要な儀式です。われわれ巨乳治療学会が援助する騎士団に入るための」


 首をかしげそうになったが、拘束されて動かせない。


「きょにゅうちりょう?」

「われわれの独自調査によると、冒険者の巨乳率は一般人の、およそ七倍。七倍ですよ? 冒険者に特有の感染症が蔓延しているに違いありません。その治療法を研究しているのです」

「私の乳は冒険者になる前からこうだ」

「………」


 白衣の魔術師、巨乳治療学会の者たちはひそひそと相談し合っている。


「巨乳特有の記憶混濁かと」

「ウワーーーーッ信用ならんこいつら!」

「エルゼンさん!」


 施術室の扉が開いた。ラーナだ。


「面白…嫌な予感がして駆けつけました、大丈夫ですか!」

「助けてくれ! 殺されてしまう!」


 しばしの間。


「見学いいですか」

「ラーナッ!」


 その時、力が発動した。

 白衣の胸が次々と膨らんでいく。


「うわぁああああ」

「ひいいい! 胸があああ!」


 私は隙をついて拘束を千切り脱出した。

 『胸を大きくする力』が役立つ時が来るとは。


「というか胸が膨らんだくらいで騒ぎすぎだ」

「なぜだ! 巨乳で苦労してきたはずでは!」


 部屋を出ていく前に、膨らみつづける彼らへ説いた。


「この胸は私の一部。いまさら施術などいらぬ」


「施術は怖くないのよ!」

「魔法差別主義者ですか?」

「もうだめだ……殺してくれ……」


「胸がデカいだけで何も見えなくなるのかお前たちは!」


 すぐに町を脱出した。

 ラーナも巨乳になりながらついて来た。


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