16日目
宿の食堂で朝食を取った。
「いいこいいこ」
ラーナはロバ竜をなでている。
迎えは断ったのだが、結局彼女の調査力とやらで見つけ出されて監視は続いている。
「あの」
「おおタンク、何か用か」
かつての仲間、大男のタンクがこちらの顔を覗き込んでいた。
「そっちのパーティに入れてくれ、ませんか」
「なんの冗談だ」
「や、あの日以来竜炎団に居づらくって……乳イジリがおれに来ててさ……」
「うわ……」
思わず同情する。私にも原因の一端はあるのだが。
「おれだって巨乳で悩んでるんだぜ」
「はいはい」
仕方なく仲間に入れてやった。
裏の理由はコーディの指図だろうが、かまわない。
食料品と日用品を買い込み、研磨に出していた鎧を取りに行った。
「アンタの鎧、だいぶガタが来てるぜ。ほら、胸甲の蝶番もそろそろ限界だ。体の成長に合わせて調節してないからだな」
「どこまでデカくなるんですか」
ラーナが横目で胸を見て来る。
「デカくしたくてしてるんじゃない」
「こらぁエルゼンッ!誰が巨乳フェチだーっ!」
「やばいっバレた」
怪文書はカナロまで届いていたらしい。
鎧を素早く着込み、私たちは船へ走った。
――バスト・エルゼンが国を滅ぼすまで、あと84日……