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35日目
次の街、アメンも襲われていた。
「満月の前後は魔物が発生しやすいんです」
「そのくらい知っておる」
タキシードのような尾を翻し、上級魔物はこちらを見下ろしている。
「愚かね。魔王スーラ様に歯向かうなんて」
「歯向かうつもりはないが、こちらも切羽詰まっておってな」
「『月止めの魔法』ってわかりますか?」
ラーナがたずねた。
「月止め?」
上級魔物の動きが一瞬止まった。
「月を……止める……はっまさか、我らの力の源を奪うとでも……!?」
「隙あり!」
跳んで心臓を一突き。
「なかなか使えるな」
「ちょっと快感ですね」
目当ての『月止め』は恐慌状態の街の人間によって買い占められていた。