13日目
朝、起きるとラーナがいなくなっていた。
「ラーナ?」
ベッドの隙間まで探したが見当たらない。
諦めてパヴァ国へ帰ったのだろうか。その割にロバ竜は置いていったままだ。
フロントに問うてみても「知らない」の一点張りだ。
「なにやら陰謀の匂いがするな」
とはいえ私には関係ない話だ。
「おい、エルゼン」
振り返ると私を追放したコーディが立っていた。
「なぜここに!」
「そりゃ依頼だからね。あたいたちが倒したクラーケン、今頃瓶詰にされて卸されてるよ」
加工場の光景を思い出す。ぐっ、とこらえて立ち去ろうとした。
「待ちな。あんたの今の仲間?探すの手伝うよ」
「別に仲間ではない」
「陰謀の匂いがするところには金の匂いもするもんだ。いつも言ってるだろ?」
肩を組んでくる。
「まあ、一宿一飯の恩義があるからな。探してやっても良いか」
「そうそう、仲間は大事に、あっちょっと、なんだこいつ」
「ムッチャムッチャ」
ロバ竜にサンダルを齧られてコーディが慌てる。ざまあみろ。
竜炎団の人手も借りて聞き込みを繰り返したがラーナの手掛かりはなかった。
私は教会へ向かう。
「頼もう! ここに生意気な宮廷魔術師は来ておるか」
背後から殴られた。
気絶した。