28日目
アテンの鍛冶店へと戻ってきた。
「鎧ならできてるよ」
店主が出迎えた。工房の中央に白銀に輝く全身鎧が置かれている。
腕の良さは確かだったようだ。
「かたじけない、店主」
「ハンナだ。八日前に測っただけだからね、最終調整をやるよ」
「かたじけない、ハンナ」
試着用の部屋に通され鎧を身にまとう。
「正直言って、アンタらが失敗してもこの鎧は渡すつもりだった」
「ハンナ……」
「あたしだって、この胸で職人なんかできるかーって馬鹿にされて、苦労して来たんだしさ」
「……ああ」
「同類のよしみってやつ? さ、後は胸甲の……」
ギシッ、と蝶番が軋んだ。
「育ってる」
「………」
「ちょっとは余裕持たせといたけど、なんで足りなくなるまで育ってんのさこの馬鹿!」
「馬鹿って言わないでよおおお」
「ああごめん。こいつは魔法鎧だからこのくらいはこうやってさ、泣かないで~」
涙濡れになって出て来た私を見て二人は動揺していた。
■キャラクターしょうかい
バスト・エルゼン:騎士♀。巨乳を理由に追放された。
「馬鹿」といわれるのがトラウマ。
ラーナ・ケインベルグ:パヴァ国付きの宮廷魔術師♀。
野菜を無理矢理食べさせられたのがトラウマ。
タンク:戦士♂→♀。身長も胸もでかい。
大事にしてたお人形さんを取り上げられたのがトラウマ。
ハンナ:鍛冶職人。宿も経営している。体目当ては殴って追い返す。